幸之助論 の商品レビュー
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▼どんな偉大な人物でも最初から偉大であった訳ではない ▼成功よりも苦難が人を強くする ▼あなたがいなければ私たちは成功できないという印象を与える ▼年を重ねただけでは人は老いない。理想を失う時、初めて人は老いる ▼ただ真面目に働くだけでは十分ではない。どんな仕事をしているにせよ、自分が社長であると思って、自分自身の仕事に責任を負わなければならない。 ▼いつも目を開けている人は道に迷わない。いつも他人に耳を傾けている人も迷わない。 ▼技能や知恵は簡単に買い求められるような日用品とは違う。起業が涵養すべき資質なのだ。従業員を積極的に育てようとしている会社は、既存の能力を利用しようとするだけの会社よりも、はるかに有利である。 ▼勝利を収める人は、生涯を通じて成長しようとする意欲と能力のある人だろう。
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松下幸之助についてリーダーシップの観点からコッターが記した著。大変参考になる。 <特に心に残ったこと> ・苦労をするほど人は成長できる。 ・謙虚であることがとても重要 ・小さくとも原体験をもとにした志を持つこと。 <メモ> ・リーダーシップ研究 資質アプローチ→行動アプローチ→状況アプローチ ・偉大なリーダーになる生き方とリーダーシップの育て方も時代の中の社会環境の影響を受ける。 ・時代の中に成長がどう埋め込まれているかを読み取る知性を磨き続けたからこそ、結果において偉人となった。 ・人を消耗させるような苦難を学習の源泉に変え、成功の背後に潜む原動力へ変化させていった ・逆境によって人は強くなる。一人前として信頼されるようになるには、多くの試練と訓練を甘受すべき。 ・成功した企業に最も危険なのがおごり。解決するために高い使命を設定。この地上から貧困を撲滅すること。こうすることで現場に満足し、緩慢になってはいられなくなるように。 ・サムウェルマンの詩 青春とは人生のある期間ではなく、心のもちかたをいう。薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく、たくましい意志、豊かな想像力、炎える情熱を指す。青春とは人生の深い泉の清新さをいう。 青春とは怯懦を退ける勇気、安易を振り捨てる冒険心を意味する。時には、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる。 歳月は皮膚にしわを増すが、熱情を失えば心はしぼむ。苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い、精神は芥になる。 60歳であろうと16歳であろうと人の胸には、驚異に魅かれる心、幼児のような道への探究心、人生への興味の歓喜がある。君にも吾にも見えざる駅逓が心にある。人から神から美・希望・喜悦・勇気・力の霊感を受ける限り君は若い。 霊感が絶え、精神が皮肉の雪に覆われ、悲難の氷に閉ざされるとき、20歳であろうと人はオイル。頭を高くあげ、希望の波をとらえる限り、80歳であろうと人は青春にして巳む。 ・PHP哲学の核心 1人間は根本的に善良で分別がある 2人類は物質的にも精神的にも、成長し進歩する力を発揮してきた 3人類は選択する力を持っている 4我々には世界が直面している困難な問題に物質的・精神的な資源を集中させる力がある 5困難な問題には素直な心と他人から学ぼうとする気持ちで立ち向かう。 ・従業員は学び成長させるもの。命令ばかりでなく、権限と責任を与えるべき。 ・あらゆる労苦を救おうとするのでなく、社会的に有益な仕事を奨励し、人々を成長させるためにお金を使った。 ・辛苦と失敗を通じて、人はより強く生まれ変わることができる。成功によって驕り、挑戦しなくなれば、個人の成長は止まる。自分の行動を謙虚に誠実に見極めようとする意志こそが成長の根本。 ・安楽な習慣的業務から追い立て、リスクを取り、率直に成功と失敗を反省して、他人の意見に耳を傾け、素直な心で人生を見つめ、衆知から何かを引き出そうとした。 野心や信念存在。 ・一連の悲劇が人を育て、夢を育み、目標と信念に。 安楽な場所から離脱し、リスクに挑戦し、経験を謙虚に反省し、素直な心で物事をみ、他人の意見を真摯に聞き、周知を尊重することで成長を実現。 ・生涯にわたって学び続ける姿勢は謙虚さ、素直な心、リスクに挑む意志、人の意見を傾聴する能力、そして誠実な自制と深く結びついている。 ・目標と信念は成長を促す支えとなる。 ・逆境は人生を打ちのめすばかりではない。大きな理想と絶えざる成長を育み、偉大な業績達成に結びつくことがある。
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リーダーシップ論、企業変革論の大家、コッターによる「幸之助論」。新著かと思ったら、1997年に出版され、翻訳されていたのが、日本では絶版状態になっていて、このたび新訳がでた、とのこと。 コッターが書く松下幸之助というわけだから、単純な評伝にはなるはずもないし、こちらも正確な伝...
リーダーシップ論、企業変革論の大家、コッターによる「幸之助論」。新著かと思ったら、1997年に出版され、翻訳されていたのが、日本では絶版状態になっていて、このたび新訳がでた、とのこと。 コッターが書く松下幸之助というわけだから、単純な評伝にはなるはずもないし、こちらも正確な伝記をアメリカ人に求める気もない。関心は、コッターが、そのリーダーシップ論とからめながら、どのように松下幸之助を論じ、そこからどのようなインプリケーションを引き出すか、というところだが、さすがコッター、一般適用可能性と時代/地域特殊性を意識しながら、実にケースとしてうまく整理している。 結論的には、リーダーは生まれながらにしてリーダーなのではなく、逆境を克服していくなかで、リーダーとして成長していく。松下幸之助の場合は、この「生涯を通じた逆境を乗り越えていく事による成長」と「素直な心」がキーワードということだろうか。 欲を言えば、余りにも手際よく整理されていて、すこしリーダーシップのマニュアル化みたいな感じがしてしまい、今ひとつ、感動を引き起こすという感じが少ない気もする。ということは、もともとこの本に期待する役割とは矛盾するので、無理難題ではあるが。 いわゆる理論的なリーダーシップ論みたいなのを読むより、理論的なフレームワークを意識しつつ書かれたこの評伝を読む方が良い、ということは言える。
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グロービスの課題図書。 素直な心。 謙虚かつ学び続ける姿勢。 これを培ったのは壮絶な幼少期のトラウマと、ビジネスの世界での苦難の連続を何くそと乗り越え続けてきた経験。 正直、どんな逆境でも前を見続ける松下氏が信じられない。 が、彼は前を見続けて成功し、他人にも伝えようと行動...
グロービスの課題図書。 素直な心。 謙虚かつ学び続ける姿勢。 これを培ったのは壮絶な幼少期のトラウマと、ビジネスの世界での苦難の連続を何くそと乗り越え続けてきた経験。 正直、どんな逆境でも前を見続ける松下氏が信じられない。 が、彼は前を見続けて成功し、他人にも伝えようと行動した。 松下氏自身は幸せだったのかはよくわからないが、成功したのは確か。 私も色々な逆境があったときに、前を向き続けることが本当にできるだろうか。 今の覚悟では足りていないのではと気づかされた。
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経営の神様と言われた松下幸之助について、あのコッターが描き、金井壽宏が監訳をするというなんとも豪華な本。 幼少期から悲運であった幸之助は、家族全員を早くに亡くした。このようなできことごバネに、自分自身の思想、哲学を確立し、それらを応用した独自の経営手腕で松下電機を作り上げた。 この超越した経営方法は、時代の先を行くものであり、数十年後に一般的と言われた経営方法を、早くも確立していたことは賞賛に値する。 何より感銘を受けたのは、従業員に慕われていたことである。GHQから財閥に指定され、経営陣が追いやられた時も、従業員が一丸となって幸之助を復職させるように動いたエピソードには驚きを隠せなかった。 自分自身のリーダーシップは、立場や率いているものが全く違えど、幸之助とどう違うのか、そこから何を学べるのか、大変考えさせる内容であった。
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凡人が大経営者、教育者へ変貌していく様子が描かれる。私は経営に宗教や思想的なものを持ち込むのは反対だが、彼のように性善説に立つ姿勢は割と好き。相手を信じてこそ能力を発揮し活躍してくれるものと思うから。 誰しもが思いつかない斬新なアイデアが出るのは、素直な虚心坦懐な心構え故だろう...
凡人が大経営者、教育者へ変貌していく様子が描かれる。私は経営に宗教や思想的なものを持ち込むのは反対だが、彼のように性善説に立つ姿勢は割と好き。相手を信じてこそ能力を発揮し活躍してくれるものと思うから。 誰しもが思いつかない斬新なアイデアが出るのは、素直な虚心坦懐な心構え故だろう。老害と思われるかは紙一重なのかもしれない。
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コッターの本というだけでも非常に興味が湧くのに、彼が松下幸之助にフォーカスしていることで、さらに好奇心が高まった。 事前の高い期待値に十分応えた内容だった。 半ば日本では神格化されている経営の神様のことを極めて赤裸々に研究した本です。 新たな視点で松下幸之助を見つめることが...
コッターの本というだけでも非常に興味が湧くのに、彼が松下幸之助にフォーカスしていることで、さらに好奇心が高まった。 事前の高い期待値に十分応えた内容だった。 半ば日本では神格化されている経営の神様のことを極めて赤裸々に研究した本です。 新たな視点で松下幸之助を見つめることができました。 時代の変革期の今だからこそ読むべき一冊かもしれません。
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J. Kotter教授がリーダーシップ論として学問的に描いた松下幸之助論。家族を次々と亡くし、常にに死を意識していたであろう幸之助の生き方を通じて自分自身の死生観を振り返ったり、逆境を乗り越え決して諦めない意志の強さから多くを学ばされる。
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コッターの視点から松下幸之助が語られている。幸之助の原体験を通じ、幸之助の姿を浮き彫りにしているが、少し偏った見方もあるように感じた。ただ、経営者としての幸之助を理解する上では網羅的に語られており、素直な心や道と言った幸之助の哲学については、別の書で理解を深める必要がある。
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自分にとって松下幸之助とは、ただの、家電販売店を営んできた自分の「父のあこがれの人」という存在だった気がする。 度々、父より「経営の神様」と呼ばれている事は聞いていたが、そもそも自分にとっての経営者像自体が、父の背中だった。 加えて、父は若い頃松下の店で働いていたが、独立の際、既...
自分にとって松下幸之助とは、ただの、家電販売店を営んできた自分の「父のあこがれの人」という存在だった気がする。 度々、父より「経営の神様」と呼ばれている事は聞いていたが、そもそも自分にとっての経営者像自体が、父の背中だった。 加えて、父は若い頃松下の店で働いていたが、独立の際、既にその地域に松下の販売店が長く存在しているという理由もあり、松下の店を持つ事は叶わなかったと聞く。そこで、父は松下の競合企業である東芝の店を持つ事になったのだが、その様な事情と、父自身の憧れと、松下幸之助の理論や哲学を知る由もない自分にとっては、松下はただの東芝製品のライバル企業、小さい頃から「敵」という存在だった。 さて、大人になり、経営者として頑張ってきた父の背中も見てきた自分にとり、形は違うが何らかの方法で「経営」に携わる事は、ある種の自分にとってのアイデンティティであると思うようになり、暫くの時間が経つ。 残念ながら、父の後を継ぐのは、病の既往により事実上不可能になってしまったが、分野は違えど同じ「経営」の道を歩む事は可能と思っている。 その様な中で、自分にはたいした学識もないのだが、それでも実践的な知識をに多くを学ぶ事ができると考えているのが、過去の偉大な(と言われる)経営者達の人生であり哲学である。 幸い、様々な書物からそれは学ぶ事ができる。 松下幸之助の発した言葉をもとに書かれた書物は多くあるが、これまでに自分もそのうちの幾らかを読んで感銘を受けてきた。 特に幸之助の困難に対する考え方や企業の存在意義に対する考え方に心底共感する。 しかし本「幸之助論」を読んで、この松下幸之助というひとから最大限学ぶためには、この人の理論や哲学を作り上げてきた人生を知る事が先ず非常に重要であると感じる。 松下幸之助の考えのある断片でなく、人生という連続の中から、この人がどのように自らの考えを打ち立ててきたのか、その事について思いを巡らす事が肝要と考える。それを学んで初めて、松下幸之助の考え方が心に染み入ってくるんだろう。だから本書は、松下幸之助という経営者を学ぶ上で最初に読むべき本であるのではないか。読んで(というか、人生を知って)初めて彼の理論や哲学を受け入れるベースができると思う。 松下幸之助の経営哲学には、我々現代のビジネスマンが学ばなければならない事がきっと沢山ある。最近のこの「知識創造企業」の低迷っぷりを見ると、松下自体も忘れてしまっているのかも知れないが。
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