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デフレは終わらない の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2011/11/06

今から2年ほど前(2008年)に書かれた本ですが、その時の日本の経済状態から「デフレは終わらない」とこの本の著者である上野氏は断言しています。それから2年経過して、原油等の上昇から一部の消費財での値上がりはありましたが、全体的には消費者物価は上がらずに、いわゆる「デフレ」は続いて...

今から2年ほど前(2008年)に書かれた本ですが、その時の日本の経済状態から「デフレは終わらない」とこの本の著者である上野氏は断言しています。それから2年経過して、原油等の上昇から一部の消費財での値上がりはありましたが、全体的には消費者物価は上がらずに、いわゆる「デフレ」は続いています。 原材料価格が上がっても、金利・給料・地価が上がらない以前とは異なった経済構造になったようです。この本ではそれらについてじっくりと解説されていてためになる部分が多かったと思います。 特に、「国債の金利が1%上昇すると利払い費が1兆円増加する」という仮定が現実になるための説明(p136)は興味がありました。 以下は気になったポイントです。 ・原油価格が高騰している理由として、1)中国インド等の新興諸国の経済高成長と、国際的に原油需給が逼迫している、2)ドル下落により産油国の原油代金の低下を埋め合わせるため、これがOPECの本音に近い(p22) ・国内での製品、サービス需給判断DIを見ると大幅なマイナス(余っている)状態が続いていることから自然にデフレ圧力が加わっている(p26) ・原材料価格が上昇しても自動車の販売価格が上がらないのは、需要が減少しているのが根本原因(p31) ・需要面からの構造的デフレ要因である、「人口減少」「少子高齢化」「規制緩和」が、サービス分野の硬直的な価格をさらに低くする流れが続くと予想される(p41) ・戦後最長を更新中という政府の景気判断は、製造業の動向が景気サイクルの根幹をなすという考え方がベースであり、個人の景況感は反映される余地少ない(p48) ・民間企業の給与総額は1998年を最高に減少傾向がつづいていて、雇用者一人の単価は下がっている(p59) ・人口が減ってどうなるかの未来図としては、すでに人口減少社会に入っている地方の現状をみれば参考になる(p73) ・10年債利回りがなぜ上昇しないかの最も大きな理由として、デフレを脱却できず物価上昇に弱い金融資産が運用対象として魅力的であるから(p82) ・ユーロ金利の高止まりとドル金利の低下により、市場にはユーロ買いドル売りの力が働く(p96) ・地価の急激な上昇はあくまでも局地的なものであり、それらの地域の上昇が全国ベースでの地価上昇につながることは無い(p119) ・一人のファンドマネージャが株式と債券の両方を取り扱える権限があるのは、ヘッジファンドや一部の投資信託に限定、生命保険会社や銀行では担当部署は明確に分離、つまり株から債権に資金がシフトすることはレアケース(p121) ・長期金利が1%上がるとは、その年に発行される国債の利率加重平均が1%上がるということ、1年間で新たに発行される5年債、10年債、20年債のすべてが上昇するということ(p136) ・1975年度の普通国債の利率加重平均は8%程度であったが、2005年まで継続的に1%程度まで下がり続けて、24年ぶりに上昇(1.42%から1.43%へ)した(p138、143) ・家計金融資産の海外資産への投資は、2007年末で14兆円程度で、全体の0.93%(p197) ・金銭的には自腹を切っての「自分への投資」は最終的には役に立つ(p208)

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2010/09/18

発刊から時間が経っていて、内容はちょっと古いが、サブプライム後の今だからこそ筆者の考えの正しさが確認出来る。円高、デフレ、高齢化と筆者の指摘している提言への政府の対策が依然手付かずなのが残念。

Posted byブクログ

2010/02/08

http://blog.livedoor.jp/furusatochan/archives/2567778.html

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2009/10/07

第一章の考察は解り易かった。コストプッシュ型の物価上昇は限定的かつ一時的であるとし、少子高齢化に伴う需要減という需給関係からデフレ圧力は今後もかかり続けると考察する。次いで、人口減少により「ゆとり」は生まれないとする(ex.鉄道会社は需要が落ちた分だけ、本数を間引く等)。第2章の...

第一章の考察は解り易かった。コストプッシュ型の物価上昇は限定的かつ一時的であるとし、少子高齢化に伴う需要減という需給関係からデフレ圧力は今後もかかり続けると考察する。次いで、人口減少により「ゆとり」は生まれないとする(ex.鉄道会社は需要が落ちた分だけ、本数を間引く等)。第2章の有事通貨のドル売り、という分解はなるほどと思った。最終章ではデフレ時代への提言として、「格差を前提として自分に投資する」、少子化対策で必要なのは金とインフラとし、人口(滞在人口も含めて)、「人」があって一国の経済は成立するとする。若手サラリーマンを対象としており、話の流れはマクロ観として掴みやすい。

Posted byブクログ

2009/10/04

6年連続No.1に輝いたエコノミストの著書 今の市況をまるで読んでいたかのように当たっている. 上野さんみたいな上司がいいわ! てかやっぱマスコミが報じる記事は当てにならん!

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2009/10/04

幅広く身近な経済トピックに言及してあり、記述も読みやすい。ただ、俗説・通説に異を唱える筆者の言葉には「それも一つの見方だよね」以上のことは感じなかった。

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2009/10/04

「デフレ」「インフレ」という言葉には実は違和感があった。 デフレの定義は諸説あり景気悪化を含む場合もあるのだが、「物価の下落」のことを言うのは間違いない。たしかに私の就職した2000年ごろ、物価の下落を肌で感じていた。例えばマクドナルド、牛丼の吉野家の値下げがその例だ。さすがに...

「デフレ」「インフレ」という言葉には実は違和感があった。 デフレの定義は諸説あり景気悪化を含む場合もあるのだが、「物価の下落」のことを言うのは間違いない。たしかに私の就職した2000年ごろ、物価の下落を肌で感じていた。例えばマクドナルド、牛丼の吉野家の値下げがその例だ。さすがに生活に密着していたので強烈に覚えている。しかしながら上記の状況は「良い」ことであるように理解していて、決して悪いイメージを持ってはいなかった。それはひとえに給与については上昇が実感できたからである。さすがに新卒で入社してしばらくは翌年度は必ず賃金は上昇するからだ。 インフレについては、オイルショックがそれに該当するのであろうが、記憶に無いのでそれがいかに生活に影響を与えるかについては実感が無かったのだ。 本書のタイトルは「デフレは終わらない」とある。(内容はそれだけではない)昨今の原材料費高騰のトレンドはあるのだが、それにもまして需要減衰によることによるデフレ効果が大きいという。(人口減少、少子高齢化、規制緩和がそれに輪をかける)最近経済誌や経済に絡む書籍を有る程度読んでいるせいか、その理屈については納得できるものであった。ただ、要素は挙げているものの、そのインパクトという意味での解説が無いのでいまいち、後味はスッキリしないものがあった。個人的にはグローバリゼーションというトレンドが一番大きな要素のように思っている。

Posted byブクログ