夕闇の川のざくろ の商品レビュー
孤独で嘘つきな、美しい女性、しおん。人なんてもともとほんとじゃないのよ、そう言う彼女は、次々と物語を紡ぎ出す。自分の生れのこと、恋人のこと・・・。 70ページほどの小さな本なのですぐに終わってしまいました。でももう一回パラパラとめくりたい、そんな感想。この小さなお話の中に作者ら...
孤独で嘘つきな、美しい女性、しおん。人なんてもともとほんとじゃないのよ、そう言う彼女は、次々と物語を紡ぎ出す。自分の生れのこと、恋人のこと・・・。 70ページほどの小さな本なのですぐに終わってしまいました。でももう一回パラパラとめくりたい、そんな感想。この小さなお話の中に作者らしさがぎっしりと詰まって溢れるよう。「すきま〜」のような夢のようなうっとりとする物語です。
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エッシャーのだまし絵のような作品です。 なにが嘘でなにが本当なのかわからない。でもわからないことが心地よくなってくる。 じわじわと言葉が染み込んできます。
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しおんという女性と、幼なじみらしい「私」。 しおんはとても嘘つきでとても美しい、孤独な女性。 幼なじみの「私」は彼女の生まれも育ちも知っているのに、「拾われた」「行商に出された」とか明らかな嘘をつく。それを彼女は「物語」だと言う。 「人なんてもともとほんとうじゃない」 ...
しおんという女性と、幼なじみらしい「私」。 しおんはとても嘘つきでとても美しい、孤独な女性。 幼なじみの「私」は彼女の生まれも育ちも知っているのに、「拾われた」「行商に出された」とか明らかな嘘をつく。それを彼女は「物語」だと言う。 「人なんてもともとほんとうじゃない」 「物語の中にしか真実は存在しない」 「しおんは人を信じていない」 わからない、でもわかるような、でもやっぱりわからないような、そんな印象的な言葉の取捨選択が、江國香織らしいと思う。 イラストの挿絵が美しく、大人の絵本の様相。 何度も読み返し、この世界観を反芻するのは楽しい。
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久々に江國さん。 優しいお話でしたね。短いけど。 しおんが、ちょっと『ホリーガーデン』の果歩っぽくて好きでした。 切なくて泣きたいような気持ちになった。 久々に江國さんワールドに浸れたなぁ。
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