分解された男 の商品レビュー
ベスターの描く主人公は怒りと情熱に突き動かされている。絶えず動き回らないと死んでしまうような印象すら受ける。 悪の道に染まった主人公のエネルギーの社会的な利用法として分解という手法が出てくる。人間の記憶を消去し再構成するのだ。 これがタイトルの由来である。 訳が古く現代の目では失...
ベスターの描く主人公は怒りと情熱に突き動かされている。絶えず動き回らないと死んでしまうような印象すら受ける。 悪の道に染まった主人公のエネルギーの社会的な利用法として分解という手法が出てくる。人間の記憶を消去し再構成するのだ。 これがタイトルの由来である。 訳が古く現代の目では失笑ものの表現が多用されている。
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殺人がなくなった時代に起きた殺人事件。時代がいくら進んでも殺人の根源的理由は変わらないな、と。ミステリとSFのベストミックス。
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心を透視する超感覚者により犯罪が行われなくなった時代。心が読める人間がいるため殺人をしようものならすぐに看破されてしまい、そのおかげで犯罪を未然に防げる。そんな状況で殺人を犯せるのか。設定もそうだけれど超感覚者同士のやりとりがまた面白かった。
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主人公は殺人犯で、財力と権力を乱用して警察から逃れようとしている悪人。それと同時に、己の内側にある孤独と恐怖から目をそむけ、必死に逃げ続けている、哀れな男でもある。テレパスが増え監視社会が実現し、殺人ということがほぼあり得なくなった時代でのこと。死刑という「野蛮な」習慣はとうに...
主人公は殺人犯で、財力と権力を乱用して警察から逃れようとしている悪人。それと同時に、己の内側にある孤独と恐怖から目をそむけ、必死に逃げ続けている、哀れな男でもある。テレパスが増え監視社会が実現し、殺人ということがほぼあり得なくなった時代でのこと。死刑という「野蛮な」習慣はとうになくなり、代わりに殺人には「分解」という刑が待っている。その「分解」の正体はラストで明らかにされるのだが……。 重く暗いテーマだけれど、コミカルな場面を交えつつのユーモラスな語りがあって、その分いくらか軽快に読める。ただそのぶん重さが損なわれている感があって、個人的には同じ作者なら「虎よ、虎よ!」のほうが好きだったかなという印象です。
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第一回ヒューゴー賞に燦然と輝く「分解された男」は、鬼才アルフレッド・ベスターの処女長編小説。 ベスターといえば超有名な「虎よ、虎よ!」にて、あの破天荒な文体と怒涛のストーリー展開、魅力あふれるジョウント=テレポーテーションのお陰でエンジョイ&エキサイティング&エネルギッシュな読書...
第一回ヒューゴー賞に燦然と輝く「分解された男」は、鬼才アルフレッド・ベスターの処女長編小説。 ベスターといえば超有名な「虎よ、虎よ!」にて、あの破天荒な文体と怒涛のストーリー展開、魅力あふれるジョウント=テレポーテーションのお陰でエンジョイ&エキサイティング&エネルギッシュな読書タイムを味わうことが出来たのですが、いかんせんSF初心者であった当時の僕にとっては、ただただ圧倒されるばかりで、先に挙げたようなベスターが放つ”破天荒さ”や”勢い”、”魅力”を直視出来ていなかった覚えがあります。 でもって、当著。 この疾走感!脈動感!力強さ!荒々しい語気!飛び交う罵声! 「もっと引っ張る、いわくテンソル。緊張、懸念、不和が来た」なんて、イカした歌を織り交ぜるあたり、いいねぇ、やっぱベスターですねぇ。 「虎よ、虎よ!」に比べると多少大人しめな感を抱いたのだが…でも充分であります。 「いいか、殺しのイロハは、大胆・果断・自信だぜ」なんて痺れる言葉をぶっ放すベン・ライクは、すんげえ悪党なんだけど嫌いになれない。 彼を追っかけまわすパウエルをはねのけて、むしろ応援したくなる。 高度に発達した24世紀の未来社会だから、知的でスマート、薄情な印象をもって物語に入るんだが、本を開けた途端、ライクの怒号に始まり、だけでなくライクは苦しみ、大きく笑い、時に弱気になる。 すんごい人間臭いんだよなぁ。 このライクの尋常足らざる喜怒哀楽さに奇妙な好感を抱いちゃう。 そしてこれら物語の奔流が全て頭の中で映像として思い描ける。 これが何より当著の凄さをあらわしていて、SF小説が面白いところなんだよなぁ!
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ベスター凄い!はじめから脇道なしで一気に最後まで走ります。ライク対パウエルの虚虚実実なやりとりが面白い。訳文は古めかしいのですが、それを忘れさせます。題名どおりライクは分解されるのですがこういう分解のされかたとは思わなかった。長い間、積読にしてあったけど、もっと早く読めば良かった...
ベスター凄い!はじめから脇道なしで一気に最後まで走ります。ライク対パウエルの虚虚実実なやりとりが面白い。訳文は古めかしいのですが、それを忘れさせます。題名どおりライクは分解されるのですがこういう分解のされかたとは思わなかった。長い間、積読にしてあったけど、もっと早く読めば良かった^^
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前半は倒叙ミステリー風だったが、さすがに「虎よ〜」の作者だけに、後半はブッ飛んでしまってわけが分からず。訳者の苦労はわかるけど、この翻訳はあまりいただけなかった。
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犯罪者(普通の人間、但し非常に有能)vs警察官(超感覚者:人の心が読める)の駆け引きが面白い。疾走感抜群。 訳文にはちょっと時代を感じるけど、書かれた時代を思えばその斬新さに驚かざるを得ない。もしこれを映像化したら、毒々しさが画面から零れ落ちてくるような、それでいてとてもスタイリ...
犯罪者(普通の人間、但し非常に有能)vs警察官(超感覚者:人の心が読める)の駆け引きが面白い。疾走感抜群。 訳文にはちょっと時代を感じるけど、書かれた時代を思えばその斬新さに驚かざるを得ない。もしこれを映像化したら、毒々しさが画面から零れ落ちてくるような、それでいてとてもスタイリッシュなものになるんじゃないかと思ったりした。 「虎よ、虎よ!」よりはぶっとび度が薄い。その分とっつきやすくはあると思う。
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ライク家に伝わる殺人の指南書、「のぞき」を妨害する歌、流行の挨拶など細かいアイテムはおもしろいけどあらゆるオチが微妙。
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SFと推理小説の融合というと、アシモフ先生のイライジャ&ダニールシリーズしか知らなかったのですが、こちらも傑作です。 「虎よ、虎よ!」といい、べスターのグイグイ読ませる筆力は半端ないですね。 基本推理小説は面白ければトリックなんぞどーでもいい人間なんですが、これはかなりフェアにル...
SFと推理小説の融合というと、アシモフ先生のイライジャ&ダニールシリーズしか知らなかったのですが、こちらも傑作です。 「虎よ、虎よ!」といい、べスターのグイグイ読ませる筆力は半端ないですね。 基本推理小説は面白ければトリックなんぞどーでもいい人間なんですが、これはかなりフェアにルールを守っていると思います。 この騙された、やられた感がたまらない。 しかしこの主人公のベン・ライク、やたらに魅力的で困ります。ロクでもない男なのに応援してしまいたくなる。ここまで俗物的野心家だと、見ていて気持ちがいいですね。
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