奇術探偵 曾我佳城全集 の商品レビュー

泡坂妻夫(著者)

2010/08/22

　女流奇術師曾我佳城を探偵役とした連作短編集である。わりあい小味だけど、きりっとした話が多くて面白かった。特にスキー小屋から佳城の書いたものや写真が片っ端から消えていく話は、まるでミステリのお手本のような感じである。
　探偵役の彼女があまりにも魅力的な存在に描かれているから、最終話はショックだった。単に意外な犯人と言うだけではなく、動機が。自分はけっこうセンチメンタルな読者なのだなと思ってしまった。

2009/12/29

奇術を絡めたミステリ連作短編集。これは……とんでもなく見事！　いや、こういうオチ「だけ」ならば、充分に予測されるのだけれど。とある一編を最終話読了後にもう一度読むと、そこでがらりと物語の様相が変わっちゃうんだよね。うわー、気づかなかった！　これぞ「連作短編集」の醍醐味ってやつかしら。
個人的お気に入りは「白いハンカチーフ」。ト書きだけで進む物語、という異色面もさながら、これは動機に唸らされた一作。こういうの、けっこう好きだな。伏線も面白かったし。

2009/11/02

『天井のトランプ』
　　密室で殺害された被害者。現場の天井に貼り付けられたトランプ。

『シンプルな味』
　　アメリカ旅行ツアーで起きた殺人事件。現地に住む日本人マジシャンと事件の関係。

『空中朝顔』
　　空中に浮かぶ朝顔。蘇我佳城を魅了した朝顔に隠された過去。

『白いハンカチーフ』
　　隔離された女子高で起きた食中毒事件。ワイドショー出演中に解かれた謎。

『バイスデーロープ』

『ビルチューブ』

『消えた銃弾』

2009/10/07

3月11日読了。2000年の「このミステリーがすごい」第1位獲得作品。美しき女奇術師が数々の難事件を解決していく、連作短編もの。元アマチュアマジシャンという著者の作品は初めて読むが、昭和の大衆小説のようなユーモアが随所にあふれ、またサクサク読める連作形式でもあることから楽しく軽快に読み進めることが出来た。最終話のオチの付け方には一本取られた！という感じだが、最高の終わり方とも言える、かもしれない。

2009/10/04

20年にわたり書き続けられた奇術小説「曾我佳城シリーズ」を1冊にまとめたもの。バラエティに富んでいて楽しめる。