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“盗作"の文学史 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2023/05/23

短歌関係が著作権にマイルドだった、てふのと、車谷長吉大先生の「武勇」傳(なんか凄すぎて凄い)、 「障子へちんこ突き刺す」のがある種の、お約束化してるとか、なので石原慎太郎先生のアレは先行「作」があったのでパクりぢゃねえか問題があったとか、いろいろあって面白い。

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2020/07/09

「遠すぎては改悪、近すぎては盗作」 どこからが剽窃で、どこまでが模倣なのか、その定義はいつだって曖昧で読んだ人の数だけ定義がある。この本ほど「盗作」について調べあげたものは後にも先にも無いだろう。

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2012/09/17

盗作・盗用・剽窃・無断引用。これらは明確に定義がなされているわけではなく、非常にグレーである。法的に著作権侵害と認められたもの以外は作家がそのモラルにより非を認めない限りはなんともいえない世界。 本書では、世間で耳目を集めたいくつかの例を詳細に紹介している。古くは倉橋由美子の「暗...

盗作・盗用・剽窃・無断引用。これらは明確に定義がなされているわけではなく、非常にグレーである。法的に著作権侵害と認められたもの以外は作家がそのモラルにより非を認めない限りはなんともいえない世界。 本書では、世間で耳目を集めたいくつかの例を詳細に紹介している。古くは倉橋由美子の「暗い旅」井伏鱒二「黒い雨」から、最近のものなら田口ランディまで幅広い。 そのまま書き写せば盗作だし、アイデアを拝借しただけなら違うのか、アイデアといっても舞台背景や登場人物の人間関係まで同じなら駄目なのか、いろいろな尺度があって難しい。ゲーテも「95%は誰かの影響でオリジナルなのは5%」と言っているようで、盗作の境界線の引き方は微妙だ。 ま、消費する側としては、面白ければ何でもありですけど。

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2011/10/29

私は江戸川乱歩賞とかこのミスとかサントリーミステリー大賞なんかの 受賞作品から乱読することが多いのですが これは昨年の日本推理作家協会賞受賞作。 先日この著者と知り合ったので読んでみました。 淡々と過去からの盗作の歴史がつづられているのですが びっくりするほど自分が知ら...

私は江戸川乱歩賞とかこのミスとかサントリーミステリー大賞なんかの 受賞作品から乱読することが多いのですが これは昨年の日本推理作家協会賞受賞作。 先日この著者と知り合ったので読んでみました。 淡々と過去からの盗作の歴史がつづられているのですが びっくりするほど自分が知らなかったことばかり。 へーとかほーとか思いながら読みました。 大藪春彦とか山崎 豊子とか井伏鱒二らの盗作スキャンダル、有名な話なんやねえ。 文学を芸術と捉えると、絵画の世界ではオマージュという言葉から広がる作品も 多々あるわけで、剽窃との境界線って難しい。 でもミステリーのトリックの盗作!あれだけはやめてほしい! オリジナルを読む際の面白みが激減しちゃうんだよー

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2010/11/16

よく調べてあって、勉強になりました。「こんなのが盗作扱いされるの?」と思うような件もあって、ちょっと怖くなることも。 著作権侵害については、裁判所の判断と、メディアが言う盗作の間に深い川があるかな。 電子書籍での著作権侵害も含めて、色々考えさせられました。

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2010/07/04

ふだん読むタイプの本じゃないんですが、なんかネットで絶賛されているのを見て帰り道に衝動買いしました。 近代以降(というか主に戦後)文学の世界で「盗作」として話題・事件になったケースについて、記事や本として残っている各人の言い分や反応を集めた本。各作品の似てると言われた部分の抜...

ふだん読むタイプの本じゃないんですが、なんかネットで絶賛されているのを見て帰り道に衝動買いしました。 近代以降(というか主に戦後)文学の世界で「盗作」として話題・事件になったケースについて、記事や本として残っている各人の言い分や反応を集めた本。各作品の似てると言われた部分の抜粋も載ってます。 「盗作」に関する話題だとネットでもテレビでもやたらと煽りがちですが、著者は冷静な語り口で好感が持てました。 どこからを盗作というか、って結構難しくて、著作権侵害でクロを勝ち取るのは非常に非常に難しいみたいです。 たしかに、テーマが似ている、設定が似ている、影響を受けた、オマージュだ、、、って、かなり主観の問題ですよね。 取り上げられているケースでも、「これで盗作って言われたら気の毒なんじゃ…」みたいなケースもあります。 ただ、「著作権」とか「オリジナリティ」に対する意識が低い(←そうなった歴史的背景もちゃんと書いてあって◎)ために「えっ、ダメなの?」的に盗作と言われかねないことをやってるケースも多いようで、それってほかの国(そもそも著作権という権利を考え出した欧米とか)に比べてどうなんだろう…、と思っちゃいました。 文壇で、「こういうのは許容範囲だけど、こういうのはよくない」的議論がまったくないのも、大御所たちが昔あんまり考えずに色々写しちゃったから、今掘り返されても困るからなんじゃないかなあ。 日本も中国のパクリを笑えないのかもしれません。

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2010/06/20

タイトルからして、もっとセンセーショナルな内容の本かと思っていましたが、実際にはそうでもありませんでした。 盗作事件そのものが、ほとんどが示談で済まされてしまっているため、なかなか大きな騒ぎになりにくいこともあるのかもしれません。 古い記録からつい最近のものまで、幅広く書かれて...

タイトルからして、もっとセンセーショナルな内容の本かと思っていましたが、実際にはそうでもありませんでした。 盗作事件そのものが、ほとんどが示談で済まされてしまっているため、なかなか大きな騒ぎになりにくいこともあるのかもしれません。 古い記録からつい最近のものまで、幅広く書かれている上、参考文献も豊富に提示されていますから、原典に当たって確認をしたい人にも便利な本です。

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2011/09/18

盗作、剽窃、引き写し、無断借用、2次創作・・・言い方はいろいろなれど、どこまでがどこまでなのか・・・盗作騒動などがあったとは、知らなかった作品も多く、というか、未読の作品ばかりなので、「へぇ〜そうだったんだ〜」なんて、いまさらながら知ることができて、なかなかおもしろかった。騒動の...

盗作、剽窃、引き写し、無断借用、2次創作・・・言い方はいろいろなれど、どこまでがどこまでなのか・・・盗作騒動などがあったとは、知らなかった作品も多く、というか、未読の作品ばかりなので、「へぇ〜そうだったんだ〜」なんて、いまさらながら知ることができて、なかなかおもしろかった。騒動のあった作品に関して、オリジナルと疑い箇所を載せてあり、自分の目で見比べることができて納得。もしかして、アイデアが似ることがあったとしても、文字にしてここまで同じ表現になっては、言い逃れは苦しいのでは、という作品がたくさんあるのだなぁ。創作とは、いかに大変なことであるのかを改めて知るところです。

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2009/10/04

[評者]〓秀実 ※〓はいとへんに圭。(文芸評論家) ■曖昧化する概念を客観的に  世に「盗作」と呼ばれる現象は尽きないが、その定義は曖昧(あいまい)である。しかも、著者が言う「ポストモダンな批評」の登場は、盗作概念を更に曖昧化することになった(と思える)。引用や作品の歴史的重層...

[評者]〓秀実 ※〓はいとへんに圭。(文芸評論家) ■曖昧化する概念を客観的に  世に「盗作」と呼ばれる現象は尽きないが、その定義は曖昧(あいまい)である。しかも、著者が言う「ポストモダンな批評」の登場は、盗作概念を更に曖昧化することになった(と思える)。引用や作品の歴史的重層を方法化する「間テクスト性」(クリステヴァ)等の概念がそれである。卑俗に解された場合、それらの概念は、文学作品の「オリジナリティー」を破壊する。  著者は、そうした概念を括弧(かっこ)に入れることで、現代にいたるまでの、日本文学における盗作の詳細な歴史を書き得た。しかしそのことは逆に言えば、「ポストモダンな批評」による盗作概念の曖昧化が、著者に価値判断抜きの「即物的な」記述を可能にさせているということであって、逆説的ながら、本書もまた「ポストモダン的な」書物ということができよう。この逆説のなかで成立したところに本書の今日性がある。  本書は近代以降の日本文学の盗作史を概観した後、倉橋由美子の『暗い旅』における二人称の語りが、ヌーヴォー・ロマンの作家ビュトールのパクリではないかと問われた論争に始まり、有名無名の盗作問題を詳細に追う。近年の数多くの盗作問題にも触れている。また、盗作問題が「著作権問題」として裁判で争われる傾向を見せ、同時にそれがネット社会という現状の問題でもあるということを指摘していて、示唆に富んでいる。  本書の記述は客観性を旨としているが、私見では、あえて倫理的に糾弾されなければならない盗作はあり、そうであるにもかかわらず曖昧に不問に付されるケースも多々ある(もちろん、逆の事態も存在する)。それは、多くの場合、出版・ジャーナリズム資本の「意志」が働いているからである。盗作問題が近代的な現象だとすれば、それは、盗作問題が資本主義という契機を抜きにしては考えられないということも意味していないだろうか。

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