長い長い眠り の商品レビュー
長篇なんだけどまとまりがないというかダラダラ展開してゆく。 といってつまらないかというとそうではない。物語の大半がモノローグで進むから拒否感があるのかな?
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殺人ミステリーでありながら暗さは感じられない。登場人物はみな怪しげな人物である。しかし読み進んでいってもなかなか犯人像が浮かばない。情景と心理描写は的確であり、ミステリーの中にユーモアもあって楽しく読める。巻末の解説で中辻理夫が次のように書いている。「悲劇の中の喜劇であり、喜劇の...
殺人ミステリーでありながら暗さは感じられない。登場人物はみな怪しげな人物である。しかし読み進んでいってもなかなか犯人像が浮かばない。情景と心理描写は的確であり、ミステリーの中にユーモアもあって楽しく読める。巻末の解説で中辻理夫が次のように書いている。「悲劇の中の喜劇であり、喜劇の中の悲劇である。悲劇と喜劇はいずれも等しく人生に横たわっている」。思いがけないことから、悲劇が生じる。悲劇も喜劇も運命の匙加減次第。でもそれが人生だと納得させるミステリー小説だと思う。最後の郷原警部の夜中の調査経過の日記、そして眠りから覚めた翌日の思いがけない結末。考え抜かれたストーリーだと感心した。
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「わたしは犯人を女と限定したわけではありません。悲鳴をあげさせぬためには,猿ぐつわをはめてから,無理に毒薬を飲ませてもいいでしょう」 「なるほど。しかし,猿ぐつわのはまった口に,どうやって毒薬を飲ませるかね」 部長はそこまで言うと,足を速めて鬼頭刑事を離した。鬼頭刑事の考えてい...
「わたしは犯人を女と限定したわけではありません。悲鳴をあげさせぬためには,猿ぐつわをはめてから,無理に毒薬を飲ませてもいいでしょう」 「なるほど。しかし,猿ぐつわのはまった口に,どうやって毒薬を飲ませるかね」 部長はそこまで言うと,足を速めて鬼頭刑事を離した。鬼頭刑事の考えていることは,少なくとも一人前のおとなの考えることではない、。部長は腹立たしさよりも,悲しさが先に立った。彼は最低の刑事を部下に持ったことを知ったのである。 (本文p.56)
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