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ルイ・ボナパルトのブリュメール18日 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2022/08/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

マルクスは資本論にて貨幣の、本書にて王の、抑圧による回帰を説いた。柄谷行人氏による解説が非常に面白かった。議会は身分制議会ではない。すなわち、代表する者と代表される者の間に必然性があるわけではない。代表される者の間では、階級は意識されていない。政党や政党の主張が出てくることで、階級意識が明確に表われる。では、代表する者がいない層にどのようなことが起こるか?それは、自分たちの主人としての代表者を選ぶということだ。それが第二共和制からのナポレオン3世の登場であり、ワイマール体制からのヒトラーの登場であり、貧農・小作農の天皇支持であった。歴史は繰り返すものだとマルクスは考える。ただし、同じ自体ではなく、同じ構造で、である。

Posted byブクログ

2019/04/26

読む前にWikiのナポレオン三世の項目は読んで、一通り第二共和政から第二帝政にかけてのフランスの状況は復習していおいた方がいいと思います。当時の状況がある程度把握できていないと読むのがつらい。

Posted byブクログ

2013/09/27

カール・マルクスによる、19世紀フランスのオルレアン朝ルイ・フィリップ王政瓦解からルイ・ボナパルト(ナポレオン3世)によるクーデター・皇帝即位までを描く歴史記録。 人名解説や年表が付いているとはいえ、当該フランス史に全く詳しくない状態で読んでいて、経緯についていくのがやっとだった...

カール・マルクスによる、19世紀フランスのオルレアン朝ルイ・フィリップ王政瓦解からルイ・ボナパルト(ナポレオン3世)によるクーデター・皇帝即位までを描く歴史記録。 人名解説や年表が付いているとはいえ、当該フランス史に全く詳しくない状態で読んでいて、経緯についていくのがやっとだったのと(笑)、マルクス特有の皮肉や嫌味に彩られた文章が非常に鼻につき、没個性的な登場人物たちの記述と相まって読みにくいことこの上なかったのだが(笑)、だんだんマルクス節炸裂にも笑いで対抗できるようになってきて(笑)、面白く読了することができた。 王政瓦解の後、様々な政党が乱立し合従連衡して闘争を繰り広げる様は、マルクスの辛辣でシニカルな記述と相まって、現在に通じるような理解もありとても興味深い。その中で血統を拠り所に山師のような振る舞いで次第に権力の過程をのぼりつめるルイ・ボナパルトは不気味であり、政党間の党利による争いと民衆の実は内容のない期待が、マルクスがパロディという帝政復古をまねいたというその過程の描写はとてもスリリングだ。 「ヘーゲルはどこかで、すべての偉大な世界史的事実と世界史的人物はいわば二度現れる、と述べている。彼はこう付けくわえるのを忘れた。一度は偉大な悲劇として、もう一度はみじめな笑劇として、と。」 最終章では、経済構造と階級闘争の視点にて政党基盤の源泉を位置づけ、さらにそうした政治権力が支持基盤と乖離し、個人に権力を集中していく状況を、マルクスならではの視点で冷徹に分析している。解放から一転、没落しつつある「分割地農民」や、「ルンペン・プロレタリアート」がルイ・ボナパルトの支持基盤だったというのはとても興味深い。 解説は、柄谷行人。

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2012/01/16

カール・マルクスが(のちの)ナポレオン3世のクーデターまでのプロセスを描き、(翌年の)1852年に出版した本。躍動感あふれるリフレインの多い文体で、まず読み物として面白い。フランス史弱いので、足りない知識の中で読むのはしんどかったけれど。 フランスの経済的苦境と政治的混乱の中で...

カール・マルクスが(のちの)ナポレオン3世のクーデターまでのプロセスを描き、(翌年の)1852年に出版した本。躍動感あふれるリフレインの多い文体で、まず読み物として面白い。フランス史弱いので、足りない知識の中で読むのはしんどかったけれど。 フランスの経済的苦境と政治的混乱の中で生じたルイ・ボナパルトのクーデター。ルイ・ボナパルトを橋下市長、マルクスを内田樹先生に置き換えると面白く読めます。まあ、マルクスの文章によればルイ・ボナパルトは金に汚くインサイダーに甘い、橋下さんは兼ねには潔白でインサイダーに厳しい、というように、もちろん、両者は同じではない。内田先生はこんなに「アジらない」し。が、混乱の時代に大衆の圧倒的な支持を得た後のヒトラーともアナロジーは延長させることは全く不可能というわけではないと思う。柄谷行人の解説文にはルソーの一般意志も紹介されており、先に読んだ「一般意志2.0」も想起されて興味深い偶然だった。

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2011/12/26

カール・マルクスが、同時代フランスの、ナポレオン3世によるクーデター事件について記述した、変わった本。 マルクスは学問的な書き方にしばしば没頭する一方で、なんとなくジャーナリスト的な、煽動的・論争的でやかましいような書き方に走る傾向もあるなあ、と前から思っていたが、この本は後者が...

カール・マルクスが、同時代フランスの、ナポレオン3世によるクーデター事件について記述した、変わった本。 マルクスは学問的な書き方にしばしば没頭する一方で、なんとなくジャーナリスト的な、煽動的・論争的でやかましいような書き方に走る傾向もあるなあ、と前から思っていたが、この本は後者が炸裂。かなり饒舌で、世俗臭がぷんぷんする文章だ。 しかし、当時のフランスの情勢なんてほとんど知らない私は、ほとんど置いて行かれっぱなしだった。 むしろ、付録でついている柄谷行人氏の文章のほうがすっきりしていて面白い。 この本が共和制/代議制の限界を突いているとか。 柄谷さんのマルクス論は、「あれ、マルクスそんなこと言ってたのかな?」と疑問に思うフシがときどきあるので、今までも、あまり真に受けてはいないのだけれど。

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2009/12/24

これも政治学のゼミで読んだものです。 今まで読んだ本の中で1位か2位を争うぐらい 難しい本でした…読むのに本当に一苦労しました(・ω・;) で、そんな難しい本なのに この本の3~5章の内容を まとめて発表する担当になってしまって。 もう本当に泣きそうなぐらい大変でしたが 逆に深...

これも政治学のゼミで読んだものです。 今まで読んだ本の中で1位か2位を争うぐらい 難しい本でした…読むのに本当に一苦労しました(・ω・;) で、そんな難しい本なのに この本の3~5章の内容を まとめて発表する担当になってしまって。 もう本当に泣きそうなぐらい大変でしたが 逆に深く読むことによって内容がわかるようになり、 その後はとても楽しく読むことができました。 一番有名な文章はこちら。 「歴史は繰り返す。一度は偉大な悲劇として。 もう一度はみじめな笑劇として。」 この本はその「偉大な悲劇」である ナポレオンの登場と、「みじめな笑劇」である ボナパルトの登場を比較しながら ボナパルトの行った政治を見ていく、というもの。 いわゆるルポです。 面白かったのは、マルクスの独特な言い回し。 (まぁこれがこの本を読みづらくしている原因でもあるんですが。) たとえば、王政派を説明するとき 「古めかしいオルレアン朝や正統王朝のお仕着せを再び身につけ, 古めかしい馬上試合を再演している。」と述べている。 だがその裏では「王家を敬礼で片付け」とあり、 王政派の行動の二面性をうまく表現できているなぁと感心。 この本におまけ(?)として載っている 柄谷行人著の『表象と反復』も面白いらしいですが まだ読んでません。楽しみです。

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