緑のヴェール の商品レビュー
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『白い果実』から続く3部作。第3部は一連の主人公であるクレイと、人と同等以上の知識を有する魔物、ミスリックスの物語。ミスリックスを観測者として〈彼の地〉でのクレイの冒険譚が書き綴られる一方、あることを切っ掛けに、ミスリックス自身も人として生きるための一歩踏み出そうとする。 傲慢な一級観相官として登場したクレイは、最終的には思慮深く寡黙な狩人へと変貌したが、それも納得の壮大な冒険であった。〈彼の地〉で出逢う様々な動植物、幻想的な自然環境、特異な部族。それらに翻弄されながらもクレイは贖罪のための楽園への旅を止めることはなかった。もう一度『白い果実』を読み直せば、当初は嫌悪感を覚えずにはいられなかったクレイに愛情を感じることだろう。 そこに紡がれるクレイの冒険自体がミスリックスの作為的な物語、という可能性もあるにはあるが、たとえそうであっても非常に読み応えのある物語であることには変わりない。
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「白い果実」から続いてきた物語が終わって感無量.最後はクレイよりもミスリックスの物語であるとも言える.クレイの彼の地への帰結は果たして真実かミスリックスの妄想か?荒唐無稽なそれでいて哲学的なクレイの遍歴,約束の地への渇望,そしてミスリックスの魔物と人間の間で揺れるアイディンティテ...
「白い果実」から続いてきた物語が終わって感無量.最後はクレイよりもミスリックスの物語であるとも言える.クレイの彼の地への帰結は果たして真実かミスリックスの妄想か?荒唐無稽なそれでいて哲学的なクレイの遍歴,約束の地への渇望,そしてミスリックスの魔物と人間の間で揺れるアイディンティティー,読み応えのある物語だった.
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半分は想像の世界?彼の地?かわからんが、ちょいとしっくりこない終わり方だった 様々な人物、生き物、世界が出てきて、二冊目よりも想像力をかき立てた 最後の緑のヴェールが落ちてきたで、やはり彼の地はあるんだと思うようで、、、 なぜそれが悪い一つの結末になってしまうのか、納得がいかないストーリーでした 初めから緑のヴェールが、箱に入っていたのか? 彼の地は夢なのか現実中なのかもよくわからない終わり方 人間の姿をしていれば許される 悪魔の姿をしていると許されない的な、、、 ミリックスが想像した理想の世界がクレイという人物であり、人々から許して欲しいと思う心がアーラへの思いであり、静かな土地で愛する人と過ごしたいという願いが妄想へ? う~ん
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「白い果実」から続くジェフリー・フォードの3部作の完結編。前2作と同様に素晴らしく独創的な幻想世界を堪能できます。 クレイと旅を共にする犬のウッドがけなげで…。同時進行するミスリックスの物語ももの悲しい結末を迎えます。果たしてクレイの物語の真実は…?私はミスリックスが<彼の地>の...
「白い果実」から続くジェフリー・フォードの3部作の完結編。前2作と同様に素晴らしく独創的な幻想世界を堪能できます。 クレイと旅を共にする犬のウッドがけなげで…。同時進行するミスリックスの物語ももの悲しい結末を迎えます。果たしてクレイの物語の真実は…?私はミスリックスが<彼の地>の痕跡から辿ったクレイの物語を信じたい。でないと、クレイもミスリックスも救われないよ…。 クレイはアーラ・ビートンの呪縛から逃れて、遂に安住の地を獲得します。「白い果実」の観相官クレイとはもう別人のように誠実なクレイがそこにはいます。クレイも他の住人も素晴らしい幻想世界も現実世界とリンクさせることができます。自分のことや世界のこと置きかえて読むことも出来るし、懐が深い物語に感服しました。
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前作「白い果実」「記憶の書」に続く、ダークファンタジー完結編。震えるほどの豊潤な世界を描いていた前2作に比べると、淡々とした旅人の物語、という印象。とは言うものの、登場する生き物も事物も風景も細部まで表現されていて、地味に、だが確実に心踊る。三部作のまとめという重責を担うには、一...
前作「白い果実」「記憶の書」に続く、ダークファンタジー完結編。震えるほどの豊潤な世界を描いていた前2作に比べると、淡々とした旅人の物語、という印象。とは言うものの、登場する生き物も事物も風景も細部まで表現されていて、地味に、だが確実に心踊る。三部作のまとめという重責を担うには、一種「逃げ」とも感じる、ややありきたりの形態だったことと、訳にもう少し気を利かせて欲しいなあという箇所があったのが残念。
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【所持有無】○ 【読了日】090215 【キーワード】3部作 冒険 終わり 【所感】「白い果実」から続く3部作の最終巻。前2作がとても良かったので、かなり厳粛に(?)構えながら読む。前半は、主人公と犬の大冒険。ハラハラさせられて、かなりおもしろい。この人こんなキャラだったのね…(...
【所持有無】○ 【読了日】090215 【キーワード】3部作 冒険 終わり 【所感】「白い果実」から続く3部作の最終巻。前2作がとても良かったので、かなり厳粛に(?)構えながら読む。前半は、主人公と犬の大冒険。ハラハラさせられて、かなりおもしろい。この人こんなキャラだったのね…(笑)。中盤〜後半は、かなり力技で…。ミスリックス(魔物)の語り、それが真実かはわからないが、これが物語だ。あと、カラスがかわいそうだった。 【備考】
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薔薇色の山猫や沈黙の民といった奇怪ないきものたちと出会いながら、楽園と贖罪を求めたクレイの螺旋状の旅はついに終焉を迎える…。奔放なイマジネーションと諧謔奇想が横溢するモダン・ゴシックの傑作「白い果実・三部作」、最終篇。
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