ローマ人の物語(32) の商品レビュー
「ローマ人の物語」シリーズは、全15巻からなる単行本が、毎年一冊づつ、2~3冊の文庫に分けて出版されていて、第11巻「終わりの始まり」が文庫化されたのが2007年。 文庫版では№29~31となる。 2007年に№31まで読んでいて、単行本12巻目「迷走する帝国」が1年後に文庫化...
「ローマ人の物語」シリーズは、全15巻からなる単行本が、毎年一冊づつ、2~3冊の文庫に分けて出版されていて、第11巻「終わりの始まり」が文庫化されたのが2007年。 文庫版では№29~31となる。 2007年に№31まで読んでいて、単行本12巻目「迷走する帝国」が1年後に文庫化されるのを待っているうちに、読むのを忘れていた。 久しぶりに再開。(2013年2月) しかし前巻までの登場人物をまったく忘れてしまっている。 長編物語を再開するときはいつものことなので、気にせずに読み進める。 カラカラ、ヘラガバルスなど、聞き覚えのある皇帝が登場。 危機の中で、ローマ帝国が行ったさまざまな制度改編と、それがもたらす社会の変質を描く。
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Severus Alexanderの治世についてである。 世界史の教科書ではあまり取り上げられることがないが、彼の時代にパルティア帝国がササン朝ペルシアにとって代わり、彼の死後にいわゆる軍人帝国時代となったのだ。 ペルシアとの戦役では、筆者は引き分けに終わったがローマが優勢と...
Severus Alexanderの治世についてである。 世界史の教科書ではあまり取り上げられることがないが、彼の時代にパルティア帝国がササン朝ペルシアにとって代わり、彼の死後にいわゆる軍人帝国時代となったのだ。 ペルシアとの戦役では、筆者は引き分けに終わったがローマが優勢という論調で記載しているが、文献によってはローマ川の劣勢という記述も見られるので注意されたい。
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終末に向かって迷走する帝国…今になってその状況が把握でき、何が問題だったのか理解することもできるが、その時代に生きていた上層部はわかっていたのか。今の日本はどうなのかな。どこに向かっている過程なのだろうか。
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建国以来、幾多の困難を乗り越えながら版図を拡大してきた帝国ローマ。しかし、浴場建設で現代にも名前を残すカラカラの治世から始まる紀元3世紀の危機は異常だった。度重なる蛮族の侵入や同時多発する内戦、国内経済の疲弊、地方の過疎化など、次々と未曽有の難題が立ちはだかる。73年の間に22人...
建国以来、幾多の困難を乗り越えながら版図を拡大してきた帝国ローマ。しかし、浴場建設で現代にも名前を残すカラカラの治世から始まる紀元3世紀の危機は異常だった。度重なる蛮族の侵入や同時多発する内戦、国内経済の疲弊、地方の過疎化など、次々と未曽有の難題が立ちはだかる。73年の間に22人もの皇帝が入れ替わり、後世に「危機の3世紀」として伝えられたこの時代、ローマは「危機を克服する力」を失ってしまったのか。
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カラカラ帝からアレクサンデル・セヴェルス帝までの三世紀の危機の前半の話です。軍人皇帝時代に突入するまでの話になります。 この時代の話になると,五賢帝時代からの指導層との違いと,その違いが何故起こったのか? ということを考えさせられます。ローマを取り巻く国内外の環境が変わったと...
カラカラ帝からアレクサンデル・セヴェルス帝までの三世紀の危機の前半の話です。軍人皇帝時代に突入するまでの話になります。 この時代の話になると,五賢帝時代からの指導層との違いと,その違いが何故起こったのか? ということを考えさせられます。ローマを取り巻く国内外の環境が変わったと言うこともあるのでしょうが,人材育成や考え方の変化ということも要因としてあげられるのでしょう。「三世紀の危機」といわれるタイトル通りの「迷走する帝国」の始まりの話ですが,これ以降の軍人皇帝時代は,より一層「迷走する」ことになるわけです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
カラカラ帝(アントニヌス帝)から4人の皇帝を描く。 誰にでもローマ市民権を与えたアントニヌス勅令の結末が意外でした。キリスト教会だけがこの法を人道的な(ヒューマンな)法であったと誉めているとしているが、これこそがローマ帝国の基盤である「ローマ市民権」の魅力(特に長期的な防衛システムの基盤としてのローマ市民権保有者とそうでないものの役割分担)を失わせたと。 毎回のことながら、カエサルとの比較が満載。でも、示唆に富むことばが多いです。
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ついに誰でもローマ市民!というのはすごい。だが、これがローマ帝国の基盤を揺るがしてしまった。もっともだ。 カラカラ帝の謀殺の後ろにいたのは女で、その後の皇帝は女が後ろで支配した、というのは少しびっくり。今までのローマ帝国ではなかったことではないか。
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三世紀の危機。帝国指導者層の質の劣化、蛮族侵入の激化、経済力の衰退。知識人階級の知力の減退。キリスト教の台頭。めまぐるしく皇帝が入れ替わる。カラカラ、マクリヌス、ヘラガバルス、アレクサンデル・セヴェルス。
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偉大な皇帝により築かれたローマ帝国の強力な地盤が、徐々に崩れ始めている様が描かれている。打つ手、打つ手が裏目、裏目に出る悪循環の様は、現在の閉塞的な日本の情勢と重なるような気がしてしまう。
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