ことばの歳時記 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書の紹介から 「移り変わる日本の美しい四季折々にふれ、ある日は遠く万葉の時代を回顧し、ある日は楚々とした野辺の草木に想いをはせ、ある日は私たちが日常生活の中で何げなく使っている言葉の真意と由来を平易明快に説明するー。著者のユニークな発想と深い学識によって捉えられ選ばれた日本語の一語一語が、所を得てみずみずしく躍動し、広い視野と豊かな教養をはぐくむ異色歳時記である。」 読後のレビューに際し、この紹介文が本書の内容を的確かつ、美しく表現されていると感じた。一年365日、その日に関わるテーマを選び出し、そこから「ことば」にまつわるエッセイが、日本を代表する言語学者によって紡ぎだされる。 例えばぱっと開いた2月7日のページのタイトルは「タニとヤ」だ。「谷」にまつわる話。このテーマは、この日が源平による一の谷の合戦が行われた日であることから取り上げられている。そこから、関東では「谷」を「ヤ」と読むことが多く、関西では「タニ」と読むことが多いという風に話が展開していく。 確かに、東京では四谷、渋谷、世田谷、埼玉でも熊谷、神奈川でも保土ヶ谷だ。逆に関西では京都の黒谷、獅子ケ谷が挙げられている。私個人的には、大阪「谷町筋」の「タニ」が一番最初に浮かんだ。 ふーんなるど、と思っていたら、いやいや東京にも「鶯谷」「茗荷谷」と「タニ」と読む地名もあるではないかとくる。そして、その地は江戸時代の人が、京都にあこがれてつけた地名だというオチがある。 一日ワンエッセイが、非常に教養深く、面白いのである。 こうして読み返しているうちにまた、各ページの面白さに引き込まれていく。 4月12日のタイトルは「スズメとシジミ」。東北では「シ」と「ス」の発音が同じで区別がつかないという話。 6月2日は「背広」の話。civil clotheseが語源の言葉だと。 11月20日は、万葉集の舒明天皇の歌から始まる。そこに出てくる「かまめ」とは何ぞやと。「かまめ」は「カモメ」のことだが、カモメは海の鳥で、歌に詠まれる内陸部にいるのはおかしいでから、違うものを指しているのではないかと。そこで、「ユリカモメ」という内陸部までくるカモメの話で謎解きされる。 本書には、「最近、都の鳥が”みやこ鳥”と言われるこのユリカモメに決められた」と書かれていた。本書は昭和48年発行で、ユリカモメが都の鳥に指定されたのは、調べてみると昭和40年のことのようである。 つまり、本書は一昔前の本であり、若干古いと感じる話題もある(長い歴史を扱っているので、大半はあまり古さを感じなく読めます)。 現代版「ことばの歳時記」を誰かが書いてくださると、これまた興味深く読めると思う。
Posted by
一日一頁のエッセイ。テーマはその日の慣習事や暦になっている場合がほとんどであり,季節を意識するきっかけになりそうだ。月の最後にはその月の呼び名について。 トイレ用に最適!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
多分買ったのは中学生の頃。一度通してよんだから終わり、という本ではなく、毎日1項目ずつ読んで 色々なことを考えるきっかけにしたい本。 なので今は机のそばに置いてある
Posted by
私が生まれる前に新聞に連載されていた記事をまとめた本。言葉遣いで確かに古いところがあったので、言葉とは移り変わりゆくものなのだなと感じました。 365日の言葉について書かれていて、著者が古文、方言、俳句、短歌に精通されているのがよくわかりました。季節、季節の言葉を大切にしたい...
私が生まれる前に新聞に連載されていた記事をまとめた本。言葉遣いで確かに古いところがあったので、言葉とは移り変わりゆくものなのだなと感じました。 365日の言葉について書かれていて、著者が古文、方言、俳句、短歌に精通されているのがよくわかりました。季節、季節の言葉を大切にしたいと思いました。 言葉の由来などさすがによく研究されていて、とても勉強になりました。言葉遣いも丁寧にしようと感じました。
Posted by
初参加でしたが、すごく楽しい時間を過ごせました。様々な人が独自の視点で本を紹介していて、今日紹介いただいた本はどれも読んでみたいと思えるものばかりでした。 タレント本など普段読まない本と接することが出来る良い機会となりました。 また都合が合うときに参加したいと思います。 初参...
初参加でしたが、すごく楽しい時間を過ごせました。様々な人が独自の視点で本を紹介していて、今日紹介いただいた本はどれも読んでみたいと思えるものばかりでした。 タレント本など普段読まない本と接することが出来る良い機会となりました。 また都合が合うときに参加したいと思います。 初参加でしたが、すごく楽しい時間を過ごせました。様々な人が独自の視点で本を紹介していて、今日紹介いただいた本はどれも読んでみたいと思えるものばかりでした。 タレント本など普段読まない本と接することが出来る良い機会となりました。 また都合が合うときに参加したいと思います。
Posted by
広く、浅く、知的好奇心を刺激される本。なるほど!そうだったのか!日常に埋もれている、日本に関する、言葉に関することを教えてくる本。1つのトピックスが短いから、少しだけのる電車とかで読むのに最適。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
≪内容≫ 毎日一つの言葉を取り上げ、それについての1ページ分のエッセイが添えられている。 ≪感想≫ 『広辞苑一日一語』と併せて1年かけて毎日1つずつ読んでいった、個人的に愛着のある一冊。『広辞苑一日一語』が国語辞典の項目の紹介であるのに対し、本書は広義の百科事典的な内容である。著者は博覧強記の人物であるが、本書でも語源から蘊蓄、個人的な過去の思い出など、様々な事柄についての鋭い洞察力と深い知識を楽しむことができる。 歳時記という看板にあるように四季折々の話題が詰まっており、菜の花(p140)の項目を読んだその日に菜の花を見たりするなど、本と生活がリンクする度に不思議な充足感を味わえた。毎日の色がより鮮やかに感じられるというのも、歳時記というものの魅力なのかもしれない。
Posted by
毎日1ページずつ読んでます。 昭和40年に書かれたものですが、著者の「金田一春彦」さんの感性が清清しい。
Posted by
珍しく小説以外の本をあげてみます いろんな人に読んで欲しい本です。中学高校の子とかにね。 教養ってこういうことなんだなーって思います。金田一先生の知識の豊かさにはただただ感心するばかりです。 …とかなんとか、そんな難しいこと考えずともふつうに読み流してるだけでもおもしろいですし。
Posted by
歳時記研究の第一人者が日本語に関心を持つ人々に贈る日本の四季の美意識と生活の知恵に満ちた言葉をめぐる研究と随想。
Posted by
- 1