必要になったら電話をかけて の商品レビュー
ラストの一行の、ふと醒める感じ。 自由律詩のような。 我々は時代の波に振り回されずに一歩一歩自分の道を進んでいかなければならない。 例え取るに足らないようなものに見えるささやかなのであっても、それはしっかりと誠実に守られねばならない。 村上春樹
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※このレビューにはネタバレを含みます
図書館員が薦めるうちに帰るまで中味がわからない大人向けの本1冊目。この空気感。他人との関係に対する絶妙な距離感。情景が淡々と描かれているわりには人との関係があいまいな感じ。村上春樹訳だから余計に強調されているのかもしれないが。。短編だから読みやすかった。「夢」がよかった。序文と後書きが長かったのが残念。
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『大聖堂』を読んだことがあるので、2冊目のカーヴァー。生前刊行されなかった小説を集めた短篇集ということで、やはりどこか『大聖堂』と毛色は違う。それをAクラスの作品ではないとか、そういう捉え方をするのはどこか違うと思う。翻訳者の村上春樹はそういう表現をしているのだけれど、この違いは...
『大聖堂』を読んだことがあるので、2冊目のカーヴァー。生前刊行されなかった小説を集めた短篇集ということで、やはりどこか『大聖堂』と毛色は違う。それをAクラスの作品ではないとか、そういう捉え方をするのはどこか違うと思う。翻訳者の村上春樹はそういう表現をしているのだけれど、この違いはいわばよくヤスリをかけられてニスの塗られた木肌と、無垢材との違いのようなものだ。 作者に何度も手を入れられて磨き上げられた作品はもちろん面白く読めるものだけれど、推敲の手が回らなかった小説も、読者は充分愉しむことができる。完成度という評価軸は必ずしも、作品を読む歓びを左右するものではない。書き上げられたばかりのような、木の匂い立つような小説を私は愉しむことができた。
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「必要になったら電話をかけて」、私もラストがあまり好きではない。電話かけちゃうの?!と思ってしまった。
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テス・ギャラガーという方が序文を書いています。 あとがきで知りましたが、この方はレイモンド・カーヴァーの夫人ということで、本書が未発表作品集だということを語ってます。 初レイモンド・カーヴァーでしたが、すごく良かった。 最初に未発表作を読むのもなんだか申し訳ない気持ちです。 本...
テス・ギャラガーという方が序文を書いています。 あとがきで知りましたが、この方はレイモンド・カーヴァーの夫人ということで、本書が未発表作品集だということを語ってます。 初レイモンド・カーヴァーでしたが、すごく良かった。 最初に未発表作を読むのもなんだか申し訳ない気持ちです。 本当に素晴らしい小説! この小説は短編集で、人生の岐路に立った主人公たちが次のステージへ向かおうとしている話ばかりです。 どこにでもあるような人生の場面を、静かに、息づかいがわかるくらいにリアルに表現してます。 最初の「薪割り」がすごく好きです。 こんななんでもないような話が「で?」って感じで終わるので、それもまたすごくいい。 初期の作品から全て是非読んでみたい作家です。 楽しみがまた増えました。
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村上春樹が翻訳者でなければ。おそらくカーヴァーを読むことはなかっただろう。そうすると、20世紀アメリカ文学についての、ある一側面を知ることもできなかったことになる。本書に収録された5つの短篇は、いずれもカーヴァーの没後に発見された遺稿を編集したものであるが、そうは思えないくらいに...
村上春樹が翻訳者でなければ。おそらくカーヴァーを読むことはなかっただろう。そうすると、20世紀アメリカ文学についての、ある一側面を知ることもできなかったことになる。本書に収録された5つの短篇は、いずれもカーヴァーの没後に発見された遺稿を編集したものであるが、そうは思えないくらいに短篇集としての統一感を持っている。いずれの物語にも、大きな事件が起こる訳でもなく、もはや若くないカップルのいわば淡々とした日常が描かれるのだが、そこには生きていることの確かさのようなものが強いリアリティを持って迫ってくるのである。
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どこで間違ったのか帯を読まずに買ったせいで、 はじめて読むカーヴァーに未発表作品集を選んでしまった。 それでも十二分に個性的な作品集になっていて、 読み終えても失敗したとは思わなかった。 というのも、本人が世に出さなかった作品ということもあり、 確かに散漫な印象を受けるところ...
どこで間違ったのか帯を読まずに買ったせいで、 はじめて読むカーヴァーに未発表作品集を選んでしまった。 それでも十二分に個性的な作品集になっていて、 読み終えても失敗したとは思わなかった。 というのも、本人が世に出さなかった作品ということもあり、 確かに散漫な印象を受けるところもあるのだが、 それがかえってサバサバした作風に拍車をかけるようなところがあって、 もっとこの人の作品を読みたいという気持ちになったから。 村上春樹とはだいぶ作風が違うから、 彼のファンにばかり読まれるのはちょっと損してるかも。
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『薪割り』が一番イメージに残ってるかなあ。文章だけ読んでいれば、モヤモヤする気持ちを抱えたまま、結局そのモヤモヤは消えないのだけれど、薪を割ることによって少しだけ気持ちが整理できて、次の場所へ歩いていく、というそういう話なわけですが、もちろんそういう話ではないワケです。 良い小...
『薪割り』が一番イメージに残ってるかなあ。文章だけ読んでいれば、モヤモヤする気持ちを抱えたまま、結局そのモヤモヤは消えないのだけれど、薪を割ることによって少しだけ気持ちが整理できて、次の場所へ歩いていく、というそういう話なわけですが、もちろんそういう話ではないワケです。 良い小説には匂いを感じる。レイモンドカーヴァーの言葉にも、良い匂いがあると思う。
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9/29 村上春樹の色は出ていた気がする。 レイモンド・カーヴァーの作品はみんなあんな感じなんだろうか… 良かったとは思うけど、テーマが結構似通ってたなあ。 この中に入ってる短編はレイが亡くなってから世に出たものだから、そこまでの完成度にはなってなかったってことなのかもね。
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