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タナーと謎のナチ老人 の商品レビュー

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2022/05/07

アメリカの作家ローレンス・ブロックの長篇ミステリ作品『タナーと謎のナチ老人(原題:The Canceled Czech)』を読みました。 『快盗タナーは眠らない』に続きローレンス・ブロックの作品… ここのところ、ローレンス・ブロックの作品が続いています。 -----story-...

アメリカの作家ローレンス・ブロックの長篇ミステリ作品『タナーと謎のナチ老人(原題:The Canceled Czech)』を読みました。 『快盗タナーは眠らない』に続きローレンス・ブロックの作品… ここのところ、ローレンス・ブロックの作品が続いています。 -----story------------- ネオ・ナチの活動家である老人がチェコスロバキアの秘密警察に逮捕され、プラハにある難攻不落の要塞の独房に収監された。 私、エヴァン・タナーの今回の任務は、そのナチ老人を奪取し、国外へ連れ出すこと。 プラハへ向かう列車に乗り込んだ私だったが、いきなり絶体絶命のピンチに見舞われて……。 困難極まりない任務の行方は?  眠らない男の活躍を描く、痛快シリーズ第2弾!  解説=杉江松恋 ----------------------- 1966年(昭和41年)に刊行された快盗タナー・シリーズの第2作… 前作は巻き込まれ型っぽい展開でしたが、本作は、捕らえられた要人を救出するために社会主義政権下のチェコスロバキアに単身潜入することになる展開なので、まさにスパイ物の王道的な展開でしたね。 チェコスロバキアの秘密警察に囚われた老人を救出し、密かに国外へ連れ出すこと――それが私、エヴァン・タナーが依頼された仕事だった… 第二次大戦中はナチスの手先、戦後はネオ・ナチ運動の中心となった老人ヤノス・コタセックから、情報を引き出すために、、、 彼は今、プラハにある難攻不落の城砦の独房にいる… ひとりプラハに向かう列車に乗り込んだ私だが、いきなり問題が発生し、スタントマンばりの脱出劇を演ずる羽目に。 しかし、それは困難な任務のほんのはじまりに過ぎなかったのだ…… 痛快シリーズ第二弾。 虜囚となった要人を奪還するために敵国へ乗り込むミッションを与えられるというスパイ小説ではお馴染みの展開であるものの、一筋縄ではいなかにのが本シリーズですね、、、 ご都合主義的な展開はありますが… ニンフォマニアのドイツ人女性から誘惑されれば躊躇なく申し出に乗るだけでなく、彼女の色仕掛けに頼って作戦を遂行したり、ナチスの信奉者やイスラエルのシュテルン団、反ファシストの陰謀団等の複数の陣営の人々を欺き、偽りの同盟関係を成立させて利用したり、言語の違いから意思疎通ができない者同士を口八丁の技で手玉に取ったりして、困難な任務を遂行していきます。 エンターテイメント作品として愉しめましたね… 本シリーズも書棚の在庫はここまでなんですよねー  もっと読みたいなぁ… ローレンス・ブロックの作品、古書店で辛抱強く探してみようと思います。

Posted byブクログ

2020/04/21

 この作品、なんと1966年の作品ということで、私と同じ年です。偶然とはいえびっくり。その割には全然古さとかそういう違和感がなく、ぐっとストーリーに引き込まれます。  最初にナチという言葉に引っかかりましたが、そういうことはこだわらなくても大丈夫。ストーリーのバックボーンとして...

 この作品、なんと1966年の作品ということで、私と同じ年です。偶然とはいえびっくり。その割には全然古さとかそういう違和感がなく、ぐっとストーリーに引き込まれます。  最初にナチという言葉に引っかかりましたが、そういうことはこだわらなくても大丈夫。ストーリーのバックボーンとして知っておいてもいいけど、知らなくても十分楽しめます。  主人公のタナーは16年近く寝たことがない。朝鮮戦争の際、脳の一部が破壊され、それ以来眠ることができなくなったのだ。どんなときでもすぐに眠くなってしまう私からすると羨ましいような気もする。  そして、救い出されるのは謎のナチ老人コタセック。こちらは、持病のおかげで、時々仮死状態になってしまう。この対照的な二人の設定が、実は、困難な状況から老人を救い出すときに、大活躍することになる。この辺の設定はさすが。  老人を救い出す状況は、限りなく不可能に近く、それ故にスリルがあり、同時に、ちょっとうまくいきすぎの感はあるが、そこはフィクションとして素直に楽しみたい。登場人物たちがタナーに親切なのも、自分がタナーになりきれば心地よい。  この本の見せ場は、当然最後のところ。老人を救い出し、この指令を出したボス(?)に再開する場面。ネタバレになるので詳しくは書けないが、ボスの指令に少しばかり背きながら、実は、ボスにとってもっとも好都合な結末を迎える。  私としては、途中の過程よりも、このどんでん返しに思わずうなってしまった。

Posted byブクログ

2013/11/17

とてもこなれた,すばらしい訳だと思う。 ただケアレスミスだと思うが,ギリシャで協力してくれるひと(サーカン・ベスモヤン)を「アメリカ人」と訳して,その関連でその友人の医者もアメリカ人となっているが,これは「アルメニア人」。 ちなみに,ベスモヤンを検索してみたら,この小説しかヒッ...

とてもこなれた,すばらしい訳だと思う。 ただケアレスミスだと思うが,ギリシャで協力してくれるひと(サーカン・ベスモヤン)を「アメリカ人」と訳して,その関連でその友人の医者もアメリカ人となっているが,これは「アルメニア人」。 ちなみに,ベスモヤンを検索してみたら,この小説しかヒットしなかった。 ひょっとしたら存在しない姓か,非常にめずらしい姓のようである。 the home of an Armenian moneylender named Sarkan Besmoyan. http://litrus.net/book/read/97255/The_Canceled_Czech?p=18

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2010/10/30

ヒトラーの死後、ナチズムの目指す方向性は少し変わってきた。ドイツ人が組織を牛耳っていることは同じだ、しかし固定概念はアーリア人至上主義から白人至上主義に代わってきた。今も反ユダヤ主義を第一に掲げているが、反黒人や反東洋主義も全面に打ち出してきている。 スラブ民族とユダヤ人の中にい...

ヒトラーの死後、ナチズムの目指す方向性は少し変わってきた。ドイツ人が組織を牛耳っていることは同じだ、しかし固定概念はアーリア人至上主義から白人至上主義に代わってきた。今も反ユダヤ主義を第一に掲げているが、反黒人や反東洋主義も全面に打ち出してきている。 スラブ民族とユダヤ人の中にいるせいで、最近はまともなドイツ人も自由がほとんどなくなった。 日本人が東京のドイツ人なら、中国人は東洋のユダヤ人だよ。 影でロシア人を操っているのは誰か?ユダヤ人です。 アイヒマンだってヘブライ語をしゃべったじゃないか。 ユダヤ人は同じユダヤ人から奪うことはできなかった。ユダヤ人には切り取るものがなかったからだよ。 ユーゴスラビアヨーロッパでも抵抗運動が速く起き、歴史を見ればわかるように、パルチザンの活動はそれなりの成果をあげた。

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2010/06/23

 眠れない男ターナーが、奇策でやりぬく大作戦の第2弾。  今回は、ネオ・ナチの活動家の老人を、チェコの要塞から奪取して国外に連れ出す仕事。相変わらず孤立無援なんだけど、その土地土地でターナーはうまく味方を得て、やりとげていく。  その様に、妙な爽快感を覚える。  眠れなくなって...

 眠れない男ターナーが、奇策でやりぬく大作戦の第2弾。  今回は、ネオ・ナチの活動家の老人を、チェコの要塞から奪取して国外に連れ出す仕事。相変わらず孤立無援なんだけど、その土地土地でターナーはうまく味方を得て、やりとげていく。  その様に、妙な爽快感を覚える。  眠れなくなって得た膨大な知識と、ありとあらゆる団体につてがあるのがターナーの強みなんだが、それよりなにより、ターナーの心根の強さが魅力なんだと思う。強いといっても、鋼のような強さではない。風にしなる柳のような、一見流されているようでありながら、決して自分を見失わない。  強い自我があるからこそ、価値観の全く違う集団の中に放り込まれても揺るがないし、冷静でいられるから、何が起こっても臨機応変に対処できる。  40年前の作品なので、世界情勢や社会に対する認識はいささか古い。  が、ローレンス・ブロックの作りだしたターナーという人物像は、むしろ非常に今日的なんじゃないかと思う。  その変わりというとなんだが、他の人物は結構ステレオタイプ。特に、ターナーが奪取するコタセック老人は、心底嫌なヤツで、それがつきぬけてむしろ滑稽になっている。そう、ステレオであることをむしろ逆手にとっているんじゃないかと思うところが多い。  ローレンス・ブロックの職人技はすごい。  聖書には「古い革袋に新しい酒をいれてはいけない」とあるらしいが、このターナーシリーズは、そうではないようだ。

Posted byブクログ