名作はいつもアイマイ の商品レビュー
取り上げられている作家は文豪とよばれる方ばかりですが、読んだことがない作家も多かったので、西川さんの視点を通すことで読んでみたいと興味を持ちました。 巻末の書き下ろしエッセイの中で触れていた向田邦子のエピソードが印象的でした。
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※このレビューにはネタバレを含みます
やはり印象に残ったのは、 ・「隣の犬」向田邦子 一度も名前を呼ばれたことのない(名前も付いてなかったのかも)多分愛情ももらうことなく保健所に連れていかれることになった隣の犬を思ってその夜は絡む悪いお酒になってしまったエピソード。 ・「トロッコ」芥川隆之介 行きはよいよい帰りは怖いをまさに地でいく話し。主人公の良介の心細い不安な気持ち、 これは大人になってもふと何かの拍子に思い出してしまう強烈な出来事だったろう。 ・「海と毒草」遠藤周作 人間失格の葉蔵を思わせる戸田、 抜粋部分だけでは物足りない。全編通して読みたくなった。 ・「メリイクリスマス」太宰治 何年か振りに偶然会った少女だった女性。母親とも懇意にしてたらしく会いにいくことに。でもその母親は広島の原爆で死んでいたことを告げられず…。母親の好きだった鰻を三人分頼んでまるで存在しているかのように振る舞う太宰(私の中ではもう同一人物) 心に沁みる短編だった。
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【いちぶん】 しかし余りの豊かさに私は溺れ、のめりこみ、幾日も日常に戻って来れないほど、その森は深かった。
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紹介作品が、いくつかは一部だったけれど一緒に収められているのがとても良かった。書評なんかで興味を持っても実際に手に取るまでに間が空いてしまったり結局忘れてしまったりするので、並べてもらえたおかげですぐに作品の世界に飛び込めた。しかもどの作品も本当に魅力的。有名な作品というのはやは...
紹介作品が、いくつかは一部だったけれど一緒に収められているのがとても良かった。書評なんかで興味を持っても実際に手に取るまでに間が空いてしまったり結局忘れてしまったりするので、並べてもらえたおかげですぐに作品の世界に飛び込めた。しかもどの作品も本当に魅力的。有名な作品というのはやはり読むべきなのだなあと認識させられました。
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文学を文学足らしめる要素とは、人間を描くことに他ならぬことを改めて実感。正解のないアイマイさ、彼岸と此岸を揺れ動くその危うさを愛でる行為こそ"文学的"なのだ。西川美和さんのセレクトとレビューは悔しいぐらいのセンスに溢れる。 それにしても半分は読んでるはずなのに...
文学を文学足らしめる要素とは、人間を描くことに他ならぬことを改めて実感。正解のないアイマイさ、彼岸と此岸を揺れ動くその危うさを愛でる行為こそ"文学的"なのだ。西川美和さんのセレクトとレビューは悔しいぐらいのセンスに溢れる。 それにしても半分は読んでるはずなのに、綺麗さっぱり中身を忘れていて初見の新鮮さを味わえてしまった。中高生時代に読み流した名作の数々を、オトナになった今腰を据えて再読したら。きっとより人間の曖昧な妙を愉しめるに違いない。
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主として男性向けの雑誌に、「授業」という形で連載された文章であるせいか、西川美和さんの文章がそこはかとなく色っぽい気がします。
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ここで紹介される作品はどれも正誤や善悪では割り切れない登場人物の物語。完全な善人も完全な悪人もいない訳であり、リアルな人間を描こうとすると必ず曖昧模糊とした存在になる。故に名作はいつもアイマイであり、アイマイな登場人物が絡み合う西川作品もまた強烈に文学を感じさせるのである。
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私も自宅の本棚からなるべく自分の手垢のついていないものを引っ張り出してページを開き、狙いを定めて言葉の狩りにでてみたところ、そこは案の定、探す前に獲物が飛び出してきてくれるような豊かな狩場でありましたが、しかしあまりの豊かさに私は溺れ、のめりこみ、幾日も日常に戻って来れないほど、...
私も自宅の本棚からなるべく自分の手垢のついていないものを引っ張り出してページを開き、狙いを定めて言葉の狩りにでてみたところ、そこは案の定、探す前に獲物が飛び出してきてくれるような豊かな狩場でありましたが、しかしあまりの豊かさに私は溺れ、のめりこみ、幾日も日常に戻って来れないほど、その森は深かった。
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読後、ちょっと考えてしまうような面白い名作が並んでいるので、 初めて読む人は楽しめると思います。 残念だったのは、名作のいくつかが抜粋した状態で掲載していたこと。 なんで切るかなぁ。オススメだったら全部載せてほしかった。 まぁ、気になったなら自分で本探して読めってことな...
読後、ちょっと考えてしまうような面白い名作が並んでいるので、 初めて読む人は楽しめると思います。 残念だったのは、名作のいくつかが抜粋した状態で掲載していたこと。 なんで切るかなぁ。オススメだったら全部載せてほしかった。 まぁ、気になったなら自分で本探して読めってことなのでしょうが。 これでは『太巻き寿司のこの具が美味しいから、この具だけ食べて状態』だよ。 でも最後の編者のエッセイは面白かったです。 映画監督の目線が垣間見え、この人はエッセイの方が自然体を表現できると思いました。
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夏の青少年より、オトナこそ古典を読むべき! 「全ての人生は絶筆である。だからその日まで、垢抜けない、気に食わない、汗にまみれた自分だけの一着をまとって泥の中を転がり続けようではありませんか。」の一文が気に入りました。
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