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第三帝国の興亡(2) の商品レビュー

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2021/03/03
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図書館の本 読了 内容(「BOOK」データベースより) つとめて平和を口にすること、外交政策に慎重を期して、ひそかに再軍備を進めること―。独裁制を確立したヒトラーがとったこの戦略はことごとく功を奏し、オーストリアとチェコスロヴァキアの無血征服という完璧な勝利をドイツにもたらす。イギリスやフランスなどの民主主義諸国は、なぜヒトラーの野望を食い止められなかったのか。息詰まる外交戦でヒトラーが見せた、その天才的な手腕とは。膨大な資料と豊富な取材経験を駆使してナチス第三帝国の全貌を描き上げる、第一級の歴史ノンフィクション。 今までの決してヒトラーが賢かったなどとは思っていなかったけれど、ここまで稚拙で愚かで暴力的だったとは。それにつく側近はもっとひどい。だからナチの政治があそこまでの恐怖政治になっていったのね。 この1冊だけでも国は強国であるべきだと改めて思う。 チェコスロバキアの扱いは何? ヒトラーが錯乱して決めたことに列強のトップが従うってあり? 嘘とはったりだけで国を動かしているのがヒトラーなのにどうして誰も気がつかないのって思っちゃう。 ミュンヘン会議でのチェンバレンはなにしてくれてる?って思っちゃう。自国に傷がなければいいのか。戦争にならなきゃいいのか。チェコが犠牲になれば良いのか。 ヒトラーに物の通りを解けなくても、チェンバレンには理解できたでしょうに。 フランスとイギリスが事なかれ主義を貫いた結果ナチが軍備を増強できたんではないかと思える。 歴史を知っているから後出しじゃんけんでチェンバレンを責めるのは簡単という意見もあるけれど、ヒトラーの乱心ぶりが伝わってなかったわけではないでしょう? 激高して床に突っ伏して絨毯を噛んでいたヒトラー。 こんなやつに世界の命運あずけてはいけないというのは誰が見てもわかることじゃなかったのかと思ってしまう。 「水晶の夜」だってなんの理由もなく、SSの高官たちがしっかりした策もなく思いつきのように決行しただけなんて、殺された人がうかばれない。 でもそれまでドイツはきちんとした国家だったのよね?それがもう国家の体をなさなくなってる。 国家の体をなしていない国がこれから戦争を始める。 やるせなさ、ってこういう感じかとおもってしまう。 次の巻は2次大戦の引き金のポーランド侵攻。 わたしには難しくてさくさくは読めないけれどおもしろくてやめれない。 次巻にいきます。 The Rise and Fall of the Third Reich by William L Shirer

Posted byブクログ

2015/10/03

IGファルベンの科学者たちは、第一次大戦中、イギリスの海上封鎖のせいでチリからの硝石の供給が途絶えそうになったのを、空気中から合成硝酸塩を取り出す方法を開発してドイツを早期壊滅から救っていた。ヒトラー政権のもと、このトラストは近代戦に不可欠な2つの物資の自給自足の実現に取り掛かっ...

IGファルベンの科学者たちは、第一次大戦中、イギリスの海上封鎖のせいでチリからの硝石の供給が途絶えそうになったのを、空気中から合成硝酸塩を取り出す方法を開発してドイツを早期壊滅から救っていた。ヒトラー政権のもと、このトラストは近代戦に不可欠な2つの物資の自給自足の実現に取り掛かっていた。いずれも従来は輸入に頼っていたガソリンとゴムだった。石炭から合成ガソリンを作る問題は事実上1920年代中ごろに同社の科学者が解決していた。1933年以来ナチ政府は、IGファルベンに製造開始のゴーサインを出し、1937年には年産30万トンに増やすように命じていた。その頃には合成ゴムも石炭とドイツにふんだんにある資源から作る方法が見つかり「ブーナ」という名で知られる人工ゴムの大量生産を目指して4つの工場の最初の1つがシュコパウに建設された。1934年初頭には軍需生産のために24万の工場を動員することが、ドイツ国防会議運営委員会によって承認された 。

Posted byブクログ

2015/09/21

チェンバレン大概にせえよ、となってくる。しかしまあそれは結果論なのかどうか。ブレーキなし戦略はそりゃ強いけど持続的ではないわけで、そういう相手はいないものとしたり、破滅を待つために時間稼ぎの宥和策を取るのも悪い手じゃないが… とりあえずの教訓としてはやはり、世界の一流国であり続け...

チェンバレン大概にせえよ、となってくる。しかしまあそれは結果論なのかどうか。ブレーキなし戦略はそりゃ強いけど持続的ではないわけで、そういう相手はいないものとしたり、破滅を待つために時間稼ぎの宥和策を取るのも悪い手じゃないが… とりあえずの教訓としてはやはり、世界の一流国であり続けなくてはなかなかに扱いは厳しいものになるのだなあ、というところか。

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2021/01/18

独裁権力の下にドイツをナチ化したヒトラーは、予て腹中にあった外交政策を進める。再軍備を密かに進め、ベルサイユ条約で禁じられていたラインラントへの進駐にあえて踏み切った。ドイツ国防軍の軍備はまだ不十分で、もしフランス軍が攻め込んでくれば撤退せざるを得ない。賭けの要素が強かったものの...

独裁権力の下にドイツをナチ化したヒトラーは、予て腹中にあった外交政策を進める。再軍備を密かに進め、ベルサイユ条約で禁じられていたラインラントへの進駐にあえて踏み切った。ドイツ国防軍の軍備はまだ不十分で、もしフランス軍が攻め込んでくれば撤退せざるを得ない。賭けの要素が強かったものの、ヒトラーはイギリス、フランス首脳の厭戦気分を読み切っていた。更に、オーストリアとチェコを手に入れるための計画を練り上げて行く。 一方国内では、ヒトラーの権力を脅かすだけの勢力を唯一残していた陸軍を屈服すべく、スキャンダルを利用して首脳陣を更迭する。後にでっち上げと判る事件もあったが、このようなやり方は国内でも外交でも常套手段と化してゆく。全軍の指揮権を握ったヒトラーは、国防軍総司令部を設立した。失脚した陸軍総司令官フォン・フリッチュ将軍はこう語った。「この男ーヒトラーーは、良かれ悪しかれドイツの宿命だ。彼が奈落へ赴こうとしているならーフリッチュはそう信じているー全員を道連れにするだろう。われわれにできることは何もない。」 オーストリアでは、ナチのテロ活動が活発化していた。1938年2月12日、オーストリア首相のシュシュニクをベルヒテスガーデンに招いたヒトラーは、実質的にオーストリア政府を一週間以内にナチの手に渡すよう要求する。ミクラス大統領は頑強に抵抗するが、効果的な対応を取れないイギリス、フランス、国際連盟と、軍事侵攻も辞さないヒトラーの強硬姿勢を前にして、ついに膝を屈した。4月10日ナチの無言の圧力の下に実施された国民投票で、99.75%の賛成を得て、オーストリアはドイツに併合された。 ヒトラーの次の狙いはチェコスロバキアだった。ドイツ人が多く住むズデーテンラントの割譲を要求。大国としてチェコスロバキアの独立を保証する立場にあるイギリスのチェンバレン首相は、期日を切って恫喝するヒトラーのいつもの手口を前に、譲歩を重ねる。その裏では、もしも武力行使となった場合を想定して、ドイツ国防軍の一部による反乱計画が進められていた。しかしこの最大のチャンスは、ミュンヘン会談でのチェコスロバキアを犠牲にした譲歩により、逃されてしまう。この時点で、もしチェコスロバキアが頑強に抵抗していれば、ドイツ軍は要塞を突破できなかった公算が高かった。このミュンヘンの譲歩により、連合国は結局高い代償を支払うことになった。なし崩しにチェコは解体され、ついに英仏も幻想から覚めざるを得なかった。

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2015/08/25

オーストリア併合、チェコスロバキアの破壊。武力を背景にした、いわば「戦わない侵略戦争」が描かれる。イギリスのチェンバレンや、フランスの弱腰、事なかれ主義がナチス・ドイツを勢いづかせたのは確かだが、それを非難するのは後世の後出しジャンケンではある。とはいえ、どうすれば止められたんだ...

オーストリア併合、チェコスロバキアの破壊。武力を背景にした、いわば「戦わない侵略戦争」が描かれる。イギリスのチェンバレンや、フランスの弱腰、事なかれ主義がナチス・ドイツを勢いづかせたのは確かだが、それを非難するのは後世の後出しジャンケンではある。とはいえ、どうすれば止められたんだろう、と思わずにはいられない。 話の喫水線が政府レベルであって、政治情勢の動きはよくわかるけれど、ドイツの国民がどう考えていたのかとか、侵略された国の市民がどんな目にあったのかというあたりはほとんど触れられない。それはまあ、別の本の役割ではあるけれど。

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2015/03/03

「ニュルンベルクの尋問で、ハルダーは「革命的行動」の成功のためには三つの条件があるとハリス大尉に言っている。」1、明確にして断固たる指導力。2、国民大衆のなかに革命の理念に従う心の準備ができている。3、適切なタイミング。 チェコスロヴァキアが崩壊するところまで書かれている。次は...

「ニュルンベルクの尋問で、ハルダーは「革命的行動」の成功のためには三つの条件があるとハリス大尉に言っている。」1、明確にして断固たる指導力。2、国民大衆のなかに革命の理念に従う心の準備ができている。3、適切なタイミング。 チェコスロヴァキアが崩壊するところまで書かれている。次はポーランドだ。イギリスのチェンバレンはヨーロッパに戦争が起きないよう、ヒトラーの言い分を飲んだ。その結果、ヒトラーは戦争を行わずに領土の獲得に成功した。最初から妥協をするつもりがない相手に譲歩すると、永遠に集られる。そういう者たちはすぐに潰さないといけない。しかし、最初からチャーチルの発言が正しいとするのは、著者が結果を知っているからであろう。チェンバレンはもちろん、誰にも未来に何が起こるかなんて分からないのだから。 ナチスドイツも一つになりきれていなかった状況が伝わってきた。ヒトラーに対して革命を起こすとする気概は分かった。ただ、思うに、そこで革命が起きていたら今の東南アジア諸国のように国を維持する仕方を知らないドイツになった可能性もある。東南アジアは革命を起こすのは好きだが、それを維持するのはうまくない。少なくともヒトラーは国内の統治に成功していた。 何はともあれ、チェコスロヴァキアが消えた。ポーランド進行に関しては、イギリスは対ドイツの立場をどのように取るのか。今から三巻が楽しみだ。

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2014/01/07

第2巻ではオーストリアとチェコスロヴァキアへの侵略・併合の過程が中心に描かれています。 ヒトラーの巧みな外交戦略に翻弄される英仏の姿から、”外交”がその国・そして世界にどんなに大きな影響を与えるのかということが、当たり前のことですが大きな実感としてのしかかってきます。 下手をす...

第2巻ではオーストリアとチェコスロヴァキアへの侵略・併合の過程が中心に描かれています。 ヒトラーの巧みな外交戦略に翻弄される英仏の姿から、”外交”がその国・そして世界にどんなに大きな影響を与えるのかということが、当たり前のことですが大きな実感としてのしかかってきます。 下手をすれば自国にとっても大きな損失となるし、決して望ましい手段ではない軍事介入ですが、経済的な制裁や宣言・条約による縛りなどの非軍事的なものだけでは残念ながら解決しきれないこともあるのかもしれないと感じました。少なくとも、軍事力をちらつかせた外交というのが必要な場面はあるのだと。。。 著者がこれを記したのが1950年代後半なので、現在は連合国側を中心にもっと多くの史料・公文書が公開されていると思いますが、執筆時点で入手可能な多くの文書をもとに、その場に居合わせているような臨場感をもって描かれています。

Posted byブクログ