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化学物質はなぜ嫌われるのか の商品レビュー

3.9

19件のお客様レビュー

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2024/09/23

ダイオキシン、環境ホルモン、シックハウス、食品添加物、アミノ酸、コラーゲン、ポリフェノール、コエンザイムQ10といったキーワードが気になった方は、この本を読むと参考になると思われる。一般的に、悪いニュースはすぐに広まるが、それを訂正するような話はなかなか広まらないものである。

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2024/07/03

私自身、同じ分野で、また著者同様人に伝える仕事もしていますので、基本スタンスはほとんど同じです。書かれた当時の状況を踏まえれば化学物質のリスクについて一般向けに極めてバランスよく記述されてます。ただ、当時から嘘の多い点が専門家から指摘されてたアジテーター武田邦彦を引用してるのはマ...

私自身、同じ分野で、また著者同様人に伝える仕事もしていますので、基本スタンスはほとんど同じです。書かれた当時の状況を踏まえれば化学物質のリスクについて一般向けに極めてバランスよく記述されてます。ただ、当時から嘘の多い点が専門家から指摘されてたアジテーター武田邦彦を引用してるのはマイナス。

Posted byブクログ

2022/11/30

化学物質に関する主なトピックが科学的な態度で整理されており、しかも読みやすい。「買ってはいけない」「食品の裏側」の記述に対しても、冷静に反論している。 ダイオキシンはモルモットに対して高い毒性を持つが、イヌやハムスターでは数千分の1の毒性しかなく、事故による人間の死者も少ない。...

化学物質に関する主なトピックが科学的な態度で整理されており、しかも読みやすい。「買ってはいけない」「食品の裏側」の記述に対しても、冷静に反論している。 ダイオキシンはモルモットに対して高い毒性を持つが、イヌやハムスターでは数千分の1の毒性しかなく、事故による人間の死者も少ない。 DDTはヒトへの発がん性はなく、土壌では2週間で分解され、海水中でも1か月で9割が分解される。2006年、WHOはマラリア対策のために室内でDDTを使用することを推奨すると発表した。 ホルムアルデヒド(CH2O)は、様々な分子をつなぐ性質を持つ。尿素とホルムアルデヒドを混ぜたものが尿素樹脂で、合板に利用されている。タンパク質がホルムアルデヒドと結合すると固まる。シックハウスの原因として考えられるのは、トルエン、キシレン等様々な物質があり、わかっていない。 人工甘味料のスクラロース、パラチノース、マルチトールは、砂糖や麦芽糖を変化させたもの。アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンが結合したもの。 保存料のソルビン酸は、100g摂っても大丈夫なほど安全。コーヒーフレッシュに使われているレシチンは大豆や卵黄の成分、脂肪酸モノグリセリドは牛乳の成分、増粘多糖類は植物や海藻に含まれるペクチンやキサンタンなど。 プリン体は、摂り過ぎると尿酸に変換され、関節部に鋭くとがった結晶として析出し、通風を起こす。プリン体は体内でも合成されており、食事から取り入れるのは4分の1から3分の1程度。 プリオンタンパクは、正常な折りたたみで存在するが、異常な折りたたみのプリオンと接触すると異常型に変化して結合し、やがて脳細胞を破壊する。折りたたみが変化する過程はわかっておらず、どうやって脳に入り込んでいるかも謎。 抗酸化作用があるポリフェノールを含む食品が健康に良いことを示唆するデータは多い。緑茶をたくさん飲む人の各種がん発生率が低いとの報告も多い。コエンザイムQ10にも抗酸化作用があるが、大量に摂取すると寿命が縮むという動物実験もある。動物実験で寿命を延ばすことに成功した手法は、カロリー制限ただひとつ。 鎮痛・鎮静剤として開発されたサリドマイドは、胎児の奇形を引き起こす薬害を発生させたが、ハンセン病への効果が認められて再承認された。タミフルが原因と疑われる異常行動は、インフルエンザの症状としても起こるもので、インフルエンザで死ぬ確率よりも3桁低い。 日本人の平均損失余命(中西準子) 喫煙 数年~十数年 ディーゼル粒子 14日 ホルムアルデヒド 4日 ダイオキシン類 1.3日 ベンゼン 0.16日 DDT 0.016日 日本における10万人当たりの年間死者数(安井至) 喫煙 365人 がん 250人 肥満 140人 心臓病・血管系の病気 127人 酒 117人 自殺 24人 交通事故 9人 窒息 6.9人 転倒・転落 5.1人 ディーゼル粒子 2.8人 入浴 2.6人 火事 1.7人 他殺 0.5人 ダイオキシンなど 0.3人 http://www.yasuienv.net/RiskSortedbyDeath.htm

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2018/09/09

2015/12/09 有機農法は豊かな先進国だけに許された、非常に贅沢な農法 読みやすい

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2014/11/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] テレビ、新聞、雑誌など、メディアの中で、化学物質の話題がとりあげられるとき、多くの場合、それは悪いニュースだ。 化学物質はなぜ嫌われるのか? 私たちの生活に深く関わり、私たちの体を支えてもいる化学物質の存在についていっしょに考えてみよう。 [ 目次 ] 第1章 リスクと向き合う(環境問題の難しさ;ゼロリスクという幻想;リスクの許容ライン;「天然」と「合成」) 第2章 環境問題(ダイオキシンは猛毒なのか;DDTの運命;界面活性剤;環境ホルモン問題は今;ホルムアルデヒドの話;バイオエタノールの是非) 第3章 食品不安(合成着色料;甘味料の話;アスパルテーム;保存料・殺菌剤;『食品の裏側』の裏側;プリン体の話;謎の病原体・プリオンとBSE;中国食品の不安) 第4章 健康食品(健康ブーム;アミノ酸;コラーゲン;活性酸素とポリフェノール;大ブーム・コエンザイムQ10の化学;ワインの威力・レスベラトール) 第5章 医薬の光と影(生命を守る・医薬の闘い;アスピリンの物語;サリドマイド復活の日;抗生物質の危機;タミフル騒動の虚実) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2014/11/05

化学物質や食品添加物、薬品などについて、恐怖を煽るトンデモ本へのカウンターとして実によく出来ている一冊。 誠意ある科学者は科学万能など訴えず、謙虚で中庸である。 時に冷たく聞こえるような主張にならざるを得ないが、その時にはきちんとフォローする表現がある。 それが故に、明確でわかり...

化学物質や食品添加物、薬品などについて、恐怖を煽るトンデモ本へのカウンターとして実によく出来ている一冊。 誠意ある科学者は科学万能など訴えず、謙虚で中庸である。 時に冷たく聞こえるような主張にならざるを得ないが、その時にはきちんとフォローする表現がある。 それが故に、明確でわかりやすい主張をするトンデモさんの大声に押されてしまうもどかしさはある。 しかし、大人であるなら、世の中は0でも1でもないことをいい加減わかっても良い頃だ。

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2014/07/29

○有機合成化学の専門家で、フリーのサイエンスライターも努める佐藤氏の著作。 ○世の中に存在するありとあらゆる「化学物質」について、その悪いイメージとは裏腹な本来の役割、意味などについて、科学的に解説したもの。 ○本書中にも登場するが、食品添加物や農薬、医薬品などの化学物質が、人体...

○有機合成化学の専門家で、フリーのサイエンスライターも努める佐藤氏の著作。 ○世の中に存在するありとあらゆる「化学物質」について、その悪いイメージとは裏腹な本来の役割、意味などについて、科学的に解説したもの。 ○本書中にも登場するが、食品添加物や農薬、医薬品などの化学物質が、人体や環境にどのような影響を与えているのかを分かりやすく説明しており、変な先入観を取り払ううえで大変有益。 ○「知らない=怖い」という当たり前のことに流されるのではなく、自分自身、知る努力をしていきたいと思う。

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2013/06/19

騒がれている化学物質は日常的に考えられる状況で本当に健康を害するのか、という疑問に答えてくれる本です。 例えば「アスパルテーム」という合成甘味料をネットで検索しようとすると、「アスパルテーム 危険性」「アスパルテーム 副作用」とか見るだけで危険そうなイメージを持ちがちです。 ...

騒がれている化学物質は日常的に考えられる状況で本当に健康を害するのか、という疑問に答えてくれる本です。 例えば「アスパルテーム」という合成甘味料をネットで検索しようとすると、「アスパルテーム 危険性」「アスパルテーム 副作用」とか見るだけで危険そうなイメージを持ちがちです。 しかしながらこの本によると、この危険性は相当科学的には疑念があり、出荷停止までは必要ないと主張しています。 理由は以下の通りです。 1.そもそも人間が今まで栄養分として摂取しているため ・アスパルテームに含まれているフェニルアラニンは、必須アミノ酸であり、きわめて重要な栄養素であること。 ・フェニルアラニンは母乳や肉、魚などのたんぱく性食品にも含まれており今まで普通に摂取していること。 2.危険性が高いのはごく限られた方で、かつその危険性をもつか否かは容易に識別がつくこと。 ・出生時検査で識別できるフェニルケトン尿症という遺伝病を患っていること(8万人に1人の割合とのこと)。 ・かつ、その病気を患っている新生児がフェニルアラリンを大量に摂取すること。 これは本に書いてある一例ですが、他の化学物質や薬品、健康食品などについても触れています。○○が危ないと考えるようになったら、一度この本を手にとってはいかがでしょうか。

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2013/04/11

一般向け啓蒙書。 「危険だ!」と言われ、忌避されている化学物質。しかし化学物質を糾弾する報道にはいい加減な知見に基づくもの、我田引水的な強引な理論展開に依るものが多い。 「怖いのは知識がないから」という著者の意見に全面的に賛成。

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2013/03/16

大学の図書館で筆者の運営する「有機化学美術館」の記事を読んだ所とても面白かったので、筆者に興味を抱いてその場で借りたのが本書。非常に読みやすい文章で、論点や主張も鋭いのでどんどん読み進めていたら図書館閉館前に読み終えてしまった。 有機化学は自分がこれから専攻する予定の分野ではあ...

大学の図書館で筆者の運営する「有機化学美術館」の記事を読んだ所とても面白かったので、筆者に興味を抱いてその場で借りたのが本書。非常に読みやすい文章で、論点や主張も鋭いのでどんどん読み進めていたら図書館閉館前に読み終えてしまった。 有機化学は自分がこれから専攻する予定の分野ではあるものの、世間的には悪い印象が強い分野だったので正直引け目も感じていた。その点で本書は私の心の支えにもなった。 自分が本書の内容の中で最も肝に銘じるべきと思ったことは、引用文にも挙げた「絶対安全を保証することは不可能である」という点である。この論理的な原理により、有機化学を扱う人間は誰でも「危険物を利用して利益を上げる人間」として槍玉に挙げられるリスクを背負わなければならない。これは非常に重大で、かつ解決しようのない問題である。専門外の人間が各化合物の安全性をいちいちチェックすることはできないから、一度批判を受けて悪い印象が世間に根付いた化合物は、例えその批判が荒唐無稽であったにせよ、世間から悪い印象を払拭することはほぼ不可能である。多くの科学者が金と時間と労力をかけた努力の結晶が、自称専門家の恣意的批判により無駄になった例もあるだろう。化学で食べていくということは、常にそうしたリスクに曝されるということでもあるのかもしれない。 もっとも、自分が本当に有機化学で食べていける職に就けるのかについては、まったく別の問題ではあるが。とにかく、有機化学をライフスタイルの中心にして生きるのも悪くないなと思えたのは大きな収穫だった。

Posted byブクログ