命の終わりを決めるとき の商品レビュー
状況も、登場人物それぞれの考えもまったく異なる 2 作品。共通しているのは当事者心理と供述調書の乖離か。取り調べをする二人の誘導には憤りを感じずにいられない。
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喘息の経験があるので、終の信託の江木さんの気持ちが分かる。 どんなに良い人でもあの苦しさを味わってしまうと安らかに死にたくなるよなぁ。 よっくんは今、は女の子が一人よがりでなんとなく共感できなかった。、
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中篇が2本。作者は現役の弁護士らしいとの事で、取調べに関する手続きや具体的な描写にリアリティを感じる。死亡推定時刻など他の作品と読み合わせるとおそらく筆者は現在の取り調べ制度には懐疑的なのだと思う。 ・終の信託 安楽死をテーマにした作品。映画にもなっている。 患者と女医の会話を知っている読者は女医の行為が悪意あるものとは思えないが、検事の野心のために発言を誘導され、さらに言ってもいない事が追加された調書を見れば女医は悪人にしか思えないだろう。 取調べの可視化がなされればこうした強制的な作文は無くなるのか? 死に望んだ患者を苦しませるのが法の正義であり、苦しみを取り除くのは悪となる。 患者が死を望むときの医師の治療方針はどうあるべきか。患者の望みに反して苦しみを長く与える医師は正しいのか。 ・よっくんは今 毅然とした部分を持つ前作の主人公とは違い、精神的に未成熟で流されるままに殺人を犯した女性の話。 こちらは警察の取調べだが、やはり警察官の思い込みにより調書が作られていく。 どちらも投げっぱなしの結末なので、小説としては終わっていない気がするのだが、問題提起と思えばまあ。 実在の事件をモデルとしているという事で、安易に救済がなされないのも必然か。 どちらも取り調べ制度の限界と、取調べに携わる人間の人格を問うており、どちらの事例でも調書は全く真実とかけはなれたところで作られていく。 可視化してもまた別の問題が起きると思うが、今の制度の問題点は取調べ側に悪意があった場合(そして取調官はその悪意に自分で気付いていない)それを止める仕組みが全く無いということか。 そこを変えると今度は裁かれるべきものが裁けなくなるという問題が出るのだろうけど。
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皆さんの書評と同じく、結末が残念であった。 それまでの内容は迫力があり、引き込まれるものであった。 「よっくんは今」は読む気になれず、やめてしまった。
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映画「終の信託」の原作本。 今は改題され映画と同名となり、新装版として販売されている。 映画を見た方には、主人公の振る舞いには実はこういう意味があったのか、検事とのやり取りには、お互いにこんな思いがあった事に気づかされる。 だからと言って、小説の方が良いというのではない。 小説...
映画「終の信託」の原作本。 今は改題され映画と同名となり、新装版として販売されている。 映画を見た方には、主人公の振る舞いには実はこういう意味があったのか、検事とのやり取りには、お互いにこんな思いがあった事に気づかされる。 だからと言って、小説の方が良いというのではない。 小説も映画も、著者・監督の想いが行き届いて良い作品になっている。 尊厳死・安楽死について、法としての考え方が判例として小説に挙げられている。 設定された年代が今より10年ほども前なので、今の医療における説明責任とは異なっているが、どちらにしても患者・家族が納得する医療を果たす為には、医療者は説明を十分尽くさねばならない。 ”信託”が医師に任されるのではなく、患者・家族がきちんと決める。 家族の中で死について語らい、医療者は支えるスタッフであり続ける。こういった社会の育成を我々は考えなければいけないのでは…などと考える。
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終の信託 / 書き下ろし よっくんは今 / 書き下ろし 作者あとがき 解説(桐生典子) 『命の終わりを決めるとき』 2005.6 光文社刊 文庫化 カバーデザイン 北見隆 カバー印刷 慶昌堂印刷 印刷 慶昌堂印刷 製本 明泉堂製本
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苦しむ患者の尊厳のために安楽死をさせた女医と、暴走した愛情のために愛する人を殺した二人の女性のお話です。 それぞれの話は全く独立しています。 どちらも、根底にあるのは愛情ですが、そのベクトルは真逆。なのに相手の断末魔を目にした時に二人が思ったことは同じ。 「早く楽にしてあげなく...
苦しむ患者の尊厳のために安楽死をさせた女医と、暴走した愛情のために愛する人を殺した二人の女性のお話です。 それぞれの話は全く独立しています。 どちらも、根底にあるのは愛情ですが、そのベクトルは真逆。なのに相手の断末魔を目にした時に二人が思ったことは同じ。 「早く楽にしてあげなくちゃ」 愛情とは?善意とは?悪意とは? 考えると混乱してしまいました。
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重症の喘息患者が医師に託した「終の信託」で、 尊厳死が殺人と認められてしまう現実に愕然。 いざというときは自分で自分の始末をつけるしかないのか。
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