浄土 の商品レビュー
面白い〜 本のタイトル、浄土とはよく言うたもんや。 人に迷惑かけたり悪いことばっかりしてたらええ死に方しませんよ、ていう昔話みたいな短編集やなぁて。 とにかく出てくる男どもが屑中のクズばかりで腹立つ腹立つ。どれも身近にいそうなムカつく奴のステレオタイプな奴が勢揃いて感じで、読んで...
面白い〜 本のタイトル、浄土とはよく言うたもんや。 人に迷惑かけたり悪いことばっかりしてたらええ死に方しませんよ、ていう昔話みたいな短編集やなぁて。 とにかく出てくる男どもが屑中のクズばかりで腹立つ腹立つ。どれも身近にいそうなムカつく奴のステレオタイプな奴が勢揃いて感じで、読んでるこちらまで過去の迷惑かけられた、嫌な思い出まで思い出してしまいイライラする始末。 特に最後の自分の群像というお話に出てくる温田という男。具体的に1人の人物と被ってしまい自分でも嫌になるくらい腹たったし。 でも町田康という人は、すごく優しい人でもあるんだなといつも感じる。どんなに汚くて嫌な人間を登場させても、誰か1人はまともで人に親切にできる人を登場させてくれる。その人がまた本当にいい奴なんです。救いがいつもあるというのは嬉しい。 そしてやっぱり面白くてエンタメ性がすごい! ついでやけど、この本、表紙の坊さんの仮面が気持ち悪い。夜中に見てしまったらトイレ行くの嫌になるので、寝る前に伏せて置いてた。
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途上の作 なにを書かうかといふものがまとまらず、あてどなく書いてゐるやうに見える。一番おもしろかったのは一言主の神で、大口あけて笑ったが、ほかはあまりいいとは思はなかった。解説の松岡正剛はパンクを気取らうとしてるがよくない。関係ないシオランなんか取上げて水増ししないで、町田康だ...
途上の作 なにを書かうかといふものがまとまらず、あてどなく書いてゐるやうに見える。一番おもしろかったのは一言主の神で、大口あけて笑ったが、ほかはあまりいいとは思はなかった。解説の松岡正剛はパンクを気取らうとしてるがよくない。関係ないシオランなんか取上げて水増ししないで、町田康だけに絞って真面目に書いてほしいと思ふ。
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一言主の神が声出して笑ってしまうほど面白かった。訳が分からないほどアホくさくて一気読みしてしまった。2番目に好きなのはギャオスの話で、これもくだらなくて好き。面白い本に出会えて良かった。
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語感と勢いというような文章でするする読める。独特。 登場人物はみんなくだらなく、みみっちく、その癖プライドは高そうな感じ(でもいかにもリアルに感じる)なのだが、突拍子もない展開でそいつらが揃いも揃って悲惨な目に遭いまくるというお話が多い。でもそれは懲悪ではなく自虐であって、突き放した白けた感じが漂う。 石投げられてどぶに頭から突っ込んで意識を失うとか、突然現れた怪獣にスナックのごとく食べられるとか、頭がぐるぐる回転してちぎれて同僚にゴミ箱に捨てられるとか、ああ、こいつも自分も死なねえかな、今すぐ、みたいな妄想が書き連ねてある印象。どぶさらえは、ちょっと面白かった。
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読後しばらく経っても短編の一つ一つハッキリどういう話か思い出せるから、それが長編より短編の方がかなり濃縮されてて変な違和感残り続けて、再読に手が伸びる。
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まさかINUの町田さんが小説家だとは知らなかった。 初めて読んだけどいい意味で下らなくて笑えた。本音が言えてない本音街が最高に好き。 あぱぱ踊りの話が通じない男がたまーにいるお客さんみたいで読んでてイライラした(笑) 自分の偶像の終わり方も好き。
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町田康に整然さを求める方が変だが、インザプールの方が読む分には読みやすかったな……。怪談みたいな話が多かった。ナンバーガールと稲川淳二を2で割った感じ。ビバ!カッパ! ↑2023.02.16 イン・ザ・プールは奥田英朗だった。
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≪犬死≫ 『夏以来、ひどいことばかりうち続く。例えば以前から知り合いで特にどうということもない関係だった男があたふたと忙しげに近寄って来たかと思うと、到底承知できない条件で仕事を依頼、その場で承諾を迫り、断ると大きな声で「ああそうですか」というと挨拶もそこそこに立ち去った。暫くして会合に出席するとその男が居た。彼は人前で私を意味なく怒鳴りつけ、そして急ににやにや笑うと顔を五センチも近づけて、例の話どうでしょう?と言った。私が返事をしないでいると、男は不意に忙しげに立ち去った。いまではほうぼうで私のことを恩知らずと言いふらして歩いているらしい』 けものがれ~を彷彿とさせる、苦虫を噛み潰したかのような冒頭。男は編集者、豚田笑子から、そんなだったらジョアンナ先生を訪問するとよいと勧められる。初めはプライドもあって行くのをためらっていた男だが、あまりにもひどいことが続くので、迷いつつもジョアンナ先生のもとを訪れることにするが・・・。 絶対に当たるとわかっている予言を聞くことは果たして意味のあることなのだろうか? ≪どぶさらえ≫ 『先ほどから「ビバ!カッパ!」という文言が気に入って、家の中をぐるぐる歩き回りながら、「ビバ!カッパ!」「ビバ!カッパ!」と叫んでいる。』 町内会でつまはじきに遭い、誰もやりたがらないどぶさらえの仕事を押し付けられ、唯一、自分に憐みの目を向けてくれている(ような気がする)美しく聡明な富久縞さんの存在だけを希望とし、栄光の汚辱に耐える。 ≪あぱぱ踊り≫ 『俺は凄い人間なんですよ』 『ああそうなんですか』 <略> 『そうなんですよ。だから俺が凄いっていうことを俺自身がいつもわかれるように、こうして俺のファンの子らがいつも俺の側で踊って俺の精神を盛り上げてくれてるんですよ。』 すごいすごいと言う割には、何がすごいかと問うても教えてくれない男。町田氏の作品の中では、割と理不尽さが少なく、主人公がひどい目に合わずに終わる。 ≪本音街≫ 皆が本音を素直に口に出すために、一見無秩序に見えるも、意外に効率的に回っている街、本音街。 この街では誰もがしたい恰好をし、踊りたいと思えばいきなり踊ることも可能。 ≪ギャオスの話≫ ギャオスという身長六十五メートル、超音波でものを壊しまくり、人間を食らう、とんでもない獣が東京都中野区に現れる。突拍子もない話の、意外にリアルな政府や世間の反応。かと思いきや、カメラを向けられたギャオスがポーズを撮る、など、一体どこまで真面目に読むべきなのかわからない。 『カメラを向けている間はギャオスは攻撃をしてこないと分かるや全国から多くの人がカメラを手に中野区北口に押しかけた。豪胆にもギャオスの足にもたれかかりピースサインをする痴れ者もあった。 キャスターの田和辺六は「そこまでするのはどうでしょう」と眉をひそめて発言、懸念を表明したが果たして惨事は起きた。』 この辺りや、首相のアメリカへの軍の要請をすべきかの葛藤(どうしようとも結局非難されるというやるせなさ)などは妙にリアル。 ≪一言主の神≫ 口に出しただけで具現化することのできる(但し、すでにこの世にあるもの以外)力を持った一言主の大神を屋敷に迎え入れた天皇の末路。 ≪自分の群像≫ とんでもなくボンクラな同僚のせいで割食ってた会社員、位多子。 最終的に、復讐、になったのか、なんなのか。しかし、彼の作品には珍しい女性の主人公。そして、結末に理不尽さが少ない。ただ、どちらかというと、しょうもないことを言いふらしたり、人の足を引っ張ってばかりの似田に、海苔を食べさせてほしかったような気もする。
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まあ、分からない。 分かったら、じゃあどうだっていう感じでもあるが。 ただ、一つひとつの文章は、とてもよく分かる。 心理学の本?ってくらいに、自己とはなんぞというエッセンスが散りばめられている。 だからどうだっていうね。
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(*01) 単純に面白い、という言葉が最も似合う小説は、現代において町田氏の書くものがその先端を走っているのではないだろうか。ナンセンス、言い回しの妙などからこの文字の笑いをいくらかは解説できるのかもしれないが、どう解説しても難解にはなるだろう。 一言主の神については以前に読んだ...
(*01) 単純に面白い、という言葉が最も似合う小説は、現代において町田氏の書くものがその先端を走っているのではないだろうか。ナンセンス、言い回しの妙などからこの文字の笑いをいくらかは解説できるのかもしれないが、どう解説しても難解にはなるだろう。 一言主の神については以前に読んだ事があったが、そのほか2000年代前半に書かれた6つの短編については初見であった。赤塚不二夫から漫画太郎氏まで引き継がれているような擬音のギャグを文で描写した様な節もあり、もちろん落語や文学の特異な言い回し(*02)の援用のほか、今回読んだ限りでは星新一の皮肉でブラックなショートショートが生活感に塗れて立ち現れた様な感じもしてしまった。どれもやはり遠い喩えにしかならないのではあるが。 (*02) 言葉の順列や組み合わせとも言えるが、語単位に分析した時に、通例で使用されれば何でもない語を、違う列や文脈にある文例に、韻やリズムを整えながら、挿入したり置換したりして、面白くさせているというのはある。しかし、大喜利のセンスに近いものがあるが、素人がこの方法で文章を綴ろうとすると、意味的で物語的な作用を起こしてしまう。講談社文庫版の解説で松岡氏が指摘しているのはこのあたりの事情であり、意味作用や物語作用が現われないように暴力的に言い回す、というところに著者の文体の魅力はある。
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