終わりの街の終わり の商品レビュー
ネビュラ最終候補短編の長編化作品 生者の世界、死者が集う世界、そして無の世界が存在する。生者世界はウィルスで壊滅し、死者世界はそれにつられて縮小していく。 生者世界を描くのは南極に取り残された科学者ローラ。死者世界は彼女の知り合いが語り部。ともに崩壊していく様子がある意味...
ネビュラ最終候補短編の長編化作品 生者の世界、死者が集う世界、そして無の世界が存在する。生者世界はウィルスで壊滅し、死者世界はそれにつられて縮小していく。 生者世界を描くのは南極に取り残された科学者ローラ。死者世界は彼女の知り合いが語り部。ともに崩壊していく様子がある意味美しく描かれる。その意味では宗教的でファンタジーな香りが残る。 そもそもヒューゴとネビュラは私はあまりあわないから、本作も震える感動はなかったんだけど、短編の方を読たかったな。少しばかり長いぞ、これ。
Posted by
「終わりの街の終わり」(ケヴィン・ブロックマイヤー : 金子ゆき子 訳)を読んだ。昨年読んだ「第7階層からの眺め」が良かったのでもう一冊読んでみた。 完膚なきまでに見事に意表をつかれたよ。(っていい方変か⁈) とにかくユニークでパワフルな才能の出現に歓喜している私である。
Posted by
#世界の終りとハートビート・ワンダーランド。〈まばたき〉と呼ばれるウイルスによって滅亡した世界。たまたま南極にいて難を逃れたコカ・コーラ社の社員・ローラは、救援を待ちながら、彼女の人生に関わった様々な人を思い出す──。 #「自分のことを憶えてくれている人が地上にいる間だけ」滞在...
#世界の終りとハートビート・ワンダーランド。〈まばたき〉と呼ばれるウイルスによって滅亡した世界。たまたま南極にいて難を逃れたコカ・コーラ社の社員・ローラは、救援を待ちながら、彼女の人生に関わった様々な人を思い出す──。 #「自分のことを憶えてくれている人が地上にいる間だけ」滞在できるという、死者の街の設定がとってもナイーヴ。死者たちは死者たちで作中、またそれぞれに思い出を語るので、「死者たちが記憶している死者'が集まる死者の街'」が、エンディング後もまだあるんじゃないかと思ったり。その死者の街'の下にまた死者の街''があって──ウエディングケーキのように、あるいはシャンパンタワーのように、無限の階層構造を持つ死者たちの世界。 #あと、その中の誰かが人生のどこかで神様に出会っていれば、神様もこの街のどっかにいるのかなー、とか思ったり(実は盲目の男を途中までそう思っていた)。以下、自分用ブックマーク。P130「お仕事はなに? これがお仕事なの?」「ありがとうって言うのよ、サラ」「ありがとう、風船マン」、P199「赤上げて青下げて」、P262「ペンギンたちがずっと待ち望んでいた究極の卵」。 (2009/06/23)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ブッククラブ課題で読んだ本。う~ん。。。微妙。。 死んだ後の人々は、その人を覚えてる人がいる限り、ある街で行き続けられる。しかし、その終わりの街が今、終わろうとしている。 謎のウィルスによって、人類は滅亡危機に陥っていた。 ただ一人残された、ローラ。南極で必死に生と向き合い、賢明に生きようとする。しかし、無線からは生存者ゼロの告知。無線を発してる人もその場で消えた。。。。 つまり、本に書かれてる、終わりの街に住む人々は、ローラの知っている人だけという事なんだな。そして、人々はそれに気づく。気づいていろんな行動を取る。なるほど。ローラが生きるか死ぬかの境目で必死に今まで出会った人を思い出そうとするところは、最初意味が分からなかった。そうすることで増えていく人口に結びつかず。 最後、ローラがどうなったかとか、人々がどうなったとかはあいまい。 う~ん。。。恐ろしくファンタジーなのか?全く面白くなかったとは言わないけど、もう少し落ちとか、山場とかほしかったかなぁ。。
Posted by
生者の記憶によって繋ぎとめられた終わりの街。 そこでも人は普通に暮らし、食べて、寝て、新聞を読む。 地下鉄だって利用する。 きっとコカコーラとペプシの関係だって何も変わらない。 やがて人間の世界は終わり、終わりの街も終末を迎える。 それでも地球は回り続ける。 静かな物語。
Posted by
生きている人間の記憶の中にある限り、滞在することの出来る死者の街から突然、多くの人々が消え始めた。現実世界では南極大陸にただ一人ローラという女性が残されている。 死者の世界と現実世界を交互に描くことによって、だんだんこの世界に何が起こっているのか?が分かってくる。 まるで、世...
生きている人間の記憶の中にある限り、滞在することの出来る死者の街から突然、多くの人々が消え始めた。現実世界では南極大陸にただ一人ローラという女性が残されている。 死者の世界と現実世界を交互に描くことによって、だんだんこの世界に何が起こっているのか?が分かってくる。 まるで、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドのような構成にワクワクしました。 これは死者の街と現実世界の「終わり」を描いた物語。 読後、なぜかとてもさびしい気持ちになりましたが、同時に人の記憶というものに少し温かみを感じました。
Posted by
翻訳本というものはとにかく、なにがなんでも、どうあがいても、 『英語圏の人とはものの考え方や捕らえ方の道筋が違うんだろうなー』と思ってしまう。思わずにはいられない。 感想でもなんでもないな、これは。
Posted by
謎のウィルス過により終わりを迎えた人類 世界はもぬけの殻…とり残されたただ独りを除いては… 自分はひとりではない…一人ぼっちだという確信がもてない… 氷点下70度にも及ぶ厳凍の南極大陸で、 身も心もボロボロになりながらもただ独り生きることをやめないローラ。 自分を憶えてくれて...
謎のウィルス過により終わりを迎えた人類 世界はもぬけの殻…とり残されたただ独りを除いては… 自分はひとりではない…一人ぼっちだという確信がもてない… 氷点下70度にも及ぶ厳凍の南極大陸で、 身も心もボロボロになりながらもただ独り生きることをやめないローラ。 自分を憶えてくれている人間が生きているかぎり、 そこに留まり、平和に暮らすことが出来るという街にたどり着いた男は、 後悔と希望を心に滲ませながら紙に数字を連ねて行く。 自分は生きている間に何人の人間を知っただろうか…? 人がいなくなる…ということの意味。 人がここにいる…ということの意味。 ローラの記憶につなぎ留められた人々の街では、 忽然と消え去りゆくことの意味について 人それぞれの想いが交差する 自分はここにいる…その特異さに突然気付かされる物語です。 街でただ誰かとすれ違うというだけの一瞬にも、 何かしら意味を感じてしまう。 そうか…袖触れ合うも多少の縁…改めてふと考えさせられたりします。 人間の生を絶対的に拒絶する氷と雪とクレバス… ローラが独り踏破しようとする厳凍の南極の描写は容赦がありません。 別の世界でありながら無関係ではない街に憩う人たちの気付きは、 今を生きる現実世界の読み手にも何かしら静かに語りかけてきます。 やすらかで不思議…でもどこか厳粛な一冊です。
Posted by
悲しい話。悲しいけど美しく、ちょっとよく考えると馬鹿馬鹿しくもある。けれど、死生観のひとつの提示ともいえる。世界はつながっているし、人間もつながっている。ただ、ふだんお互いにそのことはよくわかってないけど。
Posted by
二つの世界が交錯しながら、一つの物語を紡いでいくというプロットが好き。生きている者の記憶にとどまっている限り、完全なる死が訪れるわけではない、という死生観が好き。淡々とした日々の描写が好き。次作にも期待。
Posted by
- 1
- 2