樹の声 海の声 4 第二部 下 の商品レビュー
川路との離婚問題に決着のつかないまま、彼とヨーロッパ旅行に出かけることになった咲耶は、インドで大臣を務めるマスードから熱烈な愛の告白を受けます。 その後、マルセイユに到達し、フランス、イタリア、イギリスなどをめぐった彼女は、ヨーロッパの精神にじっさいに触れることになり、日本にい...
川路との離婚問題に決着のつかないまま、彼とヨーロッパ旅行に出かけることになった咲耶は、インドで大臣を務めるマスードから熱烈な愛の告白を受けます。 その後、マルセイユに到達し、フランス、イタリア、イギリスなどをめぐった彼女は、ヨーロッパの精神にじっさいに触れることになり、日本にいたときから激しく求めてきた自由を生きている人びとに強い感銘を受けます。一方で、川路に対する思いは、一時のような動揺をもたらすものではなく醒めたものとなり、彼という人間を理解しながらも、けっきょくはともに添い遂げることのできないひとだという確信をいだきます。 帰途、マスードの慫慂を受けてインドに立ち寄った二人は、そこでヨーロッパが理解することのできなかった、まったく異なる人びとの暮らしを目にします。ここでも咲耶は、川路と意見のちがいを生みながらも、世界についての経験を深めていきます。 自由にあこがれていた近代の日本人女性が、海外での経験を通じて見聞を広げていく様子がえがかれています。
Posted by
- 1