教科書に載った小説 の商品レビュー
中高生向けの教科書に載っている小説、その他を佐藤雅彦氏が厳選して集まとめた本。 殆どは短編ですべて載せてあるけれど、長い話は教科書なので一部抜粋という形。 昔は、教科書に載っている本なんて、何の興味もなかったけれど、最近、子どもの教科書を読んで、面白そうなものは、自分でも探し...
中高生向けの教科書に載っている小説、その他を佐藤雅彦氏が厳選して集まとめた本。 殆どは短編ですべて載せてあるけれど、長い話は教科書なので一部抜粋という形。 昔は、教科書に載っている本なんて、何の興味もなかったけれど、最近、子どもの教科書を読んで、面白そうなものは、自分でも探して読んだりしていました。 昔は国語が大の苦手だったので苦痛だったけれど、授業を離れて読んでみると、教科書って意外と面白い話が沢山あるんだな、と。 今回は、この小説集を読んでみて、教科書に載るというくらいだから、これが掲載されている教科書を使っている学校では、当然、授業で読み深めたり、テストなどで何らかの問題が作られたりしたわけで、どんなところがどんな風に出題問題として出されたのかな、と想像しながら読みました。あとがきに書かれている佐藤氏の楽しみ方とはちょっと違う方向性ではあったけれど、楽しめました。 名作12編、とありますが、この中で読んだことがあったものは、たった一つ。リヒターの『ベンチ』(『あの頃はフリードリヒがいた』より抜粋された話)のみでした。(確かに、この話は名作でとても面白かったです) 著名な作家が目白押しですが、そのほとんどは、名前はもちろん知ってはいるけれど、自分から手に取って読んだことはない方々だったので、普段読まない話を読む機会を得ることが出来ました。 私のお気に入りは、『出口入口』、『絵本』、『少年の夏』、そしてもちろん『ベンチ』でした。 とんかつ・・・・・・・三浦哲郎 出口入り口・・・・・・永井龍男 絵本・・・・・・・・・松下竜一 ある夜・・・・・・・・広津和郎 少年の夏・・・・・・・吉村 昭 形・・・・・・・・・・菊池 寛 良識派・・・・・・・・安部公房 父の列車・・・・・・・吉村 康 竹生島の老僧、水連のこと・・・古今著聞集 蝿・・・・・・・・・・横光利一 ベンチ・・・・・・・・リヒター 雛・・・・・・・・・・芥川龍之介
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普段読まないような作品が読める。 三浦哲郎「とんかつ」、吉村昭「少年の夏」、吉村康「父の列車」、横光利一「蝿」、リヒター「ベンチ」が良い。 古文(「竹生島の老僧、水練のこと」)も久々に読んだ。
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あとがきにも書いてあったけど、誰かが人が育つ過程で通過させたかった本。 よくよく考えてみると、書いた本人でも無いのに、実に興味深い。 どれも自分の教科書には載っていなかったが、教科書に載ってそう感は、とても味わえる。 少年の夏が一番好きかな。
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タイトル通りのアンソロジー。国語の教科書の充実っぷりに今頃になって気付く。 ただ永井龍男の「出口入口」は二度読んでも難しい…。要再読。
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電子書籍が増えていくなかで、手にしたときの重量感や手触りをはじめ、字体、行間隔、余白バランス、紙の色合いなど、読む媒体として長い歴史を経てきた紙の本について、読んでいて疲れず読者の目に優しい、本の本来的な姿が徹底して求められた結果、「読む」という行為が大好きな人の心をくすぐるよう...
電子書籍が増えていくなかで、手にしたときの重量感や手触りをはじめ、字体、行間隔、余白バランス、紙の色合いなど、読む媒体として長い歴史を経てきた紙の本について、読んでいて疲れず読者の目に優しい、本の本来的な姿が徹底して求められた結果、「読む」という行為が大好きな人の心をくすぐるような、究極の造本となって表れているように思えました。 手に取った瞬間、そして読み終えた瞬間、心が暖かくなるとともに、編者の佐藤雅彦さん、装丁の貝塚智子さんをはじめ、この本づくりに携わった人のこだわりと英知と、小品だけど良質な小説作品へのリスペクトが伝わってきました。 実は私(昭和41年生まれ)も、国語の教科書に載っていた小説で大好きだったものはあるのですが、残念ながら、表題を忘れたり、一部記憶が薄れたりして、今改めて読みたいと思っていても、検索する糸口すらわからない作品もあります。 私が印象に残っている作品のうちの1つは歴史物で、2人の能面師の物語です。 時の権力者が2人に当代唯一の能面師はどちらかを競わせようと、面づくりを命じます。 2人とも悩みますが、1人は自分のことを心配してくれる老母の表情を見て優美の表情とはこれだと気づき、それを面に刻み、微笑みの面を完成させます。 もう1人の能面師は、その能面師が面を完成させたとの噂を聞き、完成した微笑みの面を借りて来て見たところ、あまりの完成度の高さに「到底勝てない」とおののき、悪魔の囁きにより鑿(のみ)で面を打ち割ろうとします。 しかしその表情を自分の子どもに偶然見られてしまい、「鬼だ、怖い」と叫ばれてしまいます。 自分の愚かさに気付いたもう1人の能面師は思いなおし、自分自身の嫉妬や醜い心をそのまま原木に打ちつけるようにして、怒りの面を完成させます。 時の権力者は2つの面を見比べ、甲乙つけがたく、そして2人を競わせ1人を選ぼうとしたのは無意味だったと気付き、2人とも当代の名人として後世に語り継がれるだろうと改めて思った、という話です。 もう1つ印象的だったのは、これは今でも有名ですが「最後の授業」です。 この本の収録作品「ベンチ」と同様、翻訳作品です。 戦争でプロイセン(ドイツ)領となったフランス・アルザス地方にある学校の仏語教師がこれからはフランス語を教えることが禁止されるという状況で、授業の最後にフランス語で黒板いっぱいにフランス、アルザスと書くことが精一杯だったけれど、子どもたちには先生の想いが伝わった…という話。 あー、こうやって書いていると、次から次へと頭に思い浮かんでくる。 佐藤さん、教科書に載っていたけど現在手にするのが難しい優れた小説はまだまだいっぱいあるはずだから、1作だけと言わず、ぜひ次作、次々作も手にしたいです。無理なお願いでしょうか? (2013/8/17)
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どれも教科書で読んだ覚えはないけど、国語の教科書は楽しかったな。自分じゃ全然見つけられない人も知れて。これの安部公房はおもしろかった。
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名前も聞いたことのない作家の非常に地味な小説が何故か頭にこびりついて離れない そんな不思議な小説が国語の教科書にはたくさんありました
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なぜ今になって買ったのだろう?~三浦哲郎「とんかつ」(H18高)永井龍男「出口入口」(H7高)松下竜一「絵本」(H4中)広津和郎「ある夜」(H5高)吉村昭「少年の夏」(H11高)菊池寛「形」(H17中)安部公房「良識派」(H18高)吉村康「父の列車」(H8中)古今著聞集「竹間島の...
なぜ今になって買ったのだろう?~三浦哲郎「とんかつ」(H18高)永井龍男「出口入口」(H7高)松下竜一「絵本」(H4中)広津和郎「ある夜」(H5高)吉村昭「少年の夏」(H11高)菊池寛「形」(H17中)安部公房「良識派」(H18高)吉村康「父の列車」(H8中)古今著聞集「竹間島の老僧,水練のこと」(H5高)横光利一「蠅」(S61中)リヒター・上田真而子「ベンチ」(S61中)芥川龍之介「雛」(S47高)~伊豆の田舎で小学校教師をしていた父の本棚から出して貪り読んだ少年の記憶
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幼い頃からの本好きで、 これまでたくさんの本を読んできたが、 この本の読後、ふと、 (大人になるにつれて・・・読み方がいやらしくなってきたかなぁ) なんて気がしてしまった。 評価の高い本、 長い時をずっと読み継がれてきた本、 著名な作家が書いた本、 なぞは、(面白くないはず...
幼い頃からの本好きで、 これまでたくさんの本を読んできたが、 この本の読後、ふと、 (大人になるにつれて・・・読み方がいやらしくなってきたかなぁ) なんて気がしてしまった。 評価の高い本、 長い時をずっと読み継がれてきた本、 著名な作家が書いた本、 なぞは、(面白くないはずがない)と、 頭から決めてかかり、 自分のなかに静かに沸き起こる (これ、難しくない? 読むの、つらいんじゃない?) なんて声に蓋をし、 全く気付かぬフリなんかして。 佐藤雅彦氏監修のもとに集められた 『教科書に載った小説』 は、短編ではあるが、 どの物語も、どの小説も、読んでる時間がとにかく楽しかった。 あとがきにあった 「難しくてわからないものや、つまらないものはどんどん飛ばし、 面白い読み物だけを貪る様に読んだ。」 という、 佐藤氏が幼い頃経験した高揚感を きっと、誰もが同じ様に体感できるはず…と、思う。
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教科書はお行儀良くて、つまらないと思っていた。試験や課題から自由になった今、かつて誰かが大人になりつつある私たちに読んで欲しかった小説を今更ながらに楽しむ。
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