愛 改版 の商品レビュー
短編集。 特になにか深く学ぶところがあるようにもない。 けれど、美しい文章に身を委ねて、読み進むと 愛とは、美しい幻というよりは、むしろ こういうさりげない景色に 乾いた姿であったり、時に美しいものではなかったり するものの中で、ふわりと溢れてくるもののような気がする。 人間...
短編集。 特になにか深く学ぶところがあるようにもない。 けれど、美しい文章に身を委ねて、読み進むと 愛とは、美しい幻というよりは、むしろ こういうさりげない景色に 乾いた姿であったり、時に美しいものではなかったり するものの中で、ふわりと溢れてくるもののような気がする。 人間の愛。 三つの短編が、それぞれに違う姿で 見せてくれた。
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3作品からなる短編集。 1. 「結婚記念日」が気に入った。うまく言語化できないが、短編小説ならではの深い味わいがあるように感じた。妻を亡くした男が、生前妻とともに箱根を訪れた時のことを回想する話だが、この入れ子構造が本作品の肝であると思う。男が妻に対して強い愛情を感じた体験として箱根の話が出てくるが、回想の中では妻に対して「切なくいじらしいものを感じ」て妻を抱き締めており、そこに愛情という言葉は現れない。妻亡き後に振り返ってこの感情が愛情であったと思い当たっているところに、この作品の滋味があると思う。
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おーい、僕の好きな友達たちよ、この小説を読んではくれないか。三篇合わせて113ページだから、すぐに読めてしまうよ。 いじらしいというときの気持ちをこの小説から味わったので、それが入った幾つかの文章を載せる。 p12「結婚記念日」 加奈子との五年のこのアパートの生活の中で、少なくともその最後に近い頃の一夜だけは、冷たい加奈子の体を沸ぎり立つような愛情で抱きしめたと思う。何ものにも替えがたいいじらしい生き物を自分の体温で温めてやった、あれが愛情でなくてなんであろうかと思う。 p102「死と恋と彼と」 杉は、急に憑きものが落ちたように素直になっている那美を、少しいじらしく感ずる。生きるがいい。死ななければならぬ理由なんて、この女のどこにもありはしない。
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とても自分の好みな短編集だった。 内容は「愛」に関する趣向の違った3つの短編から構成されている。 「結婚記念日」は宝くじが当たった吝嗇家である夫婦の新婚箱根旅行についての話で、結局は宿泊などにお金を使うことを両方が渋って一日で東京に帰ってきてしまうという面白さやそこに同じ価値観を...
とても自分の好みな短編集だった。 内容は「愛」に関する趣向の違った3つの短編から構成されている。 「結婚記念日」は宝くじが当たった吝嗇家である夫婦の新婚箱根旅行についての話で、結局は宿泊などにお金を使うことを両方が渋って一日で東京に帰ってきてしまうという面白さやそこに同じ価値観をもつパートナーと過ごす良さや憧れを感じた。とても穏やかでほんやかとした気分にさせてくれる短編。 「石庭」は新婚旅行で京都の龍安寺の石庭に訪れる夫婦の話で、夫とこれからを一緒に過ごすことに迷いがあったけれど妥協していた妻がその石庭の冷たく厳しい美しさに触発されて夫の元から逃げていく。そのように人に行動する勇気を与えたり、心の変化を促す芸術の凄みを強く感じた。 「死と恋と波と」はそれぞれで自殺を考えている男と女の愛の話で、お互いに死を求めるほど追い込まれている中で寄り添い生きる希望が芽生えていく過程を表現した短編。 少し昔の作品なので少し身構えて読み始めたのだが、どの短編も心理スリルに焦点を当てているため、文章に軽快さと品の良さを湛えていてとても読みやすかった。他の作品にも触れてみたいと思う。
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「結婚記念日」、「石庭」、「死と恋と波と」の三編。 「結婚記念日」が一番気に入った。この作中の吝嗇の妻とは気質が合うかもしれない。
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石庭の、新妻に逃げられるところが爽快だ。竜安寺に行きたくなる。 最後の女の決意の込められた手紙は、短いのに気持ちいい程の強い意志を感じる。こんな手紙書けたら格好いい。
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短編集、「死と恋と波と」は二人芝居にできそうな劇的なラスト。「結婚記念日」の亡き妻を忘れられぬ決定的な旅が、あまりにも吝嗇な旅の思い出というのが、せつなくていいなぁ。
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井上靖の短編集で、三作品とも50.51年に書かれたもの。なので、戦後の復興期で、動乱からは少し落ち着いた頃がえがかれています。 どれも、温かく、また、文章の品が良いです。 「石庭」は、怖いですねー 2011年6月16日読了 36冊目
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人から揶揄されるほどのケチんぼ妻をもった男の結婚記念日。 10歳以上も年下の妻には不似合いかなと思いつつも、龍安寺の石庭を新婚旅行先に選んだ男の話。 死に場所を求めた男女の話。 読み始めると止まらないプロット。描写の的確さ。そして読後の余韻。久々に短編の名作、と思いました。 是...
人から揶揄されるほどのケチんぼ妻をもった男の結婚記念日。 10歳以上も年下の妻には不似合いかなと思いつつも、龍安寺の石庭を新婚旅行先に選んだ男の話。 死に場所を求めた男女の話。 読み始めると止まらないプロット。描写の的確さ。そして読後の余韻。久々に短編の名作、と思いました。 是非ご一読を。
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学校で一冊読み終わったから、帰りに読むために買った。 370円くらいで全部で100ページ強しかなかったから、一時間くらいで読み終わった。 このなかに短編が3つも入ってるから、一話につき40ページ前後なんだけど、それにしては一話一話が妙に重い。 倹約家夫婦・新婚夫婦・自殺しようとし...
学校で一冊読み終わったから、帰りに読むために買った。 370円くらいで全部で100ページ強しかなかったから、一時間くらいで読み終わった。 このなかに短編が3つも入ってるから、一話につき40ページ前後なんだけど、それにしては一話一話が妙に重い。 倹約家夫婦・新婚夫婦・自殺しようとしている男女 それぞれの心の動きをずっしりと書いてあった。
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