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死が最後にやってくる の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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クリスティーの夫が考…

クリスティーの夫が考古学者であるので、クリスティーはよく中東に行ったようです。その経験を生かした作品で、舞台はエジプトのナイル河近辺です。ポアロやマープルは登場しませんが、ストーリーの加え情景の描写が美しく十分楽しめました。

文庫OFF

2019/09/27

紀元前2000年のエジプトが舞台。墓守一家の寡父インホテプは北の領地を検分したあと若い妾ノフレトを伴って戻ってきた。この出だしを見て何も起こらないはずがないじゃないか。案の定ノフレトが来たその日から長男、二男夫婦、三男、子ずれの未亡人の長女、インホテプの母、書記、下女などからなる...

紀元前2000年のエジプトが舞台。墓守一家の寡父インホテプは北の領地を検分したあと若い妾ノフレトを伴って戻ってきた。この出だしを見て何も起こらないはずがないじゃないか。案の定ノフレトが来たその日から長男、二男夫婦、三男、子ずれの未亡人の長女、インホテプの母、書記、下女などからなる一家に次々に死が訪れる。 またしても実権を握る父に牛耳られる子供達。父は子供たちをふがいないと思い、3兄弟も互いに相手をみくびっている。そこに夫に死なれた長女が子連れで戻り、今回はさらに家長の父を「馬鹿な子だよ」というその母がいて重層構造。冷静に見ているのはその父の母と書記。そこに妾ノフレトと北方からやってきた別な書記。一見平和に見えていた家族がノフレトの出現で実は内に秘めた本心をさらけだす。これが実にリアルで4000年の時間的隔たりは無い。 クリスティの前書きでどこの場所でいつ起こっても構わないものです、と断りを入れているが、ナイルの流れと写真などでみる黄土色の大地などを想像すると、愛憎がいっそう浮き立つ。いままでのクリスティで最高にスリリングでおもしろかった。新劇で劇化したらおもしろいんじゃないか。 戦い済んで日が暮れて、ならぬ死ぬだけ死んで、最後はめでたくカップル誕生。・・しかし犯人はこうくるか・・ 抑圧されたいい子の仮面をかぶって親に従うのはよくないってことですよね。ってクリスティは繰り返しこのテーマを描いてますね。 1945発表 1978.7.31発行 1983.12.31第9刷 図書館

Posted byブクログ

2019/05/17

再読だが内容はすっかり忘れていた。 紀元前のエジプトが舞台という異色作。 一家の権力を握る父親が美貌の愛妾を連れ帰ったことから一族の中で反目がおこり、やがて連続殺人に発展してゆく。 特に古代エジプトに関する予備知識は必要ないし、キャラの書き分けがうまく、後半は展開が速いので読みや...

再読だが内容はすっかり忘れていた。 紀元前のエジプトが舞台という異色作。 一家の権力を握る父親が美貌の愛妾を連れ帰ったことから一族の中で反目がおこり、やがて連続殺人に発展してゆく。 特に古代エジプトに関する予備知識は必要ないし、キャラの書き分けがうまく、後半は展開が速いので読みやすかったが、エキゾチックさはあまりなく、クリスティの得意とする一家の中の殺人事件という感じだった。

Posted byブクログ

2018/05/17

古代エジプトを舞台にしたアガサ・クリスティーの異色ミステリー。 夫が考古学者であったこともあり、クリスティーには中近東やエジプトなどの発掘ネタのストーリーが少なからずありますが、舞台そのものを古代エジプトに設定する作品は珍しい。 本作ではその古代エジプトの情景や生活ぶりを、メイン...

古代エジプトを舞台にしたアガサ・クリスティーの異色ミステリー。 夫が考古学者であったこともあり、クリスティーには中近東やエジプトなどの発掘ネタのストーリーが少なからずありますが、舞台そのものを古代エジプトに設定する作品は珍しい。 本作ではその古代エジプトの情景や生活ぶりを、メインのミステリーに彩りを添えるべく抒情たっぷりに描き出していてとても面白かった! また、クリスティーが得意とする登場人物の性格の際立たせ方や心理状態の掘り下げ方も、この抒情たっぷりの古代エジプトという舞台に大変に上手くマッチしており、仮に殺人事件と謎解きをメインとしない普通の小説であったとしてもなかなかの出来栄えだったと言えるでしょう。 夫と死に別れたレニセンブは娘を連れて実家である墓守僧兼大地主の父インホテプのもとに帰ってきた。昔なつかしい家族や光景に浸る彼女。しかし、書記であるホリは、外見上はともかく内側から朽ち果てるものもあると彼女に指摘する。 そんなある日、北の領地から父・インホテプがナイルを下って帰ってきた。若く美しい妾のノフレトを連れて・・・。 これまで、長男ヤーモスと次男ソベク、そしてその家族たちは、父インホテプの専制的態度に抑圧されていて、みんな不満を溜め込んで生活していたのだったが、ここに新たな火種が投下された・・・。 クリスティーは本当に家族内のどろどろした状況と心理状態を描くのが上手いと思う。 特に、専制的な一家の大黒柱とそれに虐げる家族という構成を描かせると一品ですね。 何といっても身近に居そうで、あの人に似ているかも!と思わせるような人物設計と、とことん読者に共感を呼ぶような心理描写がたまらないです。(笑) 本作では特に登場人物の人となりが多彩に描かれていて、夫や弟嫁をいたぶることに喜びを見出す長男ヤーモスの妻サティピィとか、わが子愛でわが道をゆく次男ソベクの妻カイトとか、老齢に至りあらゆることやものに達観しているインホテプの母エサとか、おべっか使いでチクリ屋の召使ヘネットなど、何か現実感があり周りに居そうな人間たちに大いに魅せられました。 物語は半主役であり読者の視線であるレニセンブの都度の考えや感情が紡がれるとともに、一方で連続殺人事件が発生し家族内の異様な雰囲気の中で進行していきます。 ここで自分はというと、連続殺人であることが明白になった中ほどの事件で、ある程度犯人の目星はついたと思っていて、レニセンブと祖母エサ、書記ホリの三者がいちじくの木の下で会談した後では、その後の物語の推移まで予測がついたと思ったのですが、次と次の次の被害者は当たったものの、物語の推移はかなり外してしまいました。(笑) しかし、犯人はやはり自分の思った通りだったので、推移の予想は外れはしたものの、まあ満足の得られる読後感でした。(笑) ロマンと愛憎とミステリーを見事に融和させたクリスティーの意欲作であり佳作であったと思います。

Posted byブクログ

2010/06/01

エジプトが舞台という ユニークなミステリー。 もちろんそこかしろに古代の香りが 漂っております。 そしてそれプラスの要素として 新しい妾を連れてきたことによる 一族の愛憎劇がいやというほど見ることができます。 なんか怖いですよ。本当に。 その中で一人冷静な人が 主人公。 この...

エジプトが舞台という ユニークなミステリー。 もちろんそこかしろに古代の香りが 漂っております。 そしてそれプラスの要素として 新しい妾を連れてきたことによる 一族の愛憎劇がいやというほど見ることができます。 なんか怖いですよ。本当に。 その中で一人冷静な人が 主人公。 この女性と比べたら 他の女性が「イカれてる」ように 映ってしまいます…

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