葉桜の日 の商品レビュー
短編二つ。表題作よりも「果実の舟を川に流して」の方がすきだった。 課題にあたって現代小説が読みたかったので借りた。最近全く読んでなかったから忘れ去ってたもんで…。選んだ理由は、現代作家には珍しく自殺したことを高校の国語便覧で見たのを覚えてたから。割と趣味が悪い。 表題作、在日二世...
短編二つ。表題作よりも「果実の舟を川に流して」の方がすきだった。 課題にあたって現代小説が読みたかったので借りた。最近全く読んでなかったから忘れ去ってたもんで…。選んだ理由は、現代作家には珍しく自殺したことを高校の国語便覧で見たのを覚えてたから。割と趣味が悪い。 表題作、在日二世外国人の悲哀。 果実~は順調に生きてきたエリートが、母が殺されることで転落して飲み屋で働く。道を外れた今とその仲間を受け入れながらも、密かに息づく「まとも」な人間への自負と嫉妬の描写が非常に鮮やか。主人公に、母が殺されたことについては仕方ない、というような諦めがあったのが印象的。 どちらの短編も個人にとっての国家の問題が絡んでいる。この人の根幹はここなのかな。 解説では女であることと若いことを武器にして語らないのは珍しいと。確かに…
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桜が散る頃になると、どうしてもこの小説のことを思い出してしまう。(鷺沢 萠さんが35歳で自殺してしまって、もうこの世にいないからかもしれないけれど・・・) 上智大学の学生だったころに「少年たちの終わらない夜」でデビュー。「帰れぬ人びと」「海の鳥・空の魚」「スタイリッシュ・キッズ...
桜が散る頃になると、どうしてもこの小説のことを思い出してしまう。(鷺沢 萠さんが35歳で自殺してしまって、もうこの世にいないからかもしれないけれど・・・) 上智大学の学生だったころに「少年たちの終わらない夜」でデビュー。「帰れぬ人びと」「海の鳥・空の魚」「スタイリッシュ・キッズ」と続けて出版した後の、「葉桜の日」。これらのタイトルをみただけでも、いかに言葉のセンスのある人かわかりますでしょ? 「葉桜の日」には、「葉桜の日」のほかに、三島賞候補になった「果実の舟を川に流して」が入っています。この2作品の共通点は"親のいない"19、20歳の少年の眼を通して、普通の日本人やらサラリーマンには縁のない世界(もしかしたら底辺といってよいのかも)が描かれていること。 本作品以外で、泉鏡花賞受賞のほか、芥川賞候補に4度、野間文芸新人賞候補2度、なるほどの実力。 「果実の舟を川に流して」は彼女の最高傑作という人もいるほどの作品です。
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「葉桜の日」と「果実の舟を川に流して」の2作を収録。どちらも決して悪くはないけれども、例えば「ウェルカム・ホーム」だとかと比べるとやはり見劣りする感は否めない。個人的には「果実の舟を川に流して」のが好きでした。あのけだるい感じの雰囲気が好き。
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2作品入っている。 世間の暗い部分を切なく盛り込ませながら、それでも悲観的になりすぎていない部分に味がある。 私は、後半の「果実の船を川に流して」の方が好きだったが、前半の「葉桜の日」の「僕は、誰なんだ」と言うフレーズが非常に印象的だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読始:2008,11,14 読了:2008,11,15 二編話が入ってるんですが共にさらっと読めてgood 表題の「葉桜の日」のラストはちょっと涙ぐむかも 両作品とも青春期の心の葛藤(というほど大袈裟ではないかもしれないが)、揺れ動く心情を匠に描いている 共に「僕は本当は誰なんだろう?」と自分の存在を問うのがテーマかなぁ 「葉桜の日」はまさにそれそのものがテーマ 「果実の舟を川に流して」は主人公の青年もそうだがそれを取り巻く人たちの様々な人生というかを描いきそれを通して何を思うかって感じかな 「海の鳥・空の魚」から読み始めた鷺沢恵さんの作品 これが一番よかったと思う ★3.4の★3で
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鷺沢萠という夭折の作家のデビュー作。恐らく10代の頃の作品だと思うのだけれど、10代の女の子が書いたとは思えないほどの完成度。そして、信じられないほどの「静かな感性」。実は、彼女の作品では、この作品が一番好き。
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いいですねー。この人前、何読んだんだっけ。 割と昔の人なのに、時代も若さも性別も感じさせない、いい作家。
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するする、と入っていけるんだけど、軽くないというか… 底辺の話だなと思います。この人の本、もっと読んでみたい。
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鷺沢さんが上智の学生のころに書かれた作品です。長老みさわさんのレビューを読んで読みたくなり手にとりました。私、鷺沢さんの作品はかなり読んでいるつもりだったのに、これは初読だったんですよ。しっかり後年のテーマが取り上げられていて、でも、ミステリー的要素も取り入れてある。登場人物たち...
鷺沢さんが上智の学生のころに書かれた作品です。長老みさわさんのレビューを読んで読みたくなり手にとりました。私、鷺沢さんの作品はかなり読んでいるつもりだったのに、これは初読だったんですよ。しっかり後年のテーマが取り上げられていて、でも、ミステリー的要素も取り入れてある。登場人物たちの個性が立ち上がってくるところがうまいなぁ・・と感嘆しました。学生の書いたもので感動したのは、よしもとばななさんの「ムーンライトシャドウ」以来かなぁ。謎は謎で引っ張りながらもストンと解明、でも、その背景については読者に考える余地を与える・・・。改めて、惜しい人を亡くしたものだと思います。お綺麗な写真も載っていて、悲しかったです。
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すごいなぁ。20歳や21歳で書いたとはとても思えない。10代で作家デビューして大きな賞を受賞する作家は今も昔もいるけれど、(読んでもいないのに言ってしまえば)著者の行動半径の5キロメートル以内位のよしなしごとを描いているものが多いと思う。社会の何がしかについてその著者の目線で描い...
すごいなぁ。20歳や21歳で書いたとはとても思えない。10代で作家デビューして大きな賞を受賞する作家は今も昔もいるけれど、(読んでもいないのに言ってしまえば)著者の行動半径の5キロメートル以内位のよしなしごとを描いているものが多いと思う。社会の何がしかについてその著者の目線で描いたものが作品な訳だから、作品の内容が若々しくなるのはいわば当然のことなのだ。収録された2作品は、文庫解説の山田太一さんが原田宗典さんの言葉を引用して「肩の力が抜けている」と言わしめる、あるいみ「ろうたけた」風合いも感じられるほど。近年の作品の方がよっぽど若々しいかも。「ビューティフル・ネーム」や「ウェルカム・ホーム!」の根っこはデビュー当時から連綿と続いていたのですね。表題作「葉桜の日」は桜が六部咲きの頃から葉桜になるまでの数週間に主人公の身の回りに起こったことを綴った作品。主人公の青年はジョージと呼ばれながら“志賀さん”に育てられた両親のいない青年。“志賀さん”の秘書役だった明美さんの結婚式の帰り道から物語ははじまり、おじい、ロクさんと巡って、ジョージが自分の過去をなぞっていく話になり、葉桜の日に唐突に物語りは終わる。もう一編収録された「果実の舟を川に流して」は、横浜らしき町のバーに勤める健二とママ、そして常連の客たちを描く中で、ママの過去に触れる話。「私は誰?」「普通って何?」と問いかけながら「…人の生きていく方法や道はさまざまで、どれが最高ということはない。ただ、自分のめいっぱいに真実(ほんとう)で生きていればいい」というメッセージは最後の作品まで貫かれていたんだなぁ。
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