ストレスとはなんだろう の商品レビュー
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ハンス・セリエが「ストレスを発見」してストレス学説を生み出すまでの物語と、ストレスが神経系と内分泌系に影響を与える構造についての解説。 なのでストレス対処法みたいな内容ではなく、あくまで「ストレスの発見」までのワクワク感を楽しみつつ、その発見にいたるまでの様々なストーリーを楽し...
ハンス・セリエが「ストレスを発見」してストレス学説を生み出すまでの物語と、ストレスが神経系と内分泌系に影響を与える構造についての解説。 なのでストレス対処法みたいな内容ではなく、あくまで「ストレスの発見」までのワクワク感を楽しみつつ、その発見にいたるまでの様々なストーリーを楽しめる「読み物」でした。
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ストレス学説が定着し明らかになってゆく研究の過程を、研究者らの人間臭いドラマとともに描き出している本。ストレスの対処法などよりは、ストレスの仕組み自体に関心のある人、また研究者らのドラマに関心のある人におすすめしたい一冊です。 「ストレス」にさらされた人が、さまざまな不調...
ストレス学説が定着し明らかになってゆく研究の過程を、研究者らの人間臭いドラマとともに描き出している本。ストレスの対処法などよりは、ストレスの仕組み自体に関心のある人、また研究者らのドラマに関心のある人におすすめしたい一冊です。 「ストレス」にさらされた人が、さまざまな不調を訴える。これはこんにちでは当たり前に理解されることですが、かつては「病気は病原菌がもたらすもの」という考え方が主流であり、患者のとりとめのない愁訴は「気のせい」で一蹴されていた。黄熱病をもたらす「黄熱菌」の存在を明らかにすべく人生を捧げた野口英世が印象的です。 この病原菌起因説が転回する一つのきっかけが内分泌学の発展。いまでこそ自律神経だとかACTHなどというものは私たち一般の人間にも馴染みのあるものだけれど、それはまさに内分泌学の成果によるもの。有名な功績として知られるのが高峰譲吉によるタカジアスターゼやアドレナリンの発見、バンディングとマクラウドによるインシュリンの発見であるが、ここの人間ドラマがまた泥臭くて面白い。協力者を事業から締め出し、功績者を共同研究者から抹殺するなど、手柄を独り占めにするかのような高峰譲吉。抽出液の作製法を教えないコリップの胸ぐらを締め上げるバンディング。 ともあれ、この内分泌学に関心が寄せられるなかで、やがてストレス学説を提唱するセリエが登場する。セリエは上記したコリップのもとで性ホルモンの研究をするのだけど、何ら成果のない大失敗をやらかしてしまう。しかしセリエの天才だったのは、そこでただの失敗に終わらせるのではなく、若き日に疑問を持っていた「非特異的な症状」に関心を寄せたこと。一見して突飛な領域を繋げる、それまで誰も見つけていなかった課題の可能性を発見した。 しかし失敗をしたセリエはその奇天烈な路線を歩むことによっていっそうコリップの研究室のなかで孤立してゆく。友人にさえ「がらくたの薬理作用の研究」としか見られなかった。そんななかでバンディングが彼を支援するというのがまた燃える(個人の感想)。人間的にもどうなんだとか、インシュリン以外何もやってないじゃないかとか、こてんぱんに書かれているバンディングが、ここでストレス学説の成立に間接的に、しかし確実に橋渡しの役割を果たしている。 ストレス学説が唱えられると、その細密化が進められてゆく。セリエは、研究には「課題発見者」と「課題解明者」がいると言っている。自身には課題発見者としての自負があっただろうセリエは、のちに続く課題解明者をどう見ていたのか。それは分からない。 ストレスに対する反応には、ふたつの経路が考えられる。一つは本書がおもに扱う内分泌系の経路であり、もう一つは自律神経系の経路である。ただ、自律神経系の経路はまだよく分かっていない、というのが本書が著された時点での認識のようだ。いまでこそ心臓血管と自律神経が関係しているということは当たり前に知られているけれども、セリエがストレス学説を唱えた1930年代には心電図は一般的ではなく、そこには一つの技術的な限界があったとは言える。そしてこんにちも解明はされていないらしい。 技術的に未成熟であることが新たな発見に資することもあれば、人間的に必ずしも支持されないような人物が思わぬところで医学の発展に貢献していたりする。なにが「進歩」につながるかは分からないものだなあ、というのが、読後第一の感想だった。その意味で本書はドラマチックで、知的探求というのをすっ飛ばして、読み物として面白く読んでしまった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ストレスが体に良いという話を聞いて興味を持ったから読んでみたけど、少し違う内容だったかな。ストレスという概念を発見したセリエさんを中心とした本。
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ストレスではなくストレス学の話が7割を占めてるし、8章のストレス対処法の結論が「強い意思で何とかしろ」って感じに書いてあってちょっと引いた…
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ストレスを感じている時に人体では何が起こってるか、そしてどういう身体の異常がおこるのか?そういう質問に答える本。興味深く面白かった。 ちなみに、どういう場合に人間はストレスを感じるか?っていう質問にはほとんど答えてないので注意。「ストレスとはなんだろう?」っていうタイトルが曖昧...
ストレスを感じている時に人体では何が起こってるか、そしてどういう身体の異常がおこるのか?そういう質問に答える本。興味深く面白かった。 ちなみに、どういう場合に人間はストレスを感じるか?っていう質問にはほとんど答えてないので注意。「ストレスとはなんだろう?」っていうタイトルが曖昧すぎるので勘違いする人もいるかも知れない。 中身はざっくり言うと、1~3章はストレス学説以前のお話、4~6章がストレス学説の紹介、7~8章が未解明な分野に関する筆者の考察 科学史にはあんまり興味がない自分には、発見に関する物語はちょっと多すぎた感じがする。そういう物語に関する著者の思いは受け取った。世の中には研究者の仮面をかぶった単なる役立たずのマネージャーがいる…など。しかし、ここでは焦点をメカニズムに移して内容を深くし分かりやすく面白く書いてくれればいいのにと自分の場合は思った。 興味深かった事項 ・ストレスによって生じる欝は活動性を低下させるが、自然界の動物にとっては傷ついた身体を回復するために有効だった。しかし、現代の文明社会においては、外傷によるストレスよりも精神的なストレスの割合が極端に高いためその有効性が薄れている。 ・ストレスによって生じる自律神経系の失調は、血液循環や心臓に異常をもたらし、体の局部の血行を阻害し様々な疾患を引き起こす。円形脱毛症・胃潰瘍はそれが原因の一つとのこと。血行は超重要!!!!ただし、自律神経の失調に伴う疾患を血行の阻害で単純に説明しすぎている感があって、思わずホントかよ?って思ってしまった。 ・8章の内容。「意志」の力で、大脳皮質から未知の経路を通って自律神経に伝わる精神的ストレスの有害な作用を防ごう!っていうのは興味深い。勿論、怪しさ満点だし、「意志」の力って具体的になんなの?って思えてしまう。でも、「やってやるぞ」と意識的に奮起すれば元気が沸いて来るってのは、なんとなく感覚的にはわかる。 印象に残った言葉 「心に平和を持ち、外に向かって有益な働きをすることが、あらゆる幸福の、あらゆる健康の、そしてあらゆる長寿の、唯一の秘訣である。」 実は「外に向かって有益な働きをすること」がなぜ幸福につながるかは本書には書いていないが、これは今後見つけていく課題とする。
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[ 内容 ] 私たちは当たり前のように「ストレス」という言葉を使うが、実は、この言葉が誕生してから、約80年しか経っていない。 すべての病気の原因が病原体にあると信じられていた1930年代、若き天才科学者ハンス・セリエは、心や肉体へのストレスが体の変調をもたらすという画期的な「ス...
[ 内容 ] 私たちは当たり前のように「ストレス」という言葉を使うが、実は、この言葉が誕生してから、約80年しか経っていない。 すべての病気の原因が病原体にあると信じられていた1930年代、若き天才科学者ハンス・セリエは、心や肉体へのストレスが体の変調をもたらすという画期的な「ストレス学説」を提唱した。 医学を革新した天才的な閃きはいかにして生まれたのか? 科学者たちが織りなす人間ドラマを通じて、「ストレス学説」誕生の秘密に迫る力作。 [ 目次 ] 第1章 若き日のハンス・セリエの抱いた疑問 第2章 ホルモンの発見―高峰譲吉のアドレナリン発見物語 第3章 ストレス学説誕生前夜―インシュリン発見物語 第4章 セリエの研究の行き詰まりとストレス学説の着想 第5章 ストレス学説の成立―ストレス反応の三つの時期 第6章 視床下部ホルモンの発見戦争 第7章 精神的ストレス疾患はなぜ起きるのか? 第8章 ストレス解消による健康長寿への道 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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自律神経系の失調は、胃腸ばかりでなくほかの多くの臓器の疾患を起こす。中でも最も重要なのは、自律神経系が心臓の活動や前進の血液循環をコントロールしていることであり、自律神経系の失調は心臓や血液循環の疾患を引きおこす。 精神的ストレスの原因は文字通り十人十色で各人によって異なる。
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【要旨】 20世紀の初めまでは、病原菌の発見や免疫療法の開発によって、感染症の死者が激減してきた。これを背景に、「すべての病気は人体に侵入した病原菌によって起こる」とされていた。これに一石を投じたのが、ハンス・セリエの提唱した「ストレス学説」である。19世紀末から20世紀初め...
【要旨】 20世紀の初めまでは、病原菌の発見や免疫療法の開発によって、感染症の死者が激減してきた。これを背景に、「すべての病気は人体に侵入した病原菌によって起こる」とされていた。これに一石を投じたのが、ハンス・セリエの提唱した「ストレス学説」である。19世紀末から20世紀初めに掛けて、内分泌学が発達したため、革命的な学説が打ち立てられる機が熟していたと言える。 さて、ストレス反応の経路は2つあり、1つは内分泌系による経路、もう1つは自律神経による経路。自律神経による経路はいまだ仕組みが解明されていない。 旧来の西洋医学のアンチテーゼとして注目されたが、「病は気から」「漢方医学」などもあり、日本では比較的受け入れられやすかった。 【感想】 ブルーバックスだから仕方ないし、分かっていたけど、理系的な本。ストレスに対して、社会的な視点で人文学的な捉え方ではなく、あくまでも当初の医学的なストレス学説に基づき、体内でのストレス反応のメカニズムに主眼がある。最後の方に、貝原益軒の『養生訓』など人文学的な視点も持ち出すが、非常に消化不良。ストレス反応のメカニズムは客観的に書かれていてよいのだが、その意味・価値・考え方というようなところが薄い。これでは、この本そのものがストレッサーになりかねない、かもしれない。 【目次】 第1章 若き日のハンス・セリエの抱いた疑問 第2章 ホルモンの発見 第3章 ストレス学説誕生前夜 第4章 セリエの研究の行き詰まりとストレス学説の着想 第5章 ストレス学説の成立 第6章 視床下部ホルモンの発見競争 第7章 精神的ストレス疾患はなぜ起きるのか? 第8章 ストレス解消による健康長寿への道
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