サイゴンのいちばん長い日 の商品レビュー
近藤さん34歳のときの処女作であり、1975年4月30日のサイゴン陥落前後約40日間を詳細にたどるルポルタージュです。緊迫した状況の中、そこに悠々と暮らす人々の姿が優しく楽しく描かれており、一方で微笑ましくも、一方で熾烈な当時のサイゴンの状況がありありと浮かんできます。 日常勤...
近藤さん34歳のときの処女作であり、1975年4月30日のサイゴン陥落前後約40日間を詳細にたどるルポルタージュです。緊迫した状況の中、そこに悠々と暮らす人々の姿が優しく楽しく描かれており、一方で微笑ましくも、一方で熾烈な当時のサイゴンの状況がありありと浮かんできます。 日常勤務のかたわら、2週間で脱稿にこぎつけたという奇跡のような作品。文庫本のためのあとがきを読むと、近藤さんがいかに紳士で、自らの仕事に厳しいかが分かります。
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サイゴン陥落 1975年4月30日 著者はこの日、現地に居てひとつの国(南ベトナム共和国)が崩壊、雲散霧消する瞬間に立ち会った。 その時の描写は、あの戦争を知らない世代であっても、息を詰まらせるものがあった。 開高や小田、その他多くの文筆家やジャーナリストがこの瞬間を書いてい...
サイゴン陥落 1975年4月30日 著者はこの日、現地に居てひとつの国(南ベトナム共和国)が崩壊、雲散霧消する瞬間に立ち会った。 その時の描写は、あの戦争を知らない世代であっても、息を詰まらせるものがあった。 開高や小田、その他多くの文筆家やジャーナリストがこの瞬間を書いているのだが、これほど冷静に 精緻に描写しているものはなかった。 ますます、ベトナムに行きたくなった。
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近藤紘一氏の存在を知らず、本屋でさりげなく手にとって入手した。ベトナム戦争終結時に、ベトナム国内で報道に関わっていたジャーナリスト。現地に居る人間にしか分からなかっただろう出来事をつづっている。秀逸。
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近藤紘一の本はすべて好きです。人間味あふれてて、スマートで。産經新聞社の特派員としてサイゴンに駐在していた著者のベトナム戦争終戦を迎えるまでのルポです。
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サイゴン陥落の迫真のルポであり、かつ興味深いベトナム生活記(またこれが普通の海外体験を超えてるし)。
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自分にとってベトナム戦争は歴史上の事件を脱するものではなかった。生まれた頃には既に過去のものであったのだから仕方がないのかもしれない。ゆえにベトナム戦争に対する認識というものも知識としてのものを脱しなかった。サイゴン陥落という重要な局面を当地で迎えた近藤氏によるこのルポタージュは...
自分にとってベトナム戦争は歴史上の事件を脱するものではなかった。生まれた頃には既に過去のものであったのだから仕方がないのかもしれない。ゆえにベトナム戦争に対する認識というものも知識としてのものを脱しなかった。サイゴン陥落という重要な局面を当地で迎えた近藤氏によるこのルポタージュはどうしても白黒にしか見えないこの戦争に色を付けてくれた気がする。事実を述べるだけでなく、サイゴンの市民に対する視点がさらにその内容を豊かなものにしていることも指摘できる。いずれにせよ、サイゴンの湿気をともなった暑さを読みながら感じさせる一冊であり、一度この本を手にしてサイゴンを訪れてみたい。その際は是非マジスティックホテルに泊まりたい。
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