千曲川のスケッチ の商品レビュー
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明治32年4月に単身小諸へ赴任した藤村が 画家の写生・スケッチとおなじような「研究」を文章・散文において試みたのが この「千曲川スケッチ」であり、その後の最初の長編『破壊』に続いていく 藤村は都会から抜け出し7年間小諸で生活した その地に住む人々との関わりや情景を丁寧に表現している 『農夫の生活』 -彼らに近づけば近づくほど、隠れた、複雑な生活を営んでいることを思う- どうしても未だ彼等の心には入れない- 外から来た人だからというだけでなく 過ごしてきた時間がそもそも違うだろう ものごとの価値観も 都会からきた物書きの人とは 全く違う いくら興味があって知りたいと思っても 同じ空の下 同じ時間をそれも長い時間共にしていくことでしか 本当のところに近づけないだろう 『春の先駆』 -あの羊の群れでも見るような、さまざまの形した白い黄ばんだ雲が、あだかも春の先駆をするように、微かな風に送られる- -柔らかな乳青の色の空に、少し灰色の影を帯びた白い雲が遠く浮かんだのは美しい- 空を眺めているだけでなく スケッチしたくなってきた
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長野県小県郡青木村にある田沢温泉を訪れてこの本を知り読んでみた。信州小諸で教師をした藤村がこの地域の純朴な生活を素朴な文面で丁寧に再現している。友人である吉村樹(しげる)さんに贈るという体で描き出している。スケッチというタイトルが相応しいほど、村の様子が色彩よく思う浮かぶようであ...
長野県小県郡青木村にある田沢温泉を訪れてこの本を知り読んでみた。信州小諸で教師をした藤村がこの地域の純朴な生活を素朴な文面で丁寧に再現している。友人である吉村樹(しげる)さんに贈るという体で描き出している。スケッチというタイトルが相応しいほど、村の様子が色彩よく思う浮かぶようである。
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藤村が一時期住んでいた千曲川流域の自然や、風物等が、美しい文章でスケッチされています。 藤村は、このあたりを機に、詩から小説へ転換しているので、散文の練習といった感もありますね。 ツルゲーネフの猟人日記等に似た感じがするが、ツルゲーネフのほうがちょっとおもしろいかな。
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藤村が小諸で教師をしていた時代に書いたもの。 タイトルにあるように、千曲川周辺の自然や人々の生活を まるでスケッチするかのように描いてあります。
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ほぼ30年ぶりの再読。美しい文章だとつくづく思う。地理的、物理的だけでなく、時間的な対比を使って街の、人の様子をいきいきと描いている。あとがきも当時の文壇の様子を伝える貴重な資料となっている。
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藤村が「詩から散文へ」と、自らの文学スタイルを変えるきっかけとなったエッセイ。 千曲川流域の自然、四季、人々の生活を、スケッチするよう巧みに描写しているため、もし存在するのであれば「写生文」というカテゴリに落ち着く作品である(題名はこれに由来する)。 雪深い長野の原風景と、私が...
藤村が「詩から散文へ」と、自らの文学スタイルを変えるきっかけとなったエッセイ。 千曲川流域の自然、四季、人々の生活を、スケッチするよう巧みに描写しているため、もし存在するのであれば「写生文」というカテゴリに落ち着く作品である(題名はこれに由来する)。 雪深い長野の原風景と、私が生まれ育った新潟の田舎風景は、そのノスタルジーを共有しているのではと、強く感じる。また私は月に一度、長野県は野辺山にそびえる八ヶ岳で土壌調査を行っているため、八ヶ岳に関する描写には大変共感した。 「すこし裾の見えた八ヶ岳が次第に山骨を顕して来て、終いに紅色の光を帯びた巓(いただき)まで見られる頃は、影が山から山へさしておりました」 山村の早朝を描いたこの一文は、実際に見たものにはその感動を再発させ、見ていないものにもノスタルジーを感じさせる見事な表現である。 また、後半に収録されている「千曲川のスケッチ奥書」も大変面白い。 「旧いものを毀(こわ)そうとするのは無駄な骨折りだ。ほんとうに自分らが新しくなることが出来れば、旧いものはすでに毀れている」 この一文からも、藤村がすでに自分の文学に対して足りない何かを切望していたことが読み取れる。文学の大家である藤村の、新天地への強烈な意志を感じる。 「不思議にもそれらの(海外)近代文学に親しんでみることが、反って古くから自分の国にあるものの読み直しを私に教えた」という、藤村の持つ読書観も窺える。 「小作人」というスケッチは、ほぼそっくりそのまま、「屠牛」「烏帽子山麓の牧場」などの一部も「破戒」に用いられていることが、本書を読むことで分かる。 藤村文学の“引き出し”としての「スケッチ」、その集大成として、いわゆる短編小説集として本書を扱うのも面白いかもしれない。 趣深い一冊だ。
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二葉亭四迷のゆうところの“牛のよだれ”こと自然主義文学の代表、島崎藤村の文字のスケッチ。内容は150頁余。 大きな事件が起きるわけでもなければ、愛の物語があるわけでもなく、タイトル通り文章で写生された田舎の風景ばかりが続く感じ。 疲れた現代人が過去のゆったりした生活にうっとり...
二葉亭四迷のゆうところの“牛のよだれ”こと自然主義文学の代表、島崎藤村の文字のスケッチ。内容は150頁余。 大きな事件が起きるわけでもなければ、愛の物語があるわけでもなく、タイトル通り文章で写生された田舎の風景ばかりが続く感じ。 疲れた現代人が過去のゆったりした生活にうっとりしながら読むにはもってこい。失われつつある叙情はそれだけでファンタジー。
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信州の旅のお供に、この一冊を… 信州は個人的にすごく親しみのある土地なんだよね。 地元からも近いため、幼少の頃からちょくちょく家族で遊びに行っていました。
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今風で言うエッセイ。私が思い描いていた藤村とは全く違い、自分の目で見たことを一つ一つ丁寧に書いていて、ほんとうにスッケチしているような感じもした。
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詩から散文へ、自らの文学の対象を変えた藤村が、めぐる一年の歳月のうちに、千曲川流域の人びとと自然を描いた「写生文」の結晶
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