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夏の吐息 の商品レビュー

3.4

33件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

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  3. 3つ

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2022/12/25

「肉体的な欲望をもって、精神的な愛情ももって、そのうえ、そこに言葉がほしい、って私、いつも思ってるんです。なのにそれがいつもうまくいかない。」 言葉を欲する自分がいながら、気持ちを表現しようとすればするほど、本当の思いとはかけ離れて行くような気がする。 「どう頑張って言葉を編み出...

「肉体的な欲望をもって、精神的な愛情ももって、そのうえ、そこに言葉がほしい、って私、いつも思ってるんです。なのにそれがいつもうまくいかない。」 言葉を欲する自分がいながら、気持ちを表現しようとすればするほど、本当の思いとはかけ離れて行くような気がする。 「どう頑張って言葉を編み出してみてもね、書き連ねた言葉は嘘になっている。真実ではない。ごまかしがあったり、気取りがあったり、複雑にさせたりしている分だけ、偽物にすり替わってしまっている」

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2022/08/19

過不足なく、しみじみとする短編集でした。いくつになっても恋愛に慣れることはないしいつもままならない。苦しみたくないけどそうも言ってられずこうなってしまいます。 愛と死は近いところにあるなぁ。続きがあってもここで終わっても、すべてきっと大事な記憶になります。ほんの少し不幸でも、それ...

過不足なく、しみじみとする短編集でした。いくつになっても恋愛に慣れることはないしいつもままならない。苦しみたくないけどそうも言ってられずこうなってしまいます。 愛と死は近いところにあるなぁ。続きがあってもここで終わっても、すべてきっと大事な記憶になります。ほんの少し不幸でも、それもまた悪くはないです。

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2022/08/03

夏に読もうととっておいた小池真理子4作目。 男女ではあるけれどただの夫婦とか恋人ではない色々な愛の形の短編集。 個人的には【月の光】の関係がすき。 『今、月がきれいなんだ。』でなぜか泣けた。 そんなことを報告してくれるような【春爛漫】から言葉を借りれば『なじむ』相手がいい。

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2021/10/18

《死を背景としつつ、それに抗う生を、いっそう鮮やかに浮かびあがらせている。》 ・ 男と女の話ではあるが、(男と女と言っても、死んだ友達の不倫相手だったり、偶然知り合ったかなり若い男だったり‥)それぞれの人生が、短編ながら読みやすくまとまっている。どの話の終わりも決して悲観的でなく...

《死を背景としつつ、それに抗う生を、いっそう鮮やかに浮かびあがらせている。》 ・ 男と女の話ではあるが、(男と女と言っても、死んだ友達の不倫相手だったり、偶然知り合ったかなり若い男だったり‥)それぞれの人生が、短編ながら読みやすくまとまっている。どの話の終わりも決して悲観的でなく、ポジティブな読後感に浸れる。 ・ 最後の春爛漫は小池真理子さんらしからぬ、男と女な友情が描かれていて、意外な感じがした。幼なじみのカズは、決して恰好よくはないけれど、関西弁と笑顔がよく似合う、死んだ妻を愛するあったかいイイ男とみた。40、50歳になっても続く男女の友情って、すっごく憧れる。 ・ 全編を通して、透明感がある。 小池真理子さんの描く文章はやっぱりすき。

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2021/08/26

「恋」や「愛」という言葉で言い表すことの難しさを感じるような不思議な空気が漂った作品だった。 恋人になったから、結婚したから、体の関係を持ったからそこに愛が生まれるとは限らないし、愛はもっと果てしなく深いところにあるものなのかな、ともひょっとしたらもっと軽いものなのかなとも考え...

「恋」や「愛」という言葉で言い表すことの難しさを感じるような不思議な空気が漂った作品だった。 恋人になったから、結婚したから、体の関係を持ったからそこに愛が生まれるとは限らないし、愛はもっと果てしなく深いところにあるものなのかな、ともひょっとしたらもっと軽いものなのかなとも考えさせられた。 表題作も素敵だけど『パロール』が特に好き。 一つの作品の中から暖かさと寒さが同時に漂ってきた。 「死」と隣り合わせにあるからこそ「愛」がより引き立って不思議な暖かさと痛さを放って魅力的なものになるのではないかと思った。

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2018/06/15

少し大人な淡くもろい恋愛小説。子どものそれとは違い、さまざまな立場の中で矛盾するような思いを抱えた大人達の物語は胸を締め付けるものになっている。緻密な描写にどこまでも入っていける。

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2017/11/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

標題作を含む6つの短編。どの物語も額装された1枚の絵のように、叙情的な美しい世界を見せてくれる。 そのどれもに共通して感じられるのが「死」、「愛」、「エロス」。私たちの年代にこの作品が沁みるのは、様々な過去の経験を越えてきて、死の影を感じ始めた今だからこそなのかもしれない。 個人的には「パロール」がとてもよかった。 若かりし頃に意味も分からずにその色気に惹かれて聞き惚れたアランドロンとダリダの「パローレ・パローレ」が出てきたからかもしれない。また聞きたくなった。

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2017/08/16

表題作。 読んでいるだけでこちらも苦しくなってくるような大人の恋愛。 帰ってくるかわからない人を待ち続けるのって、つらい。 主人公に思いを巡らすと、大好きな人に振られて心が折れかけたわたしなんて、たいしたことなかったんだと思えた。

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2016/08/19

表題作含む6編の短編集。初期の心理サスペンス、中期の恋愛を経て新たなステージに入ってきたのかなと感じました。どの作品も恋愛は絡んでくるものの、メインは夫婦間のちょっとした秘密だったり、男女間の友情、終わってしまった恋に恋愛未満の話もあり多彩な設定で楽しめた。官能や耽美は従来の作品...

表題作含む6編の短編集。初期の心理サスペンス、中期の恋愛を経て新たなステージに入ってきたのかなと感じました。どの作品も恋愛は絡んでくるものの、メインは夫婦間のちょっとした秘密だったり、男女間の友情、終わってしまった恋に恋愛未満の話もあり多彩な設定で楽しめた。官能や耽美は従来の作品よりも控え目な印象でしたが、しっくりとくる比喩表現に目に浮かぶような情景の描写が美しく、しっとりとした大人の雰囲気を存分に味わいました。

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2014/01/11

この六篇を超える作品は、もう描けないかもしれませんー小池真理子、という帯に惹かれて購入。 うーん、たしかに大人な恋愛小説ではあったけど、どれもこれもが中途半端な感じ…まあそれが持ち味なんでしょうが。。 もう少し歳を重ねてから読めば、感じ方が変わるかな。

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