聖域 の商品レビュー
図書館の書架にて手に取ってみた。この方初読み。文章も読みやすくて、情景描写もすんなり入ってきてすごく読みやすかった。ちょっと山に登りたくなってきた。
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山岳ミステリーシリーズ。山の魅力や自然の脅威を感じながら謎解きを楽しむことができた。登場人物も魅力的。一気に読める一冊。
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※このレビューにはネタバレを含みます
大倉 崇裕 『聖域』 (2008年4月・東京創元社) 「安西が落ちた」 好敵手であり親友でもあった男の滑落の報せに、草庭は動揺する。認めたくない事実を受け入れようとした瞬間、草庭の頭に浮かんだひとつの疑問――安西はなぜ滑落したのか? 彼の登攀技術は完璧だった。山に登る上で必要な資質を、すべて具えた男だった。 その安西が、なぜ?三年前のある事故以来、山に背を向けてきた草庭は、安西の死の謎を解き明かすために再び山と向き合うことを決意する。 (単行本帯より) そこに山があるからさ、とはよく言ったもので、古来より山は人を惹きつける。 かくいう私も、自分で登りたいとは決して思わないが、山岳モノの作品には非常に弱い。 まず思いつくのは、ボブ・ラングレー『北壁の死闘』。圧倒的に面白い一冊。 これなくして山岳小説を語るなかれ、と個人的には思っているのだがどうだろうか。 井上靖『氷壁』と新田次郎『孤高の人』が日本の山岳小説の双璧か。 さらには、夢枕獏『神々の山嶺』、谷甲州『遥かなり神々の座』、真保裕一『ホワイトアウト』に横山秀夫『クライマーズ・ハイ』と、挙げだしたらキリがない。 最近ヤングジャンプで漫画『孤高の人』(画:坂本真一、原案:新田次郎)の連載が開始された。 内容は新田次郎も作品とは全く違うのだが、この作品もなかなかどうして良作である。 山岳漫画となれば、絶対に外せないのが、石塚真一『岳』である。 ここ2~3年で読んだ漫画の中でベストと言っても良い作品。 何度も記事を書こうと思ったが、そのテーマの重さ・大きさゆえに挫折を繰り返している作品でもある。 小説、漫画ときたら映画は?となるのだろうが、あいにく山を描いた良い映画に出会ったことがない。 私は高所恐怖症なので、リアルに映像化されると面白さより怖さが勝ってしまうのが原因の一つなのかも知れない。『クリフハンガー』なぞ、今の大画面テレビで見たら卒倒間違いなしであろう。 前置きはこのくらいにして、そんな私が久々にグッと胸を掴まれたのがこの『聖域』である。 失礼を承知で言うなら、大倉さんのいったいどこにこんな引き出しがあったのか、と疑うくらいにガラリと作風を変えてきた。 大学時代、山岳部でのある一件以来山から遠ざかっていた主人公・草庭は、親友安西の滑落の報を聞き疑念を抱く。本当に事故死だったのか?と。 自殺、殺人、事故と様々な憶測が出てくるが、草庭は一人山へ向かう。 この物語を読んで何よりも胸を打たれるのは、主人公・草庭の周りの人間像である。 仕事よりも山を選ぶ草庭の生き方に共感できない者も当然いるのだが、彼らの草庭を見る視線の中にはそんな草庭への羨望がある。 草庭を疎んじ反発する者が、最後に草庭に向ける温かな眼差しにただただ涙、であった。 ミステリとしての衝撃度はまずまずながら、完成度は高く、ここも評価したい。 近藤史恵『サクリファイス』のように、特異な世界を描きながらその中にミステリ要素を盛り込む、というのが好きな方にはオススメである。もちろん、山好きならば何をおいても読め、である。 90点(100点満点)。
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山岳+ミステリ小説。好きなジャンルが組み合わさるとよりおもしろさが増す! ー安西おまえはなぜ死んだ? マッキンリーを極めたほどの男が、なぜ難易度の低い塩尻岳で滑落したのか。事故か、自殺か、それとも―3年前のある事故以来、山に背を向けて生きていた草庭は、好敵手であり親友だった安西の...
山岳+ミステリ小説。好きなジャンルが組み合わさるとよりおもしろさが増す! ー安西おまえはなぜ死んだ? マッキンリーを極めたほどの男が、なぜ難易度の低い塩尻岳で滑落したのか。事故か、自殺か、それとも―3年前のある事故以来、山に背を向けて生きていた草庭は、好敵手であり親友だった安西の死の謎を解き明かすため、再び山と向き合うことを決意する。すべてが山へと繋がる、悲劇の鎖を断ち切るために。― まさかの犯人だった・・・けどちょい反則気味な感も否めない。」
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山岳ミステリは初めて読んだ。大倉さんの引きだしの幅にびっくり。と思っていたら、ご自身、山男だったんですね。納得。
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作者の山への思いが伝わってくる作品。ただミステリーとしては今一つ盛り上がりに欠けた感じがした。一流の腕を持つ山岳部の仲間達が次々と同じ山で命を落とした。単なる偶然とは思えない状況。自殺なのか、それとも裏に暗躍する人物がいたのか。さる大家の作品を思い出させる設定だったが、もう一捻り...
作者の山への思いが伝わってくる作品。ただミステリーとしては今一つ盛り上がりに欠けた感じがした。一流の腕を持つ山岳部の仲間達が次々と同じ山で命を落とした。単なる偶然とは思えない状況。自殺なのか、それとも裏に暗躍する人物がいたのか。さる大家の作品を思い出させる設定だったが、もう一捻り欲しかった。どんでん返しはあったが、唐突な感じがする。
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山に本格的に登ったことはないのですが、山岳小説は好きで読んでしまいます。 山の描写は魅力的で、山の魅力、怖さなどが伝わってくる気がしました ただ、結論に至る過程や考察が想像や思い込みから繋がってくる事が多く(まあ、事件の舞台が山上なので致し方ないのかも知れませんが…)、その辺が私...
山に本格的に登ったことはないのですが、山岳小説は好きで読んでしまいます。 山の描写は魅力的で、山の魅力、怖さなどが伝わってくる気がしました ただ、結論に至る過程や考察が想像や思い込みから繋がってくる事が多く(まあ、事件の舞台が山上なので致し方ないのかも知れませんが…)、その辺が私にはちょっと物足りなく感じましたが、結論も意外でしたし、全般的には面白く感じました。 筆者の別の山岳小説も発見済みなので、また読んでみようかと思います。
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登場人物のほとんどが登山家という、山岳ミステリー小説。 単行本で出た時の評判が良かったので、文庫化にあわせて今回読んでみたが、ミステリーとしては予想通りの「真犯人」で意外性に欠けるし、山岳小説としても、山の魅力があまり伝わってこず、やや消化不良。 もう少しどちらかに徹していた方が...
登場人物のほとんどが登山家という、山岳ミステリー小説。 単行本で出た時の評判が良かったので、文庫化にあわせて今回読んでみたが、ミステリーとしては予想通りの「真犯人」で意外性に欠けるし、山岳小説としても、山の魅力があまり伝わってこず、やや消化不良。 もう少しどちらかに徹していた方が、良かったのでは...
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山岳ミステリーです。面白かったですよ。山岳小説といえば、ずいぶん昔に読んだ夢枕獏氏の「神々の山嶺」はむちゃくちゃインパクトの強い作品だったなあ。大倉崇裕氏はもう一冊「生還 山岳捜査官・釜谷亮二」を読もうと思ってます。
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三年前のある事故以来、山に背を向けて生きてきた草庭正義。 しかしある日、親友であり好敵手であった安西浩樹が塩尻岳で滑落死する。 マッキンリーを極めたほどの安西が? このことに不審を抱き、草庭は再び山と向き合うことを決意する。 そこには予想もしない真実があった。 大倉さんの山岳小...
三年前のある事故以来、山に背を向けて生きてきた草庭正義。 しかしある日、親友であり好敵手であった安西浩樹が塩尻岳で滑落死する。 マッキンリーを極めたほどの安西が? このことに不審を抱き、草庭は再び山と向き合うことを決意する。 そこには予想もしない真実があった。 大倉さんの山岳小説。私にとっては『白虹』に続き2作目です。 全く知識がないので、専門用語がさっぱりわかりませんでしたが、面白く読みました。 熱いなぁ、山男。 ミステリ的には古典的な仕掛けでしたが、全く予想外でした。 ただなんとなく消化不良・・・。 彼の作中での言動、とくにあの3人の会話がありながら、彼がこういう行動をしてしまったというのがイマイチ納得できず。 そして結局は証拠がないってのも。 ん~、微妙・・・。 タイトルの『聖域』はいいですね。 エピローグもよくて、物語的には山の門外漢も楽しめました。
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