天空の要塞(2) の商品レビュー

田中光二(著者)

2020/08/23

SFなので何があってもいいのだが、それ故にどのように変化をつけるかが味であり、作者の腕の見せどころである。第二次世界大戦に持ち込んだのは、1万5000メートルの高空というか成層圏をジェット機並みの速度で飛び、航続距離は日本からアメリカ大陸を攻撃して日本に帰還を可能にし、なおかつ地上を精密爆撃する航空機、この航空機に随伴できる攻撃機、太平洋を自走して登録された音紋に向かって攻撃する機雷、日本が作ることができなかった重戦車などである。圧倒的な質を物量に勝るアメリカ相手に対して用いたらというテーマが見えてくる。ただ、サイパンの航空拠点の牙を抜かれ、アメリカの機動艦隊も壊滅的な状況になった点で作者の書きたいことはみえた。