月光のさす場所 の商品レビュー
眉村卓の大人向けSF短篇集。 郊外のとある街に、小さい掘り出し物の家を見つけ購入した。しかし同棲していた恋人は同居することを渋る。そして引っ越しをし、いざ住もうとすると、市の職員が家を訪れ、色々と注文を出していく…。 大人向けの眉村卓を読むのは、かなり久しぶりである。というの...
眉村卓の大人向けSF短篇集。 郊外のとある街に、小さい掘り出し物の家を見つけ購入した。しかし同棲していた恋人は同居することを渋る。そして引っ越しをし、いざ住もうとすると、市の職員が家を訪れ、色々と注文を出していく…。 大人向けの眉村卓を読むのは、かなり久しぶりである。というのも、眉村卓作品は、講談社に移管された一部の作品を覗いて、すでに入手困難であるからである。この本も背表紙にバーコードがなく、チェーン展開している古本屋では、廃棄に入るものだ。 1970年代に書かれたと見られる本書に含まれる6篇は、会社が地方都市を牛耳る会社城下町や、エリート教育の危うさなど、当時の時代背景を表したものばかりである。中高の頃に図書館等で読んでいた小松左京のSFや森村誠一のミステリ作品と重なるものがあり、ワタシには理解しやすかったが、最近の人には理解できるだろうか。 この手の作品、当時から見た未来の生活という意味で、もっとも理解に引っかかるのが、通信手段である。当時の最先端の考え方をしても、現在ある薄く平面の液晶画面や、持ち運ぶ電話機(さらにカメラまで付いている)が予想できていなかった。 それは仕方がないとしても、当時考えられていた最先端の通信手段がテレビ電話で、それらに「映電」などという当時にしかわからない略称をつけていたのは、今となっては苦しいなあ。 最後2本のショートショートのようなアンドロイド作品も、哀愁も感じる良作である。 しかし、手に入らないんだよなあもう。角川さん、なんとかしてよ。
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鳳凰傘下 月光のさす場所 暁の前 オーデイション 霧に還る 剥落の冬 解説:鏡明 サラリーマン主人公の幻想小説系の作品。
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だいぶ前に書かれたSF。すごいのは、現状が、想像を越えているところ。 控えめなSFは、まるでパラレルワールドのようで、懐かしささえ感じます。 未来を意識すればするほど、奇妙に人間臭さがでてきて、とても興味深かったです。
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鳳凰傘下 行き過ぎた企業城下町。 月光のさす場所 与えられた課題しかこなせなくなった大企業エリート と、大企業では生きられないクリエイターたち。 暁の前 タイムパトロール、それも違う時間軸の、が主人公の 部屋に現れ、対立し・・・ オーディション MA(マスコミ・エージェント)に一番大事なものを 渡してしまったマスコミ業界。主人公はMAの指示の まま、自分には理解できないものを社会に送り出す。 霧に還る 専門職として、ロボットの試作に取り組む主人公。 完成すれば彼の専門知識は不要となる。 剥落の冬 ある工場に未来から紛れ込んだロボット。非常に優秀 で、簡単な指示で効率をアップさせるが、それを使い こなせない社員たちは異物としかみなさない。
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星新一を彷彿とさせる短編集。 なんでかなーと思ったら、 そうか、主人公がサラリーマンとか体制内に存在しているからなのか。 なので、SFと云っても自分の身に置き換えて読めるので、 読了感が「ちょっと不思議な体験してきた!」と云うものでした。わお。 「霧に還る」は涙無しでは読めません...
星新一を彷彿とさせる短編集。 なんでかなーと思ったら、 そうか、主人公がサラリーマンとか体制内に存在しているからなのか。 なので、SFと云っても自分の身に置き換えて読めるので、 読了感が「ちょっと不思議な体験してきた!」と云うものでした。わお。 「霧に還る」は涙無しでは読めません! 「剥落の冬」あたりの枯れ具合も好みです。 表題作「月光のさす場所」は、どちらの立ち位置から読むかで 感想が全く変わるだろうなあと。
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