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ハワーズ・エンド の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2022/12/09

221209*読了 イギリス贔屓のため、イギリスが舞台であることだけで喜んでしまう。 上流階級で育ち、遺産で暮らすマーガレットとヘレン姉妹と、ハワーズ・エンドという家を持ち、いわゆる成金の一家との交流、そして愛。 違う環境で育ち、異なる価値観を持った人たちのやりとりが描かれていま...

221209*読了 イギリス贔屓のため、イギリスが舞台であることだけで喜んでしまう。 上流階級で育ち、遺産で暮らすマーガレットとヘレン姉妹と、ハワーズ・エンドという家を持ち、いわゆる成金の一家との交流、そして愛。 違う環境で育ち、異なる価値観を持った人たちのやりとりが描かれていました。 コメディを観ているような、茶番ぽい部分もあったりして、そこがこの小説の素敵な味付けに思いました。 こういうイギリスの文学はこれからも読みたいところ。

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2021/09/26

本書の初版が1913年、漱石の明暗が1916年。洋の東西は異なるが、社会階層や生活経済、女性の自立等の問題意識は共有されていたことがうかがえる。吉田健一流の「〜で」でひたすら繋いでいく文体に流されるように読み続けると、行ったことはないイングランドの風景に陶然となり、正直最後の方は...

本書の初版が1913年、漱石の明暗が1916年。洋の東西は異なるが、社会階層や生活経済、女性の自立等の問題意識は共有されていたことがうかがえる。吉田健一流の「〜で」でひたすら繋いでいく文体に流されるように読み続けると、行ったことはないイングランドの風景に陶然となり、正直最後の方は主人公達の細かな諍いなどどうでも良いような気分に浸ることができた。

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2018/08/09

フォースター 「 ハワーズエンド 」 描かれているのは 「身分や財力に上下の差があっても、人間に上下の差別はないとする人間観」 この本で問われているのは *人と人との関係(人は階級を超えて理解し合えるか=精神を理解できるか) *人と精神の関係(精神の象徴として ハワーズ...

フォースター 「 ハワーズエンド 」 描かれているのは 「身分や財力に上下の差があっても、人間に上下の差別はないとする人間観」 この本で問われているのは *人と人との関係(人は階級を超えて理解し合えるか=精神を理解できるか) *人と精神の関係(精神の象徴として ハワーズエンドという家を描いた) *人とお金の関係 この本で強調されているのは *落ち気味の資本家階級と上昇している中産階級の心のギャップ *家の精神性(単なる建物でなく精神の象徴であったり、精霊が宿っているようにも感じる) 人とお金の関係 *精神とお金は 縦糸と横糸→お金があれば カドがとれる *人間の死が お金が無意味であることを教えてくれる 人と人との関係 「人と人との関係が本当の人生」 「人間を信じること〜人を瞞すのは人間がすることだけれど、人を信じなくなるのは悪魔の仕業」 「私たちはみんな霧の中にいる」 「死は人間を消滅さけるが、死の観念は人間を救う」

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2016/12/17

ここに描かれているのは、おそらく滑稽な喜劇なのだろうと思う。 登場人物たちはだいたいみな知的だし、理想を持っており、さらに日々の生活もきちんとしている。しかしそれでもなお、どうしてか、地に足がついていないのである。彼らはみな自分の頭でものを考えているにも関わらず、右往左往し、感情...

ここに描かれているのは、おそらく滑稽な喜劇なのだろうと思う。 登場人物たちはだいたいみな知的だし、理想を持っており、さらに日々の生活もきちんとしている。しかしそれでもなお、どうしてか、地に足がついていないのである。彼らはみな自分の頭でものを考えているにも関わらず、右往左往し、感情的になり、他人とすれ違う。ただ一人、本当に現実を見ているように描かれているのは主人公のマーガレットのみである。面白いのはそのマーガレットこそ、どうしようもなく他者の運命に飲み込まれ、やはり思うようにいかないところだ。 ただひとつだけ、しっかりと地に根を下ろし、何物にも飲み込まれないものがある。それが「ハワーズ・エンド」である。この家が持つある種の引力が、まるで見えない緩やかな軌道を描いているかのように、めぐりめぐってマーガレットを導くのだ。 私はこれまで、自分は芸術の話をしようとすると金の話になってしまうのは嫌いじゃない、と思っていたのだが、この本を読んでいて「そういうのはフィクションの中だけにしておくれ」とも思ったので、やっぱり嫌いなのかもしれない。自分は金の話ができると思っていたけれど、やっぱりできないのかもしれない。 そういう人間にとっては、本書は読んでいて楽しいだろう。しかしそんな私でさえも、この本を読んでいて「なんとお節介なのだ」と感じた。 それは、見ればすぐわかることをわざわざ言うようなお節介さである。つまりは、それ自体が皮肉なのだ。ご飯が食べられないと飢えて死んでしまうということを、人に向かって指摘すること事態が滑稽なのである。なぜならそれは誰にも自明だから。そこをあくまで真面目にやる「お上品さ」に耐えられないという人もいるだろう。 それでも自分は何かを知っている、という思いが溢れて暴走してしまうヘレンのくだりが、私はとても興味深かった。彼女の素直すぎる性格よりも、彼女が固執しているものに私は共感した。彼女の冒頭の手紙の中には、確かに「どこにもないけれど私たちが知っている」ハワーズ・エンドが書かれている。 「だから、この家はそうなんだってかまわない式の所ではなくて、眼をつぶると、やはりわたしたちが考えていた、長い廊下のホテルにいるような気がする。でも、眼を開けるとそうではなくて、それには野薔薇が綺麗すぎる。」

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2016/03/28

価値観というのは、時代とともに変わるものなのだろうか。多くの人は肯定するだろうと思う。僕だってそう思っていたし、そんなこと常識過ぎて、疑ってみたこともなかったからだ。けれど、本書を読んで、この100年の間に人間の価値観はどれだけ変わったのだろうと疑問を持った。 本書が執筆された1...

価値観というのは、時代とともに変わるものなのだろうか。多くの人は肯定するだろうと思う。僕だってそう思っていたし、そんなこと常識過ぎて、疑ってみたこともなかったからだ。けれど、本書を読んで、この100年の間に人間の価値観はどれだけ変わったのだろうと疑問を持った。 本書が執筆された100年あまり前の英国と今の日本とでは、あまりに考え方が違うようにも思える。だが、本質的にはどうなのだろうか、と考えざるを得ない。今でこそ息子が大学でLGBTの問題を講義で習ったりしているが、本書でもすでに性的マイノリティの問題を匂わせるような議論も提示されている。本書に登場する「教養が低い」とされる男の言葉など、つい最近の日本の政治家の下卑た発言と驚くほど似ている。 云えることは、どんな時代でも、価値観の違いを乗り越えて理解し合うことは本当に難しい、ということではないだろうか。

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2013/01/21

読みはじめました。舞台は英国、あれ?はずかしながら、著者をフォークナーと勘違いしていました。こういうのも文学全集の楽しみですね。 2013-1-21

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2012/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 ハワーズ・エンドと呼ばれる屋敷をめぐって、主人公姉妹と屋敷の持ち主一族との交流を描いた物語。混ざり合わないものが混ざり合おうとしても最終的には混ざり合わないということか。人は人と交流するときは生身のままぶつかっていってもうまくは行かない。そこには血であれ、趣味であれ、身分であれ、運命、経験であれ公約数あるいは公倍数になりうる媒介物を必要とする。さらにその媒介物が脆いときは人はその終わりをまって、関係も終わるのである。

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2010/12/13

現代の日本人にはピンと来ないかもしれませんが出自や文化の違いが恋愛や結婚の障害になることがありました。 この物語の登場人物たちも色々な問題に出会い苦悩します。 そこにはいつの時代にも当てはまる人間の本質が見えてきます。 愛と寛容をめぐる不朽の名作です。 ちなみに訳は吉...

現代の日本人にはピンと来ないかもしれませんが出自や文化の違いが恋愛や結婚の障害になることがありました。 この物語の登場人物たちも色々な問題に出会い苦悩します。 そこにはいつの時代にも当てはまる人間の本質が見えてきます。 愛と寛容をめぐる不朽の名作です。 ちなみに訳は吉田健一氏(麻生太郎議員の伯父)ですが最初その訳文には戸惑います。 何回か読み返さないと理解できない箇所もありました。 しかし中盤以降慣れてくると、とても心地よく感じてきます。

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2010/08/03

[ 内容 ] 人と人は真に理解しあうことができるのか。 思慮深く理知的な姉マーガレットと、若くて美しく情熱的な妹ヘレン。 ドイツ系の進歩的な知識人家庭で育った二人は、ある時まったく価値観の異なる保守的なブルジョワ一家と出会う。 ふかい緑に囲まれた、この一家の邸ハワーズ・エンドをめ...

[ 内容 ] 人と人は真に理解しあうことができるのか。 思慮深く理知的な姉マーガレットと、若くて美しく情熱的な妹ヘレン。 ドイツ系の進歩的な知識人家庭で育った二人は、ある時まったく価値観の異なる保守的なブルジョワ一家と出会う。 ふかい緑に囲まれた、この一家の邸ハワーズ・エンドをめぐって、やがて二つの家族は意外な形で交流を深めていく―文学や芸術に重きを置き、人生の意味を探し求める姉妹は、イギリス社会のさまざまな階層の人間に触れながら、それぞれの運命をたどっていくこととなる。 人と人とが結びつき、お互いに理解しあうことはいかにして可能になるのか。 愛と寛容をめぐる不朽の名作を、吉田健一の香気ある翻訳でおくる。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/10/04

はじめは、登場人物たちの議論がだらだらとしていて退屈していたら、途中で一気に状況が動いて、最後はみんなあるべきところに収まった!すっきり。

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