注文の多い地中海グルメ・クルージング の商品レビュー
夏の地中海を帆船で巡る。そこに雇われたシェフ。それは過酷な夏の始まりだった。 富裕層になると遊び方も注文の仕方も半端ない。料理は一切被らず、突然の注文にも対応しなくてはならない。しかも揺れる船内で。 この過程が実に興味深く描かれており、想像しただけで疲れた。だが、読み終えた後には...
夏の地中海を帆船で巡る。そこに雇われたシェフ。それは過酷な夏の始まりだった。 富裕層になると遊び方も注文の仕方も半端ない。料理は一切被らず、突然の注文にも対応しなくてはならない。しかも揺れる船内で。 この過程が実に興味深く描かれており、想像しただけで疲れた。だが、読み終えた後には一陣の爽やかな風を感じた。
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地中海でセレブの夫妻に雇われて、一人で奮闘したシェフ・デイヴィッド。 アメリカ人だが、イタリア各地の料理修行を重ねていた。シェフとしての自覚が足りないといわれてしまう場面も。 さて、5ヶ月をかけて地中海をクルーズするプライベートヨット・セレニティ。80億リラ(500万ドル)する船...
地中海でセレブの夫妻に雇われて、一人で奮闘したシェフ・デイヴィッド。 アメリカ人だが、イタリア各地の料理修行を重ねていた。シェフとしての自覚が足りないといわれてしまう場面も。 さて、5ヶ月をかけて地中海をクルーズするプライベートヨット・セレニティ。80億リラ(500万ドル)する船を再装するのに30億リラかかったものだそう。 オーナー夫妻はヘリで週末ごとに訪れたり、子ども達や友達のヨットと同行したり。 料理は重複するメニューは出さず、魚介をメインに、寄港地の名産も使うこと。フォアグラは常備。突発的なお客にも対応できるように。 パーティの時はおかわりも用意すること。 パーティは最高200人分… 一人で五ヶ月である。 豪華ヨットに乗っているクルーは数人なので、シェフも時には甲板で操作を手伝うために色々教えて貰う。役立つのが嬉しいが、時には手を怪我してしまう事態も。 レガッタにも参加。レースの模様は迫力あります。 乗組員は多国籍。イタリア人はバカンスだからとわかってくる。フランス人のスチュワード・リックと仲良くなり、助け合う。 船長のパトリックと航海士のケヴィンの確執。 ほとんどドキュメンタリーですが、5年間の経験の面白いところを一夏にまとめてあります。 レシピ付き。
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地中海クルージングと聞けば、優雅なバカンスを思い浮かべるが、それを支える裏方スタッフにとってそれは地獄の戦場である(笑)大金持ちオーナーの事細かな要求に応えようと狭くて不便で始終揺れる船の厨房で汗だくになりながら全力で料理に取り組む料理人の奮闘記が楽しめた。注文はやたらと多いけれ...
地中海クルージングと聞けば、優雅なバカンスを思い浮かべるが、それを支える裏方スタッフにとってそれは地獄の戦場である(笑)大金持ちオーナーの事細かな要求に応えようと狭くて不便で始終揺れる船の厨房で汗だくになりながら全力で料理に取り組む料理人の奮闘記が楽しめた。注文はやたらと多いけれど、真のセレブの「人の使い方」には、感心する場面も多い。それにしても新鮮で美味しそうなイタリア料理ばかりでこれを味わえるオーナー一家は羨ましい…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一流の料理人になるのはたいへんだ。本書は、アメリカ人シェフのヨーロッパ修行時代の体験を綴ったエッセイ。舞台は桁違いのお金持ちイタリア人夫婦の豪華なクラシック・ヨット。その専属シェフとして雇われた5年間をひと夏の出来事として、ぎゅっと圧縮して描いている。オーナーのセレブ夫婦が休日を過ごす、地中海グルメ・クルージングの優雅さ。片やオーナーの要望に100%応えなければならないクルーたちの悪戦苦闘。まさに二極分化社会の縮図。だけど、読んでいるだけの身にはコメディ・ドラマのようで楽しい。オーナー夫婦が仕事に戻った平日、クルーにとって船上が天国に変わるところが面白かった。注文の多い、うるさいオーナーがいなくなって、最高のロケーションと極上の食事がクルーたちだけのものとなったウィークデイ。堪能する彼らの笑顔を想像したら、羨ましくなった。でも地獄の8月もあったから、それくらいの役得はないとかわいそう。8月はオーナーが1ヶ月まるまる乗船。なるほどなぁ〜と感心する話もたくさんあった。たとえば、エキストラ・ヴァージン・オリーブオイルの使い方。>私はそれぞれの料理にあったオイルを使いたいと考えるようになった。リグリアやシチリア、あるいはプーリアの南部で作られたオイルはあっさりしているので、野菜ややわらかい魚に使うことができる。もっと重めのトスカーナやウンブリアのオイルは肉やパスタやスープ、それにマグロやメカジキのような大きな魚に使う。南フランス産のフルーティなオイルはイタリアのものとまったく違い、オレンジの皮やフェンネルやサフランと一緒に使うとより力を発揮する。料理に関係ないところでは、主人公が実感したという、ヨット族のことわざが面白かった。>船に乗っている者の素性はすぐにわかる……スウォッチをしているのがオーナーで、ロレックスをしているのがクルーだ。背伸びした高額品は貧乏人の象徴ということ?地中海。寄港する街。行き交う人々。カフェ、酒場。豪華な大型クラシック・ヨットでのクルージング。極上の食事。それらを積極的に思い描きながら読まないといけない。そうすれば、もっと楽しいから。読後ちょっと高級なフレンチ、イタリアンが無性に食べたくなった。そうだ、昔テレビで観た、グラハム・カーの≪世界の料理ショー≫の話があった。思い出して、とても懐かしくなった。
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♪大変におもしくて大満足♪こんなにおもしろいとは思わなかった!!料理修行のため、アメリカから南仏に渡ったアメリカ人料理家デヴィット。その後、南仏からイタリアの主だったリストランテを修行で経巡ります。そんな彼に舞い込んだ依頼。イタリア人セレブ夫妻のプライベートヨットでのひと夏の専任...
♪大変におもしくて大満足♪こんなにおもしろいとは思わなかった!!料理修行のため、アメリカから南仏に渡ったアメリカ人料理家デヴィット。その後、南仏からイタリアの主だったリストランテを修行で経巡ります。そんな彼に舞い込んだ依頼。イタリア人セレブ夫妻のプライベートヨットでのひと夏の専任シェフ(実際は5年間に及ぶ夏のシェフだったけど、本書ではひと夏としてまとめられている)としての物語。ヨーロッパの、嫌味ではなく本物のお金持ちの要求というのは、本能の赴くままであり、庶民からは想像もつかないくらいで、ある意味楽しくなる。基本的に「重複するメニューはださない」「各々の寄港地独自の食材をつかうこと」「フォアグラのパテは常備すること」そして何より!「突発的なパーティに対処できること」船上でのグリルは、生半可ではなくきびしい!!狭く、暑く、貯蔵スペースは少なく、冷蔵庫はあまり期待出来ず、コンロは波がきたら熱いソースを撒き散らすくらいに不安定・・・しかも電力はオーナー&ゲストのために、最小限に抑えられ、食器・グラスを洗うにしても場所がないのでクルーのシャワー室で・・・ああ、次から次へと無理難題!嵐は来るし、レガッタはあるし、モナコGPの晩はゲストが山のように来るし・・・ほんとに、おもしろかった。全てが終わって、アメリカに帰国する著者を、ラ・シニョーラ(オーナー夫人)が「新年にはイギリスで雉撃ちパーティをするから、メニューを考えて」ときたもんだ。ああ、すごい世界。知らぬ間に、すっかりはまり込みました。異次元だけど、楽しいひとときを過せました。THE NIKKEI MAGAZINE 紹介本 (10/24)おすすめです!!
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