マンハッタン物語 の商品レビュー
マンハッタンはニューヨークの中心部。 ザ・シティと呼び習わされているそうです。 マンハッタンをこよなく愛するローレンス・ブロックが、マンハッタンに縁の深い作家に依頼して、まとめた短編集。 ニューヨークを舞台にしている、どこかダークなミステリというテーマ。 地図が載っていて、なるほ...
マンハッタンはニューヨークの中心部。 ザ・シティと呼び習わされているそうです。 マンハッタンをこよなく愛するローレンス・ブロックが、マンハッタンに縁の深い作家に依頼して、まとめた短編集。 ニューヨークを舞台にしている、どこかダークなミステリというテーマ。 地図が載っていて、なるほど~と興味をそそられます。 位置関係をけっこう勘違いしていたわ~。 「見物するにはいいところ」ジェフリー・ディーヴァー。 ヘルズ・キッチンという名は次第に使われなくなってきた地区で。 ペテン師のリッキーと組んでいる人間、悪徳刑事の三つ巴の混戦。 「雨」トマス・H・クック 雨の夜、バッテリー・パークで、人々の運命が交錯していく… 「次善の策」ジム・フジッリ 売れないピアノ弾きのマクシーと暮らしてきたミッツィ。 ろくでなしの正体に気づいた頃、同じアパートのマリアと親しくなる。 マクシーが銀行強盗の片棒を担ぐ計画を知って… 「怒り」S.J.ローザン ハーレムを舞台に。 レックスは恋人を寝取った男ともみ合い、殺人罪で10年、仮出所で8年の保護観察中。 犯罪に関わるつもりは全くなかった。 近所に住む少年達の動向が気になっていると、事件が起きてしまい、その捜査で、刑事がしつこく絡んでくるようになり… 「ニューヨークで一番美しいアパートメント」「男と同じ給料をもらっているからには」など、タイトルも面白い。 「住むにはいいところ」ローレンス・ブロックで締め。 全部で15本の珠玉の作品集といっていいでしょう。 暗めでしゃれた味わいのものが読みたいときに。 作品ごとに地図がつき、巻頭のブロックによる序文、巻末の著者紹介も充実。 面白かったです。
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ニューヨークを舞台にした、短編集。 *見物するにはいいところ ジェフリー・ディーヴァー *善きサマリヤ人 チャールズ・アルダイ *最後の晩餐 キャロル・リー・ベンジャミン *雨 トマス・H・クック *慈善の策 ジム・フジッリ *男と同じ給料をもらっているからには ロ...
ニューヨークを舞台にした、短編集。 *見物するにはいいところ ジェフリー・ディーヴァー *善きサマリヤ人 チャールズ・アルダイ *最後の晩餐 キャロル・リー・ベンジャミン *雨 トマス・H・クック *慈善の策 ジム・フジッリ *男と同じ給料をもらっているからには ロバート・ナイトリー *ランドリールーム ジョン・ラッツ *フレディ・プリンスはあたしの守護天使 リズ・マルティネス *オルガン弾き マアン・マイヤーズ *どうして叩かずにいられないの? マーティン・マイヤーズ *怒り S・J・ローザン *ニューヨークで一番美しいアパートメント ジャスティン・スコット *最終ラウンド C・J・サリヴァン *オードリー・ヘプバーンの思い出に寄せて シュー・シー *住むにはいいところ ローレンス・ブロック もうこの豪華ラインナップ見るだけで軽く感動してしまう。 序文によると原題は「マンハッタン・ノワール」でマンハッタンを舞台にしたミステリーであると同時にノワール(黒)であることをブロックは作家たちに求め、それに応じてくれた作品たちであるということだ。 あの同時多発テロの影響がないとはいえない。 むしろ、あのテロがどの作品の根底に低く確かに流れ続けている。そして、どの作品もノワールを描きながら、どこかに光を求めているような感触がある。 そう。闇にあるから、光はより強く確かに感じるのだ。 マンハッタンは決してテロに屈しない、と作品がというより、描かれている街そのものが頭を上げているように思った。 どの作品もいいが、私は特にクックの「雨」がよかった。 ミステリーというより、一編の映画を見ているような詩情があり、クックの新しい面が垣間見られた。 と、ジョン・ラッツは、やっぱり怖かった。人間の怖さを描かせると、ラッツを超える人はいないんじゃないかとまた思った。 ともあれ全くはずれのない極上の短編集でした。
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