悪魔の星 の商品レビュー
不可知論者の散文
1958年に出版された『神学SFの傑作』とあとがきに書かれていた。読んで思ったのは、ダン・ブラウンはジェイムズ・ブリッシュのこの本からヒントを得て、『ダヴィンチコード』『天使と悪魔』を書いたのかなぁなどと邪推してしまった…。教会と悪魔祓い。
著者自ら書いているように本人は不...
1958年に出版された『神学SFの傑作』とあとがきに書かれていた。読んで思ったのは、ダン・ブラウンはジェイムズ・ブリッシュのこの本からヒントを得て、『ダヴィンチコード』『天使と悪魔』を書いたのかなぁなどと邪推してしまった…。教会と悪魔祓い。
著者自ら書いているように本人は不可知論者とか。ストーリーの骨格は一瞬にして閃いてあとは一気に書き上げたような感じがする。しかし、骨格以外のところは宗教的なネタをベタベタと貼り付けて雰囲気を盛り上げようとしているだけで本筋とはほとんど関係ないし、ストーリーとしての起承転結はない。著者の頭を駆けめぐった思いつきの思索の散歩道とでも言うような散文の塊りを一冊の本にしたものという印象はぬぐえない。読みづらく冗長な文章が多く、キレ味が悪い。
筆者の生まれ育った背景からして致し方ないとは思うが、このストーリーをSF作品として書けば確かに傑作として残る作品になったのではないかと思う。
復刊フェアの帯には、入手困難だった名作を、と書かれているが、『迷作』故に入手も困難だったのではないだろうか。
筆を走らせる能力のある作家が読者を惹きつけるまたは唸らせる作品を書けるとは限らない。時間が経っても読み継がれる作品こそが『傑作』のはず。そういう意味ではこの作品は時間が経てば消えて行く作品かもしれない。
STAR TREKの小説化を担当していたとのことで、やはり筆は走る作家だったのだろう。ハードSFの巨匠と言われても首をかしげてしまうが現代SF作家達のひと世代前の黎明期の作家としては評価出来ると思う。
skyfall
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これにて個人的東京創元社文庫フェア終わりー。長かった笑。 あまり期待せず読み始めたけど意外に面白く読めた!終始気になる展開があり続けたのがよかったな。クリーヴァーなに企んでる!?からこいつ育ったらなにをし出すんだ…?だめだこいつ早くなんとかしてくれ!といった具合。 人類は宇宙で、...
これにて個人的東京創元社文庫フェア終わりー。長かった笑。 あまり期待せず読み始めたけど意外に面白く読めた!終始気になる展開があり続けたのがよかったな。クリーヴァーなに企んでる!?からこいつ育ったらなにをし出すんだ…?だめだこいつ早くなんとかしてくれ!といった具合。 人類は宇宙で、神学的に到底許容できない存在、神を必要とせずとも理想的であることのできる存在と出会ってしまう。神に愛されてしかるべきであるにも関わらず神を信仰しない悪魔的な存在に危惧する主人公だが、地球に帰るそのとき、彼らから彼らの卵をもらい受けてしまい…。 神学SFと呼ばれているそうだけど、この話のキモは神学などでなくても物語が語れてしまうことじゃないだろうか。あらすじは神うんぬんに触れなくても説明できるし、現に登場人物の一人はまったく別のパラダイムで事物を解釈し行動している。SF的な出来事が起きた時に、神学はいかに語るかという思考実験。そして物語の中で神学は何をなしたか、という点に著者のドライな見解が表れているような。うーん。興味深い話だった。
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ハードSFの巨匠ジェイムズ・プリッシュが描く長編小説はヒューゴー賞受賞の「神学SF」です。 爬虫類から進化した知的生命体が住む惑星リチア。人類による殖民の可否を検討するため、地球人調査員としてこの地に降り立ったルイスサンチェス。生物学者にしてキリスト教神父である彼は、とある疑問を...
ハードSFの巨匠ジェイムズ・プリッシュが描く長編小説はヒューゴー賞受賞の「神学SF」です。 爬虫類から進化した知的生命体が住む惑星リチア。人類による殖民の可否を検討するため、地球人調査員としてこの地に降り立ったルイスサンチェス。生物学者にしてキリスト教神父である彼は、とある疑問を抱くようになる。リチア人…彼らは人間よりも人間らしい理知的な生命体であまりにも理想的過ぎる…まるで、エデンの園から知恵の樹の実を食べる前の人間のような… 神学SFということで、宗教に疎い身からすると、てんで意味が解りませんでした…というよりも、なんとなく言いたいことは解るんだけど、なぜそんな展開になるのか理解できないところが多々。特に、ルイスサンチェスが人間よりも人間らしいリチア人を悪魔と捉えている点。たぶん、物語の核ともいえるこの解釈をよく理解できなかったために、疑問符が終始頭から外れなかったのだと思います。 一方、リチアの惑星を一個の子宮として描くアイデアは興味がわくところ。また、解説にある「宇宙の仕組みは解明できても、その意味を明かすことはできなくなったのだ」という言葉にすこし本書の意図を感じることができました。ハードSFの巨匠が描いたのは、難解な理屈うんぬんではなく、それが備える意味、目的なのかもしれません。そして、それはもちろん捉える角度によって異なります。本書におけるリチアを「悪魔の星」と捉えるルイスサンチェスもいれば、「爆薬貯蔵庫」とみなすクリーヴァーもいる。ここに正解はありません。人間はリチア人ではないのですから…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人類が入植するに適している星かを調査するためにリチアに滞在するルイスサンチェス。神父としての自分が宗教を持たないリチア人を信じきれないと訴える。リチアを封鎖することに決定し地球に帰還する日、リチア人のシュテカに自分の子供を託されるルイスサンチェス。地球で育てられるエグトヴェルチ。地球上で先導者となるエグトヴェルチ。リチアを悪魔の星と認定する教会。地球から脱出しリチアに向かうエグトヴェルチ。リチアで行われる実験。
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解説によると『神学SF』。確かにそうとしか言えない内容で、カトリックの教義が重要なモチーフになっている。 原題をそのまま訳すと『悪魔の星』にはならないようだが、このタイトルは内容を一言で表している。
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宗教ハードSFでよくぞヒューゴーを獲ったな、という気持でいっぱい。色んな意味ですごい。怖い。星全体をエクソシズムの対象って、要はそういうこと。しかしカトリックやキリスト教の教義を少しでも齧ってないと何も楽しめないと思う。私は面白いと思ったけれども、それと思想は別の話で。
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