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ソーンダイク博士の事件簿(1) の商品レビュー

4.4

8件のお客様レビュー

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短編の名手フリーマン…

短編の名手フリーマンが描くソーンダイク博士ものの短編集。やや古臭い印象はぬぐえませんが傑作ぞろいです。

文庫OFF

法医学者にして弁護士…

法医学者にして弁護士のソーンダイク博士の傑作短編集。名短編集『歌う白骨』をベースにしている。倒叙ものがほとんどだが「歌う白骨」や密室もの「アルミニウムの短剣」がおもしろい。かなり科学的な推理手法なので長編では退屈でも短編は充実してます。

文庫OFF

2021/03/05

科学捜査を推理小説に初めて取り入れたフリーマンの名探偵ソーンダイク博士は法医学者にして弁護士。法医学の父テイラー博士をモデルにしている。そうなるともはや謎解きというよりも科学なのだが、フリーマンは倒叙ものを考え出した点でも独創的な作家で、名作「歌う白骨」や密室トリックの「アルミ...

科学捜査を推理小説に初めて取り入れたフリーマンの名探偵ソーンダイク博士は法医学者にして弁護士。法医学の父テイラー博士をモデルにしている。そうなるともはや謎解きというよりも科学なのだが、フリーマンは倒叙ものを考え出した点でも独創的な作家で、名作「歌う白骨」や密室トリックの「アルミニウムの短剣」は傑作。長編は科学捜査ものって科学の紹介に頼ってしまって話自体がつまらないことも多いが、短編は充実している。

Posted byブクログ

2012/04/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ソーンダイク博士――。シャーロック・ホームズ物語が人気を誇っていた当時のイギリスでは、人気を競うように何人もの名探偵が生まれたそうで、ここに登場するソーンダイク博士もそのうちの一人です。 実はこの短編集も、ずっと前に買ったものの読む気が起きないまま本棚で放置されていました。 なぜかというと、このソーンダイク博士の推理方法の特徴は、科学的な観察と分析を用いるという点にあるからです。ソーンダイク譚がミステリマニアの間では比較的評価が高いものの、前評判を耳にしていた僕は、この「科学的」という点がどうも気に入りませんでした。 なぜなら当時の推理小説に出てくる「科学」なるものは、現代から見るとあまりにも非科学的であることが多いからです。そこに登場するのは似非科学であることが珍しくなく、かのホームズ譚にもそうした記述が散見されます。 もちろん科学的に正確であろうがなかろうが、物語が面白ければはっきり言ってそれは瑣末な問題なのですが、ソーンダイク博士が当時の科学的手法を全面的に押し出した推理法を用いている以上、その物語は現代の読者の視点に果たして耐えうるものなのだろうかと懐疑的にならずにはいられなかったのです。 しかし、今回は本棚の整理も兼ねて目を通してみて、その完成度の高さに驚きました。ソーンダイク博士の物語は、ホームズ譚に欠けていた科学的・分析的な視点をきちんと土台に据える形で作られており、その意味ではホームズ譚の対極に位置するような作風だったのです。 ですから、ホームズ譚に見られるような心躍るヒロイズムや男同士の友情、身も凍るようなおどろおどろしさはまったくと言っていいほど見受けられません。しかしそのかわりに主人公のソーンダイク博士の地道で着実な推理にはかなりの説得力があり、ホームズ譚とはまた違った味わいがあります。むしろその精度の高い論理性は、極めて現代的と言えるかも知れません。 さて、推理小説の魅力が広い意味での謎解きにあるとすれば、犯人当てが主眼となるWhodunitものは犯人の意外性に重点を置くことになるでしょうが、論理に重点を置くHowdunitものの場合は、その推理の妙が謎解きの中心になります。 ソーンダイク博士の物語は、このような意味でも、論理性に重きを置くという手法が徹底されています。つまり「犯人は誰であるか」という謎や、犯人をひっ捕らえるためのドラマはさほど重要視されておらず、あくまでも結末に至る論理性だけに主眼が置かれています。Whodunitは物語を完成させるためにとりあえず取り入れられているだけの要素で、ここではあくまでもHowdunitのみが主題となっているのです。 その特徴はホームズ譚と比べてみると明らかです。ホームズが、犯人が特定されてからも、その追跡や逮捕劇にドラマ性を持たせているのに対して、ソーンダイク譚における犯人たちは非常に淡白な扱われ方しかしていません。 例えば犯人は最後まで逃亡したままとか、最後の数行で逮捕されて自殺したことがちらっと書かれたりしているだけで、その事件の犯人がどうなったかという結末は単なるオチとして用いられているだけです。実にのどかです。 このような、乱暴に言えば「論理がしっかりしていれば犯人は別に誰でもいい」というスタンスだからこそ、ソーンダイク譚は後のクロフツや刑事コロンボに繋がるような倒叙物の先駆となりえたのでしょう。

Posted byブクログ

2011/02/27

歌う白骨がすこぶる良かった。 久しぶりに濃厚な探偵小説!を読んだ気がする。 ラストの余韻が詩的で、なんともいえない味わいがある。 名品。

Posted byブクログ

2014/01/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『計画殺人事件』 かつて刑務所を脱獄したベンバリー氏。汽車の中で元刑務所の看守だったブラットに脅迫される。麝香の香りをつけたナイフを使いブラットを殺害し、容疑を同じく元看守のエリスに向けようとする。警察犬を使った捜査の不正確さを証明するソーンダイク博士。 『歌う白骨』 新しく灯台守として島に渡ったブラウン氏。灯台の島についたブラウン氏をむかえた同僚のジェフリーズ。ブラウン氏とジェフリーズがかつて起こした犯罪。ブラウン氏を海に落とし船を流し事故死にみせかけるジェフリーズ。ブラウン氏の持つパイプと灯台島に残されたパイプに注目したソーンダイク博士。 『おちぶれた紳士のロマンス』 盗みを目的に潜り込んだパーティーでかつて恋に落ちた女性と再開したベーリイ。彼女の持つダイヤモンドを見た瞬間理性が飛び彼女を絞殺しかける。逃走するベーリイ。残されたコート埃から彼を追うソーンダイク博士。 『前科者』 キンバーフィールド殺人事件の現場に残されたベルフィールドの指紋。身に覚えがない事件。前科者として警察からも疑いの目を向けられるベルフィールド。血のついたベルフィールドのハンカチ。刑務所で指紋採取係をしていたウッドソープと事件の関連。 『青いスパンコール』 結婚を間近に控えたハロルド・ストップフォード。かつて親しかったミス・グラントに送った贈り物を取り替えて欲しいと頼むが拒絶される。列車で発見されたミス・グラントの遺体。鋭いもので頭を突かれての死。ソーンダイク博士の捜査。牛の肝を手に入れるために肉屋に向かうソーンダイク博士の目的。 『モアブ語の暗号』 テロリストと見られる男を尾行中のバシャー警部。事故で死んしまった男の懐から出てきたモアブ語で書かれた文章。言語学者が解読した言葉には何の意味も無かった。兄がヒ素を盛られているとソーンダイク博士に相談にきた男。男の嘘を見破ったソーンダイク博士の罠。モアブ語の暗号との関連。 『アルミニウムの短剣』 ドアに鍵がかかった状態でアルミニウムの短剣で刺殺されたアルフレッド・ハートリッジ。開け放たれた窓。ハートリッジの元に届いていた手紙。向かいのマンションで調査に当たるソーンダイク博士。アルミニウムの短剣の持ち手の形状に隠された秘密。 『砂丘の秘密』 ソーンダイク博士が浜辺で見つけた脱ぎ捨てられた衣服。衣服の状況から夜中に泳ぎにきたロスコフという男が海で行方不明になったと結論づけた。ロンドンに戻ってからソーンダイク博士に相談にきた男。消えた友人の行方不明を探して欲しいとのこと。ロスコフと事件の関係。ソーンダイク博士が発見した男の遺体。  2007年4月7日購入

Posted byブクログ

2009/10/04

時代性を考えれば驚くほどに堅実なパズラーだと思う。科学的捜査推理に基づいた推理と意外なトリック、綺麗なトリックと現代と比べてもそんなに遜色はないと思う。また倒叙推理の3作も開祖なのにしっかりと齟齬なく作られていて驚き。「歌う白骨」「計画殺人事件」「アルミニウムの短剣」。

Posted byブクログ

2014/09/18

このころから倒叙ものがあったんだねぇ。「計画殺人事件」「歌う白骨」「おちぶれた紳士のロマンス」どれも面白い。「オスカー・ブロズキー事件」は未収録(世界短篇傑作集2に収録されてるから)。こんな昔からあった割には数が少ない気がするけど

Posted byブクログ