図説 不潔の歴史 の商品レビュー
昔の人々、とはいっても今の基準からするとずっと不潔だったらしい。宗教的に体を洗わないことが美徳とされていたようで、人々は悪臭をはなち町は臭っていたらしい。読んでいるだけでもなんだか気分が悪くなってくるような気がする。ただナポレオンの時代にはそれがそんなに人々に不快を与えるもので...
昔の人々、とはいっても今の基準からするとずっと不潔だったらしい。宗教的に体を洗わないことが美徳とされていたようで、人々は悪臭をはなち町は臭っていたらしい。読んでいるだけでもなんだか気分が悪くなってくるような気がする。ただナポレオンの時代にはそれがそんなに人々に不快を与えるものではなかったようで習慣もしくは慣れなのだろうか。ただ日本でいえば明治時代のころまで、ヨーロッパではそうだったらしい。確かに言われてみれば、現代のわれわれはあまりに洗う、無臭、ということにこだわりすぎているのかもしれない。でも、そんな不潔の時代に生まれなくてよかったとも思う。
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昨今、ヨーロッパの中世の暗黒時代などなかったとする風潮があるようだが、衛生や風呂についてはあったのではないかと再考を促す内容である。 欧米の文化と歴史について語っており、この手のおもしろ本にありがちな盛り方をしているようにも見え、頭から信じることにはためらいを覚える。 新たな知見も得られた。アメリカにも公衆浴場が存在した時期があったようだ。そういえば映画なんかで見たことがないなと思ってみれば、20世紀初頭のわずかな期間のみ存在して廃れたらしい。 『トランスジェンダーになりたい少女たち』ではトランスであることをカミングアウトすることがクールであるという、同調圧力をともなう流行があることが読み取れたが、清潔であれとするコマーシャリズムにも自ら踊らされていることが本書にて語られ、同根の問題なのではないかと思ったり思わなかったり。 古代よりお気持ちインフルエンサーや失礼クリエイターが存在し、現代でも猛威を振るっていることにとても残念な気持ちになった。知と無知のスキマがある限りきっと絶えることはないのだろう。
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表紙のアングルの絵に惹かれて手にとった一冊です。 『不潔の歴史』とは、なかなか題名もインパクトがあり興味をそそられました。 そういえば、『アガメムノン』では、不倫をしていた妃にアガメムノンは入浴中に殺されてしまうし、ローマ人といえば、ローマ風呂テルマエですね。 お風呂で多くの時間を過ごしていたギリシアやローマの古代の人々は清潔に思えるが、清潔の概念も時代とともに変遷を経て今日に至ったようだ。 公衆浴場が全盛を極め、開放的な雰囲気で裸のつきあいをしていたローマは、が四世紀に入るとキリスト教のストイックな思想が優位になっていく。 熱は性欲を亢進すると考えられたため、貞淑な女性はワインや湯浴みを禁じられた。 清潔な体と清潔な衣服は不潔な魂の表れという教義を持っていた女子修道院も出現した。 享楽的な入浴は洗礼と対立するものとされ、苦行や清貧が信仰心に重要なものになるにつれ、浴場は廃れていった。 それでも中世に入るとまた共同浴場が西洋各所に造られたが、ふたたび浴場は平和をかき乱す不節操で無作法な場所と認識されるようになってきた。 そして、ヨーロッパを何度も襲ったペストの大流行や梅毒などの病気も入浴し体表の孔が開くのが感染の原因だとされていたようだ。 ペストの脅威が下火になっている時期も中世後期に端を発した水に対する恐怖はどんどん広まっていった。 フランスで一番報酬が高い医師の意見では、体の分泌物が体表に保護膜をつくるとされていた。 要するに垢ですね。あらゆるところに垢をため、匂いをごまかすために香水が発達し、美しい衣装をまといながらノミや虱をつぶす。現代の私たちには想像もできないことですが、それが常識な時代もあったんですね。 ベルサイユ宮殿は建てられたときトイレがひとつもなかったようです。王侯貴族たちはベルサイユに限らず、汚物で滞在できなくなると別の城にうつりという生活をしていたこともあったとのこと。 からだも建物もなにもかも洗浄しない。そのような時を経て先進国に見られる不潔恐怖的な清潔すぎる現代が訪れていると思うと不思議にさえ思えます。 「不潔の歴史」は終焉を迎え、「清潔の歴史」の方が長くなっていくであろう未来はどのような歴史を刻んでいくのでしょうか。
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ヨーロッパとアメリカで体を洗うかの文化についてまとめられている 時代と共にかなりダイナミックに変わったことがわかる
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不潔-清潔の軸が時代によって大きくブレていく様子を古代ローマから現代まで描写した力作。 イエスはユダヤ教の虚礼を批判したのは知っていたが、それが器に過ぎない体を大事にしすぎない=洗わない…に繋がっていたとは… その後も垢で覆いつくすことによって病気にならないという信念故に洗わない...
不潔-清潔の軸が時代によって大きくブレていく様子を古代ローマから現代まで描写した力作。 イエスはユダヤ教の虚礼を批判したのは知っていたが、それが器に過ぎない体を大事にしすぎない=洗わない…に繋がっていたとは… その後も垢で覆いつくすことによって病気にならないという信念故に洗わない等、今の感覚だとそれどうやって暮らしてたの?レベルの違いがあり、SFを読んでいるような価値観の大転換があって興味深かった。 歴史を扱う本だが、男性の清潔とか入浴にしか触れていないなんていうことはなく、子どもや女性についても描写があるのでその点も安心。
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とても面白かったです。内容がぎっちりつまって読みごたえはあり、本代の3200円(税別)はお高いけれど、十分モトがとれる。 ところで━━。次から次へとしつこいぐらい様々な実例やエピソードが出てきて、それはそれで面白いのですが、読んでいるうちに「あれ? この項のテーマはなんだっ...
とても面白かったです。内容がぎっちりつまって読みごたえはあり、本代の3200円(税別)はお高いけれど、十分モトがとれる。 ところで━━。次から次へとしつこいぐらい様々な実例やエピソードが出てきて、それはそれで面白いのですが、読んでいるうちに「あれ? この項のテーマはなんだったっけ?」とたまにわからなくなることがありました。 日本人の書いたこの手の本にはめったに抱かない感想です。そしたら養老先生だったか誰だったか、外国の学者さんの書く論文はしつこいと言っていたのを読んで、なんとなく納得してしまった。
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日本人は清潔好きなので、逆になぜそんなに不潔が平気なのか知りたい。と思って読み始めた。 テルマエ・ロマエ時代にはあれだけ風呂に入っていたのに、習慣や文化というものは恐ろしいもので、「これが正しい!」と普及してしまえば、大抵の人間は抗うことなく右へ倣うのだ。黒死病が流行し、入浴で開...
日本人は清潔好きなので、逆になぜそんなに不潔が平気なのか知りたい。と思って読み始めた。 テルマエ・ロマエ時代にはあれだけ風呂に入っていたのに、習慣や文化というものは恐ろしいもので、「これが正しい!」と普及してしまえば、大抵の人間は抗うことなく右へ倣うのだ。黒死病が流行し、入浴で開いた毛穴から感染すると信じられていたため、風呂に入らなくなったと。流行病に翻弄される人々の姿は今も昔も変わらない。変わってモスリムの人たちは水が貴重だと知りながら、体を清潔に保つために洗うのである。ヨーロッパのキリスト教周辺だけ特筆すべきほど不潔で、こんな歴史まで語れるとは。驚きである。でも、人間って意外に丈夫で、ちゃんと生きているんである。
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西洋を中心に、人の衛生観念の移り変わりを書いた本。客観的な「清潔」の定義は時代と場所によって変化するが、主観的ならば常に同じ。自分たちの慣習こそが清潔で、異なる人々は不潔なのである。 現代の日本人からすると、清潔に対する意識は皆同じようなものであると言って良い。人によって程度は...
西洋を中心に、人の衛生観念の移り変わりを書いた本。客観的な「清潔」の定義は時代と場所によって変化するが、主観的ならば常に同じ。自分たちの慣習こそが清潔で、異なる人々は不潔なのである。 現代の日本人からすると、清潔に対する意識は皆同じようなものであると言って良い。人によって程度は違うとはいえ、「どちらがより清潔か」について意見が割れることは無いだろう。垢はついていない方が清潔。体臭はしない方が清潔。そして風呂にはちゃんと入った方が清潔で、健康的な生活である、と。しかし中世から大航海時代あたりまでのヨーロッパでは違った。地域差はあるが、風呂どころか水にも体を浸すべきではないし、身体は垢で覆われていた方が清潔で健康的だとされていたのである。 清潔の定義は宗教を始めとする文化や、科学レベル・定説によって大きく左右される。場合によっては清潔の意味が180度反転することさえある。さらにマーケティングが入り込んでくる。こうして清潔の歴史を眺めると、婚活で頻発するワードである「清潔感」は実に厄介だ。この言葉の本質は、「自分と同じ文化であれ」ということなのだろう。
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再読。 昔の西洋人は汚かった。 キリスト教徒は宗教的な教義の理由から身体を洗わなかった。 皮膚にある微細な孔から、害のあるものが侵入するため入浴は身体に良くないとされた。 その孔を塞ぐために垢をため、頻繁に着替えをするのが良いとされた、、、 特に欧州の人たちが19世紀頃までまでの...
再読。 昔の西洋人は汚かった。 キリスト教徒は宗教的な教義の理由から身体を洗わなかった。 皮膚にある微細な孔から、害のあるものが侵入するため入浴は身体に良くないとされた。 その孔を塞ぐために垢をため、頻繁に着替えをするのが良いとされた、、、 特に欧州の人たちが19世紀頃までまでの病的なほどに入浴や、洗顔、手洗いを嫌い、それらを異教徒の行いとしてみていた事など、今の常識から比べると大きなギャップ仁川驚く。 そして20世紀後半に入って、衛生というレベルを超えて、極端なまでの口臭、体臭に対する恐怖感と、それを抑制する商品が爆発的に売れ始めるアメリカの極端さも面白い。 しかし、コロナウイルス騒ぎで、手の洗浄やソーシャルディスタンスが厳しく言われる昨今、笑ってばかりもいられなくなった。それが前回(たぶん10年くらい前か?)と今回の読後感の違いだろうか。
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人が清潔にすること、入浴することに価値を見出したのは、古代ローマ時代と1960年代以降。 王族、貴族でさえも一生のうち身体を洗ったのは数えるほど。 有名な話だが、ベルサイユ宮殿にはトイレがない。 マリー・アントワネットやポンパドール夫人の優雅に膨らんだドレスは、立ったまま用が足しやすい。 豪華な衣服を洗うことはない。 リネンの下着を替えれば、それが身体を清潔にすることになった。 パリの街路は馬糞と、アパルトマンの窓からふりそそぐ糞尿まみれ。 読んでいて、思わず鼻をつまみそうに。 それに比べると、江戸時代の日本は何と清潔だったことか。
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