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眼中の人 の商品レビュー

4.2

7件のお客様レビュー

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2021/08/24

 芥川龍之介の2年先輩でありながら作家としては随分後輩な作者が小説とは何かを友人である芥川、菊池等との付き合いを通じて成長する姿が判ります。また芥川は偉大な作家である事を改めて感じました。

Posted byブクログ

2021/01/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作者が若い頃、自分の文学を確立ようともがいていた様を綴った、回顧的成長譚。 同じ世代で一歩も二歩も抜きん出ていた芥川龍之介や菊池寛とのエピソードや、彼らに対する自身の心情がとても細かく、そして素直に書かれている。 はじめは対抗意識や憧れと劣等感が大きかった彼らとの関係も、二人や周りの作家に認められ、また自身の強い苦悩や努力を経て、肩肘の張った二人との関わり方も変わっていく。 ついに自分が書くべきもの、憧れる二人にあって自分にないものをはっきりと見つける瞬間がくるのだけど、そこに至る流れが、熱い。 作者が見つけた文学の大切な部分は、物をつくることだけではなく、人との関わり方や、人生を味わって生きていくためにも大切なことだと思う。 二十歳くらいの頃読んで、とても熱い気持ちになった覚えがあるけど、今回はもう少し落ち着き、そうだよね、といった強い同意的な気持ちで読んだ。 しばらく空けて再読するのも面白い。 芥川と菊池の創作スタイルの違い、つまりは思想の違いなどは、近くで見ていた人ならではの感じ方で味わい深い。 また、全体を通して文章の肌触りが良く、活字を読んでいるのに美しい字を読んでいるような気持ちになった。 本書の解説によると、眼中の人とは「常に眼中にあって忘れられない人」とのこと。

Posted byブクログ

2019/07/07

小島政二郎はもともと気弱だった いつも人に合わせる、気苦労の絶えない男だった 小説家としては芥川龍之介に心酔し、文章の美しさにこだわっていたが 世間からまったく注目されず、自身の創作も行き詰まっていた しかし、芥川の家で知り合ったライバル・菊池寛から軽く扱われ 精神的に追い込まれ...

小島政二郎はもともと気弱だった いつも人に合わせる、気苦労の絶えない男だった 小説家としては芥川龍之介に心酔し、文章の美しさにこだわっていたが 世間からまったく注目されず、自身の創作も行き詰まっていた しかし、芥川の家で知り合ったライバル・菊池寛から軽く扱われ 精神的に追い込まれた彼は 佐藤春夫の文章をヒントに、自らの殻を破ることに成功 また鈴木三重吉との確執を経て、その義理の妹と結婚したことで 徐々に自我の目覚めを得た そして、睡眠薬を飲みすぎた菊池の狂乱を目の当たりにしたとき 小説家として、ひとつの悟りを得た 文章を飾っても仕方ない 自己の思想に基づいて世の中を語らなければ読み手の心を揺さぶれず そのためには、自己を肯定しなければならない それに気づいた小島は、出世作となる「一枚看板」を書くのだけど そういう考え方が後年 小島にまつわるさまざまな悪評の流布した原因にもなったと思う 芥川龍之介も「一枚看板」は絶賛したが やはり後年、逆に小島は芥川に否定的な評伝を出している しかし「龍門の四天王」と呼ばれた人物の立身伝であり 教養小説であるこの作品は 大正時代の文壇を、ある一面から非常にいきいきと書いており 興味深いものだ

Posted byブクログ

2019/03/14

著者の自伝的小説であり大正文壇史でもある。 芥川龍之介と知り合いその読書量、知識 すべてに惹かれ、菊池寛には最初反発を 覚えるものの自身の中で再評価し交友を深める。 どんどん力を伸ばしていく周囲と比較して 自身の力量の無さにほとほとがっかり していた著者が長い時間をかけて 自身...

著者の自伝的小説であり大正文壇史でもある。 芥川龍之介と知り合いその読書量、知識 すべてに惹かれ、菊池寛には最初反発を 覚えるものの自身の中で再評価し交友を深める。 どんどん力を伸ばしていく周囲と比較して 自身の力量の無さにほとほとがっかり していた著者が長い時間をかけて 自身の考え方を変えて成功していく。 代作について読みたかったので手に取りましたが 芥川、菊池との交友や文壇史的内容がとても面白かったです! 菊池、芥川、著者の三人の旅行中に菊池が薬を 飲み過ぎるくだりは同じ内容をどこかで読んだことある… と がんばって記憶をたどると、なんのことはない 北村薫『六の宮の姫君』で主人公の私がこの本を 円紫さんからお借りして該当部分を読んでました。 20年ほど前に「私」を通して読んでたんですね(´艸`*)

Posted byブクログ

2015/04/24

2015年4月22日読了。 素晴らしかった。自らへの問いかけと、書くことへの執着。本当に素晴らしい。

Posted byブクログ

2015/02/12

芥川・菊池寛らとの交友に恵まれながらも、小説について著者が苦悩・模索している姿が描かれている。著者の苦悩・喜び・決意などの感情がストレートに描かれているのが印象的。 大正時代の雰囲気、芥川らとの交友についても分かり面白い。

Posted byブクログ

2009/10/04

小島の私小説(・・・だよね?) 芥川とか菊池とか・・!個人的には、小島の奥さんが非常に愛らしいと思います・・・!(笑)

Posted byブクログ