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蒲公英草紙 の商品レビュー

3.9

333件のお客様レビュー

  1. 5つ

    76

  2. 4つ

    140

  3. 3つ

    88

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2026/04/06

常野シリーズ第2弾。 前回は短編でしたが今回は長編で個人的には今回の方が良かったです。 不思議な力を持つ常野から来た人々。 主人公は東北の村に住む峰子。 峰子は旧家槇村家の末娘聡子のお話し相手となる。 峰子は生まれつき病弱で学校にも行けず、ずーっとお屋敷での生活を強いられてい...

常野シリーズ第2弾。 前回は短編でしたが今回は長編で個人的には今回の方が良かったです。 不思議な力を持つ常野から来た人々。 主人公は東北の村に住む峰子。 峰子は旧家槇村家の末娘聡子のお話し相手となる。 峰子は生まれつき病弱で学校にも行けず、ずーっとお屋敷での生活を強いられている。 槇村家のお屋敷には色々な人たちが出入りする。 そんなある日、常野から来た家族がやってくる。 前半は峰子と槇村家の家族、そしてそこに出入りする人々とを穏やかに進んでいくが、台風襲来から話は一気に緊迫感が増して聡子が大胆な行動に踏みきる。 物語は二十世紀が始まったばかりの明治時代。 この後、日本はどんどん暗い時代に突入していく。 だから尚更、前半のお話が良き日本の時代という印象が強く感じられた。

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2026/03/29

人の人生をしまうという宿命を背負った人達がいる。この本には、悪人が登場しない。みんな、それぞれの宿命を静かに真摯に生きている。 前編もやのかかったような、不思議な優しい世界だった。人生を理解し、その尊厳を体に記憶していくという事はどんなに辛いだろうと思う。やがて、むかえる死を前に...

人の人生をしまうという宿命を背負った人達がいる。この本には、悪人が登場しない。みんな、それぞれの宿命を静かに真摯に生きている。 前編もやのかかったような、不思議な優しい世界だった。人生を理解し、その尊厳を体に記憶していくという事はどんなに辛いだろうと思う。やがて、むかえる死を前にそんな人達がいたら安らかにいけるのだろうか。 以前、悼む人という本を読んだが同じ宿命の人だろうか

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2026/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第七章の運命では、表題のとおり聡子様の悲しい運命に涙を禁じえません。 私は聡子様の感性が好きです。 これからも、もっとたくさんのお話の中で出逢いたかったです。 【好きなシーン】 聡子様が椎名と永慶が描いた絵の感想を言う場面

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2026/02/09

切ない、なんて切ない物語なんだろうか。今の時代を生きる私たちに、まさに問いかけてくる。そして、美しい日本語で綴られ、硬い文章のようだが、情景が映像のように浮かぶため、読みやすく理解しやすい。シリーズであるエンドゲームを先に読んでいたので、違いに驚きつつ、まさにこれは名作だと思う。

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2026/01/27

切ない。これは切ない。これだけは言っておきたい。悲しみもあるが、切なさの方が先に立つ。過去、過ぎ去った歴史の物語を読んでいるはずなのだが、どうにも今、この時代を読んでいるような感覚まである。 戦前の長閑だが、どこか不穏な気配がする時代の空気が見事だし、そこにいる不思議な人々のユー...

切ない。これは切ない。これだけは言っておきたい。悲しみもあるが、切なさの方が先に立つ。過去、過ぎ去った歴史の物語を読んでいるはずなのだが、どうにも今、この時代を読んでいるような感覚まである。 戦前の長閑だが、どこか不穏な気配がする時代の空気が見事だし、そこにいる不思議な人々のユーモラスで、ふわふわした存在感が見事だ。そこにいないはずなのに、いそうな感じがするのだ。 ファンタジー、ではあるのだろうが不思議さと人の世の儚さをテーマにした群像劇でもある。恩田陸、不思議を不思議のままに描かせたら右に出る者のいない作家である。

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2026/01/24

最後の5ページがガツンと来る。村の美しく悲しい日々がこんな終着なのかと。 村のお嬢様の話し相手に選ばれた主人公、峰子の「いつの世も、新しいものは船の漕ぎだす海原に似ているように思います」という回想から始まる書き出し。新天地の輝かしさだけでなく、失敗の恐怖にも触れられる。悪いこと...

最後の5ページがガツンと来る。村の美しく悲しい日々がこんな終着なのかと。 村のお嬢様の話し相手に選ばれた主人公、峰子の「いつの世も、新しいものは船の漕ぎだす海原に似ているように思います」という回想から始まる書き出し。新天地の輝かしさだけでなく、失敗の恐怖にも触れられる。悪いことが起こるのだろうと端々からわかる。 なのにあまりに村と人々が素敵なものだから、峰子と同じようにずっとこの日々が続いたらいいのになあと思いながら読んだ。

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2025/12/23

読んでいて辛くなりました。聡子様、ありがとう。お父様、ほんとご立派です。自身がそこにいたような気分になり。暫く動けなかった。

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2025/12/15

日本人として避けてはいけない事実に対して、人としてどう向き合うか。 人は互いに心通わせ生きていく。歴史的な悲劇も「歴史」として目を向け大切に互いで共有しないといけない。

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2025/12/10

惑うことなき古き良き日本人の心が描かれた作品。 この作品には今を生きぬくための答えの一つが「しまわれている」と思う。 常野の人は一人一人が特別な能力を持っている。 この能力を自分のためでなく、人のために使うことが尊敬するところだと思う。 力を持つものが富や名声を独占する今の世...

惑うことなき古き良き日本人の心が描かれた作品。 この作品には今を生きぬくための答えの一つが「しまわれている」と思う。 常野の人は一人一人が特別な能力を持っている。 この能力を自分のためでなく、人のために使うことが尊敬するところだと思う。 力を持つものが富や名声を独占する今の世の中だからこそ「響く」と思う。

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2025/10/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「なぜこの結末を書いたのか?」 この問いから逃れることはできない。これと向き合わなければこの本は終われない。 本作の描写はあまりに柔らかく美しい。蒲公英草子とはよく言ったもので、麗らかな光が降り注ぐ日本の原風景のような楽園が広がっている。 淡い恋があったり、”にゅう・せんちゅりぃ”を生きる人々の葛藤と情熱の描きっぷりも巧みで、風景から心の描写まで筆が乗りに乗っている。 本当にこの美しい夏の記憶だけをずっと味わっていたかった。 だが、結末はどうだ。起承転落だ。それも深い深いところに突き落とされる。楽園で解きほぐされた剥き出しの心をガツンとやられて、問いを渡されたまま終わる。 だからこそ、「なぜこの結末を書いたから」これを考えなければいけない。 “「この国で生きていくことを決めた時から、僕たちはみんなを『しまう』ようになったんだ。みんなの思いをこの先のこの国に役立てるために。僕は、自分の一族に生まれついたことや、この生活を後悔してないよ」” →これだ。多分これなんだ。僕たちも生きていく上で「しまう」ことをし続けなければならないんだ。美しいことを「しまう」ことは簡単だけども、苦しいことも悲しいことも「しまって」それでも前を向いて生きていかなければいけない。そういうことを言っているのだと思う。 辛い読書体験だったが、どうにかこの本を僕の中に「しまい」、少しでも「響く」ものにしたい。

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