市場リスク 暴落は必然か の商品レビュー
金融市場の高度化→複雑性の増大→リスクの増大。 複雑性→密結合→ノーマル・アクシデント 経済的行動に関する生物学との類似点→「粗視的な行動の法則の最適化について」 金融商品を単純化し、レバレッジを減らすことが、金融市場の制度設計を修正する処方箋。 著者はMIT経済学博士号をもちつ...
金融市場の高度化→複雑性の増大→リスクの増大。 複雑性→密結合→ノーマル・アクシデント 経済的行動に関する生物学との類似点→「粗視的な行動の法則の最適化について」 金融商品を単純化し、レバレッジを減らすことが、金融市場の制度設計を修正する処方箋。 著者はMIT経済学博士号をもちつつ、モルガン・スタンレー、ソロモン・ブラザーズ等での豊富な実務経験も豊富。この分野での日米の差は大きい。
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本書は金融機関でリスクマネージメントに携わった著者が金融市場がなぜ暴騰暴落を繰り返すのかを記したものである。複雑性をキーワードに実際に目の当たりにした体験を綴っている。本論とはそれるが今まで金融機関に抱いていた不信感が文章になっており印象に残っている。 「資金を運用し、トレーディ...
本書は金融機関でリスクマネージメントに携わった著者が金融市場がなぜ暴騰暴落を繰り返すのかを記したものである。複雑性をキーワードに実際に目の当たりにした体験を綴っている。本論とはそれるが今まで金融機関に抱いていた不信感が文章になっており印象に残っている。 「資金を運用し、トレーディングを行って生計を立てている…人々は、いったい何をしているのだろう。…こうした投資のプロは、よくいったところで経済の死荷車であり、最悪の場合は、差し引きでマイナスに作用する。どんな売買も取引コストを膨らませる以外のなにものでもなく、リターンを不必要に押し下げるため、経済的資源を消耗することになるからだ。投資家やトレーダーは、市場を効率的にするのに必要な存在だが、そうであるために、取引から利益を得られない。」もっとも、完全市場仮説が正しくないと主張するための言であるが、この疑問への答えは読みこなせなかった。もっと勉強せねば。
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IT業界から金融業界に転職したばかりだからなかなか 新鮮でおもろかった。今の自分の実力での判断は 1)金融とITは真実の探求やロジックの組み立てが 近いから親和性が高い。 2)だからたぶんオープン系勃興期のITエンジニアと 金融工学を開発した人間関係はMITとかで...
IT業界から金融業界に転職したばかりだからなかなか 新鮮でおもろかった。今の自分の実力での判断は 1)金融とITは真実の探求やロジックの組み立てが 近いから親和性が高い。 2)だからたぶんオープン系勃興期のITエンジニアと 金融工学を開発した人間関係はMITとかで近かったん だろうなーと判明。 3)金融は人間しか発明できない産業であり地頭が もろに評価につながるなー。 ぐらいかな。でも数字数字いっちゃいけないところもあるんだね。たぶん。
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かなり前に読んだ本なのであてにならない書評かもしれませんが、かつて読後に受けた印象など。 この本はファンドのリスクマネジメントを担当する著者が書いた、サブプライム危機がどのように起きたかについてドキュメントである。普段見聞きすることのない投資銀行内部の事情が詳細に描かれていて、...
かなり前に読んだ本なのであてにならない書評かもしれませんが、かつて読後に受けた印象など。 この本はファンドのリスクマネジメントを担当する著者が書いた、サブプライム危機がどのように起きたかについてドキュメントである。普段見聞きすることのない投資銀行内部の事情が詳細に描かれていて、興味深い。 最近の危機の原因については「密結合」、複雑性の2つを提示する。密結合とはどういうことかというと、金融市場では個々の事象が密に関連しているため、1つの小さなショックが大きなショックへと連鎖しやすいということ。ショックが起きてから対応へ許される時間が極度に短いことである。 複雑性は金融商品・金融機関の複雑化を挙げる。 密結合・複雑性を回避する処方箋として、著者は金融商品の単純化、レバレッジを減らすことを挙げる。極めてスタンダードな結論だが、25年にわたりリスクマネジメントに携わった著者の言葉は重い。
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過去数十年に起こった危機のほぼ全てが,金融市場そのものの複雑な構造に起因している. 【ケース1:ブラックマンデー】 ・1987年のブラックマンデーを招いた問題の本質.株価の下落を受けて,ポートフォリオ・インシュアランスに組み込まれていたヘッジ・ルールにより売り需要が増大した.一...
過去数十年に起こった危機のほぼ全てが,金融市場そのものの複雑な構造に起因している. 【ケース1:ブラックマンデー】 ・1987年のブラックマンデーを招いた問題の本質.株価の下落を受けて,ポートフォリオ・インシュアランスに組み込まれていたヘッジ・ルールにより売り需要が増大した.一般に価格が下がると買い需要が増える.しかし,下げ幅が大きすぎたため,買い手は何か新しい市場情報が発せられたと警戒し,買い需要が起きるまで時間がかかる.需要側と供給側で投資行動の時間軸が異なるため,供給が途絶えた. 【結論】 ・ある安全システムを別の安全システムの上にかぶせると,結局は根拠のない自己満足の世界に浸って終わる.どんなシステムにも,機能不全の発生が避けられない相互作用点が必ず存在する.要点は明快である.事後的に規制を強化してリスクをコントロールしようとするのではなく,何よりもまず複雑性を減らすのが望ましいということだ. ・複雑性を増大させてその影響に規制で対処するのではなく,最初から複雑性を減らすべきだ.金融商品を単純化し,レバレッジを減らすことが,金融市場の制度設計を修正する処方箋であるのは間違いない.こうした修正を加えれば,金融市場は,以前ほど精密には調整されておらず,投資家のニーズにも応えていないように映るだろう.しかし,ゴキブリの粗視的な反応機構と同じように,夢想だにしない出来事が次々に起こることが避けられない世界では,金融商品を単純化し,レバレッジを減らせば,より堅牢で製造能力の高い市場が造り出されるのである.
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専門用語多いので調べながらでないとなかなか理解できないです。 ただ、内容が分からなくても大変な事がおこっているっていう臨場感は味わえますね。
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サブプライムだけでなく、暴落の原因についてよくわかります。 少し難しい語句がでてきますが、金融の知識がなくても、おもしろく読めます。
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LTCMの破綻から現在の金融危機を含めてその危機が生じた市場にいた著者がなぜ起きたのかということについて分析をしている。 イノベーションがもたらす代償と人間の行動の非合理性が原因ということだが、内容が少し長すぎる。時間に余裕がある人は全部読むといいと思う。
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頻繁に市場を襲うようになった金融危機の原因は何か。なぜ金融リスクは低下しないのか。ウォ ール街のリスク専門家が体験を交えて赤裸々に描写した、金融危機のインサイドストーリー。(TRC MARCより)
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投資銀行やヘッジファンドでリスクマネージャーとして、長年業界を見てきた著者による本。あまり目新しい内容はないが、よくまとまっており、ページ数の割にはすんなり読める。前半3分の2ぐらいはポートフォリオインシュランスとブラックマンデー、LTCM、ソロモンの債券取引チームなど、これまで...
投資銀行やヘッジファンドでリスクマネージャーとして、長年業界を見てきた著者による本。あまり目新しい内容はないが、よくまとまっており、ページ数の割にはすんなり読める。前半3分の2ぐらいはポートフォリオインシュランスとブラックマンデー、LTCM、ソロモンの債券取引チームなど、これまでの金融危機の歴史が語られる。・ロバートソンもソロスもネットバブルに対しては懐疑的で、自分のスタンスを崩さなかった。これは正しい姿勢であったことが後に立証されたが、ともに市場の狂気に挑み、敗れた。「市場は自制心を失っていると指摘することと、その流れに逆らった取引をすることはまったく別の話である」というのはその通り。でもネットバブルの時代に花形であった人たちは一人残らず討ち死にしており、結局はスタンスを維持することが生き残る秘訣のように思う。最後のほうは著者が感じるリスクマネージメントの在り方について語られる。「ゴキブリとヘッジファンド」という章にほぼ全てが要約されており、粗い、柔軟なシステムこそが最強のシステムだという。「透明性が高まると流動性が失われる」という記述も今、振り返ってみるとその通り。透明性をなくし、格付けに頼った結果、サブプライム問題が起こり、中身が見えるようになると流動性が失われたのだろうか。・システムは複雑性が増し、密な結合があると、どこかが変調をきたした場合、加速度的に事態が悪化してゆく。そのため、リスクへの対応は精密化するのではなく、粗視化すべきである。われわれが受け入れて理解できるリスクだけに対処する精密に調整された規則と体系の構造をつくると、複雑性は増大の一途をたどり、とてつもなく大きい代償を払うことになる■富は増大することそれ自体が株価を押し上げる。資産効果によって得たカネをさらに市場に投入し、株価を押し上げる
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