黒死館殺人事件 の商品レビュー
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変格探偵小説の傑作。 愈々、小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』を読み終えた。大学院の卒業論文のために手に取った作品ではあるが、正直に言って、言葉に尽くせないほど面白かった。 私は『ドグラ・マグラ』と『虚無への供物』も所持しているが、これまで読了していたのは『ドグラ・マグラ』のみだった。同じく「三大奇書」と称される作品でありながら、『黒死館殺人事件』は『ドグラ・マグラ』とは趣を異にし、本格探偵小説そのものを戯画化・パロディ化した作品であるという印象を受けた。 探偵・法水麟太郎の超人的な推理力と、過剰ともいえる衒学的知識の応酬は圧巻である。しかしその一方で、論理はあまりに錯綜し、ついには「犯人を確実に捕らえる」という本格探偵小説の定型から逸脱していく。この破綻すれすれの構造こそが、小栗虫太郎の魅力であり、長所なのではないかと思う。 本来、本格探偵小説において名探偵は謎を解き、犯人を指摘する存在である。だが本作の面白さは、あり得ない犯罪構造、理解の及ばぬほど錯綜した推理、そして極度に難解な漢字表現にある。その読書体験そのものが、ある種の知的迷宮なのだ。 先ほど「卒業論文のために読んだ」と書いたが、実は現在、本作の英訳を準備している。ところがこの小説には、日本的とも欧米的とも言い切れない独特の雰囲気がある。作中には欧米の学術論文や英語表記が頻出するが、イギリス人である私にとっても、それらが必ずしも明確に理解できるとは限らなかった。むしろ、小栗虫太郎が想像した「欧米」の姿には、どこか人工的で不気味な印象さえ覚えた。 それでも、国文学と探偵小説を愛する者として、この作品を卒業論文のために再読できることを、今から楽しみにしている。
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推理小説としての内容云々の感想は、これを言葉にしても仕方がない、そんな小説と思った。暗号解読(p.417~p.422)は「コジツケにも程がある」と思うし、そもそも探偵がこの事件を解決したとは思えない。法水麟太郎らの行ったことを言語化するなら“殺人事件の顛末を最後まで見届けた”とい...
推理小説としての内容云々の感想は、これを言葉にしても仕方がない、そんな小説と思った。暗号解読(p.417~p.422)は「コジツケにも程がある」と思うし、そもそも探偵がこの事件を解決したとは思えない。法水麟太郎らの行ったことを言語化するなら“殺人事件の顛末を最後まで見届けた”というのが適当と思う。これは推理小説ではなく、推理小説のパロディ/パスティーシュといったもの、というふうに考え直すと、先の暗号解読や、熊城による“大階段の裏”の壁面破壊(p.350)――本当に彼は捜査局長なのか?――という行動も受容できるというもの。 この小説の映像化なんて話はついぞ聞かないが、この小説から怒涛の衒学趣味を削り落としたら、すでに探偵モノのコメディ脚本が出来上がっている状態なのかも、と想像する(ただし、ワトスン役の支倉検事がツッコミ下手なので、そこは演出の工夫が必要か)。
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教養文庫版で何回か読んだけどあまり理解できずに今回は河出文庫版で挑戦(笑)やはり最初の殺人事件の後から法水の話が・・・。しかしそこを何とかクリアするとあとは引き込まれていくような物語(笑)きっとまだ完全には理解しきれていないんでしょうが引き込まれていくすごい小説なんですね(笑)
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何度も中断して1週間かかった… 奇書って単語を何に指して使うかって思うんだけど 正直、話の中身自体は別に普通なんだよね 書き方が自由奔放なだけで 小説としては面白いけど読み物としてはどうなんでしょう うほーおっもしれえって方いるんですかねこれ つまらなくはなかったですが僕はただ疲...
何度も中断して1週間かかった… 奇書って単語を何に指して使うかって思うんだけど 正直、話の中身自体は別に普通なんだよね 書き方が自由奔放なだけで 小説としては面白いけど読み物としてはどうなんでしょう うほーおっもしれえって方いるんですかねこれ つまらなくはなかったですが僕はただ疲れましたね 実験でもなさそうだからたちが悪い本、て印象
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20241118読了 表現が独特で読み難い印象を受けました。 作品に漂う魔術的な雰囲気は、自分好みでした。
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再読。 探偵が自身の知識を披露するために推理とは関係の無い話をべらべらしゃべり続け、ワトソン役の検事にしろ、容疑者たちにしろ、みんなそれに合わせて会話を続けていくため惑わされる。この会話どこに繋がるの?どんな意味があるの?と考えれば考えるほど迷子になる。 しかも法水くん割と推理間...
再読。 探偵が自身の知識を披露するために推理とは関係の無い話をべらべらしゃべり続け、ワトソン役の検事にしろ、容疑者たちにしろ、みんなそれに合わせて会話を続けていくため惑わされる。この会話どこに繋がるの?どんな意味があるの?と考えれば考えるほど迷子になる。 しかも法水くん割と推理間違うし。ペダントリーは勿論のことだけど、そういった話の筋の部分でも幻惑させられ、もうなにがなにやら。 悪魔学や紋章学など様々ないかつい知識の濁流を浴びることで、まるで自分自身が呪文をかけられているような気分になりました。つまりこれは魔道書ですね。読んだ人が惑う書物。なんか駄洒落みたいになっちゃいましたが、そういうすごい本なんです。
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ミステリー界の日本三大奇書のひとつと言われる。漢字が難しくて読めない、言葉が難しくてわからない、文章が難しくて理解出来ない。 それでも、何とか読み終えたい。 苦闘中!
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ミステリ界の三大奇書のうち、この本だけ読んでいないなと思い立って読み始めた。最初から探偵が登場するし、推理小説の形をとっているが、ずっと煙にまかれている気分。魔術や神話、天文学など広範囲な知識が披露されるのだが、それで謎が解けるかというと、私の理解力を超えている。さらに、登場人物...
ミステリ界の三大奇書のうち、この本だけ読んでいないなと思い立って読み始めた。最初から探偵が登場するし、推理小説の形をとっているが、ずっと煙にまかれている気分。魔術や神話、天文学など広範囲な知識が披露されるのだが、それで謎が解けるかというと、私の理解力を超えている。さらに、登場人物がシェークスピアやゲーテを熟知していて、詩句を言うと続きが返ってくる。昔の人って博学だったのか、それとも小説の中だけのことなのか。仮名遣いこそ新しくなっているが、漢字や外来語の表記は古いものなので読みにくい。このままでもそれなりに面白いけれど、たぶん、ちゃんと読み込んだらもっと面白く感じるだろうとは思う。とはいえ今更「ファウスト」を読むのは大変。(若い頃に挑戦して挫折した記憶あり。)
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読み終わった、にしましたが正しくは読むのを断念した、の間違いです。この話がつまらないとかそういうことではなく鈴木虫太郎先生の描く世界に私がついていけなかった、ただその一点につきます。ネットであらすじやネタバレを読んでもよくわからないな…?となる稀有な作品です。
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三大奇書の1冊、まずは読み切った自分を褒めたい。ストーリーは不穏な空気漂う館ミステリー。そこだけなら、ただの平凡な小説で終わっていただろうが、やはり、奇書と呼ばれる所以あり。 宗教、魔術、残虐な事件、神話など、ありとあらゆる情報が出てくるため、何を読まされているのかわからなくな...
三大奇書の1冊、まずは読み切った自分を褒めたい。ストーリーは不穏な空気漂う館ミステリー。そこだけなら、ただの平凡な小説で終わっていただろうが、やはり、奇書と呼ばれる所以あり。 宗教、魔術、残虐な事件、神話など、ありとあらゆる情報が出てくるため、何を読まされているのかわからなくなった。宇宙のような本と、言ったらいいのか、ここまで読みづらい本はドグラマグラ以来か。そちらの本は2/3で挫折したけど、、、 正直、自分如きにこの本をどうこう言うことはできない。何がどうなったのか、今でもよくわからないが、ただ不思議な魅力はある。読みづらいのに読みたい。これもこの本の魔力なのか。
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