氷点(上) の商品レビュー
朝日新聞社「氷点 上・下」「続 氷点 上・下」 一人暮らしを始めた20歳の頃読みました。 読む前に知っていたことは、新聞社の懸賞企画で応募された作品だったこと・作者はキリスト教信者・ドラマが内藤洋子(といっても随分前でどんな人か知らないが)主演でヒットしたこと。 キリスト教は...
朝日新聞社「氷点 上・下」「続 氷点 上・下」 一人暮らしを始めた20歳の頃読みました。 読む前に知っていたことは、新聞社の懸賞企画で応募された作品だったこと・作者はキリスト教信者・ドラマが内藤洋子(といっても随分前でどんな人か知らないが)主演でヒットしたこと。 キリスト教は「布教」が究極の目的と聞いたことがあったので、かなり構えて読んだ気がします。楽しむというより、何が言いたいのかを知るつもりで。 複雑な生い立ちながら、前を向いて歩こうとする陽子を支えていたものは何だったのか。自分の内に汚れをみたとき、自問が始まる。 宗教を持たずとも、「原罪」のいうところは分かる気がした。それが、この本が私にとって存在した意味があると思うし、作者の大きな意図だと思う。
Posted by
この作品をどうしても読み返したい衝動に駆られていた。 ただ、手元に見当たらなかった為 先に『続氷点(上)』『続氷点(下)』を先に読んでいた。 後から見つかったので『氷点』へと続けて 5日間で上記4冊を読み返すことになった。 夢中になって、久しぶりにどっぷりと本の世界に...
この作品をどうしても読み返したい衝動に駆られていた。 ただ、手元に見当たらなかった為 先に『続氷点(上)』『続氷点(下)』を先に読んでいた。 後から見つかったので『氷点』へと続けて 5日間で上記4冊を読み返すことになった。 夢中になって、久しぶりにどっぷりと本の世界に入った。 『氷点(下)』に至っては 330ページあるのを2時間もかからずに読み終わってしまった。 小さな本1つの中に、どれほど大きな世界がつまっていることか。 扉を開けば1冊1冊の中の1つ1つの世界に入っていける。 久々にこの感覚を思い出した。幸せだ。 『氷点(上)』より、印象に残った言葉のメモを。 ◆鏡にうつる自分に見ほれることからは、 人への愛は生まれなかった。 鏡は目に見えるものしかうつさなかった。 心をうつすことはできなかった。 (p.312からメモ) 自分に見惚れる美しい夏枝とは違い 私は鏡の中も自分には嫌悪感しか抱けない。 しかし、この箇所を読んだときに、 目に見える自分を見つめるだけでは人への愛は生まれない、 この言葉を忘れてはいけない気がした。 ◆あの宣教師がみつめて生きてきたものと、 自分がみつめて生きてきたものとは、 全くちがっているにちがいなかった。 (中略) 海は見えなかった。 たしかに、そこには、あの巨大な海があるというのに、海は見えなかった。 たしかにそこにあるはずの海が見えないということ、 そのようなことが、自分の人生にも、あるように思えて、 啓造はそれが恐ろしかった。 (p.343-344からメモ) メモをしていて、ふと想ったこと。陽子と自分の姿が重なる。 真直ぐに懸命に生きる陽子。 しかし陽子はその純粋さ故に、自分の罪の想いに耐えられず死を選んだ。 私は陽子に対して敬愛する気持ちが大きいし 陽子と自分が同じであるというほど驕るつもりもない。 ただ、自分が中学時代から抱えていた「生きづらさ」というのを これを読んで思い出した。 真剣に生きることは、すごく大切だ。 10代で出逢って以来、私自身は 三浦さんの言葉に育てられてきた面も大きいと思う。 ただ、まっすぐ故に生きられなくなった陽子に 「そんなに思い悩まないで」と声をかけてあげたくなる気持ちも 今の私にはあるのが正直なところだ。 でもそれは、いいことではない。 しかし、悪いことでもない。 ただ、これが、「今の私」なのでしょう。 私としては、一つの成長でもあると思う。 しかしやはり、自分の根本には 「まっすぐでありたい」という想いがあるのだな、と 改めて考えさせられた。 ……さぁ、どう進んで行こうか。 (2010.05) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― (メモ:中等部3年のときに読了。 その後、購入し、数回読みました。)
Posted by
昨年、ドラマを見たせいか、かなり読みやすく、すぐに入り込めました。内容は前々から知っていたし、舞台が旭川だし、三浦作品はよいですね、やっぱり。2008.5.29読了
Posted by
その昔、このドラマが始まると銭湯の女湯が空になるほど高視聴率だったらしい。 あんまり事前情報を入れないようにして読んだらどっぷりはまってしまった。 塩狩峠よりも作家がよくわかる作品といえる。宗教とか、人間に興味がある人にはおすすめする。
Posted by
テーマは一応人間の「原罪」について。 陽子に課せられた「殺人犯の娘」という、『本人自身には何の関わりも無い「罪」』を描き出すことによって、キリスト教の「原罪」のイメージを読者に感じさせようとしたのだろう、とは思う。 しかし私がどうしても「原罪」のイメージが浮かばない原因に...
テーマは一応人間の「原罪」について。 陽子に課せられた「殺人犯の娘」という、『本人自身には何の関わりも無い「罪」』を描き出すことによって、キリスト教の「原罪」のイメージを読者に感じさせようとしたのだろう、とは思う。 しかし私がどうしても「原罪」のイメージが浮かばない原因には『自分に原因が無いのに課せられる』ということ以外に、創世記のアダムとエバが実在したこと自体が信じられないという点もある。(無理かも知れないとは思うが)その点を納得させられるように描かれてはいないため、読んでもやはり原罪のイメージは沸かなかった。 また彼女のデビュー作のため、この作品ではまだ表現力の点で若干稚拙な部分も散見される。
Posted by
下巻も続編も全て所有 フリーペーパーむじなにこの本についての評論を書いたことがある。 三浦綾子の中で一番好きな作品
Posted by
不倫中に行方不明となり殺された娘。汝の敵を愛せと夫は自分の娘を殺した犯人の娘を幼女として迎える。妻は何も知らずに、幼女として引き取るが、それを知ったとき・・・重い課題の1冊ですが一気に読めてしまいます。
Posted by