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太平洋の防波堤・愛人ラマン・悲しみよこんにちは の商品レビュー

4.1

16件のお客様レビュー

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2022/08/22

101231*読了 2010年最後の読書はこの本でした。デュラスの2作品と、サガンのあまりにも有名な作品。太平洋の防波堤が個人的には好き。でも文体としてはサガンのやわらかさが好き。フランス文学の一端に触れる。もっともっと世界中の文学作品を読みたい。もちろん日本の作品も。文豪は本...

101231*読了 2010年最後の読書はこの本でした。デュラスの2作品と、サガンのあまりにも有名な作品。太平洋の防波堤が個人的には好き。でも文体としてはサガンのやわらかさが好き。フランス文学の一端に触れる。もっともっと世界中の文学作品を読みたい。もちろん日本の作品も。文豪は本能のままに書くのだなぁ、と感じました。愛人なんか、一人称と三人称、時間のつながり、全てがめちゃくちゃ。でもその躍動感に引きこまれる。書くことが生きることと直結しているように思います。小説って完全にフィクションで作り上げなくても、自分の経験をふんだんに織りこんで、こんなにすばらしい作品を作ることができるんですね。池澤夏樹編纂の世界文学全集を読みあさります。来年へ向けての決意。笑 220821*読了 驚くことに私は12年前にもこの本を読んだのだけれど、「悲しみよ こんにちは」だけを読んだのだと思っていた。実際は収録の3作とも読んでいた…。私の記憶力…。 今回再読した理由は、池澤夏樹さん編の世界文学全集、日本文学全集をコレクションして、読破するという目標のため。 以前は図書館で借りて読んだのだけれど、今回は購入して読みました。 当時から池澤夏樹さん編の文学全集を読みたい願望を抱いていて、10年以上経ってやっとその夢を着々と叶えているところ。 それぐらい私はこういった文学が好きで、その気持ちは変わっていないということ。 以前読んだ時は「太平洋の防波堤」が気に入っていたよう。 悲しいことに全く読んだ記憶が飛んでいたのだけれど、確かにおもしろい。 キャラクターそれぞれの個性がぶつかり合いながらも、どこかどんよりとした退廃的な雰囲気が漂う感じ。 「太平洋の防波堤」も「愛人」もデュラスの実体験を反映させていて、当時の植民地での支配側だったとしても、こんな苦労があったのか…と思ったし、現地民の苦しい状況もありありと描かれていて、知らない部分をまざまざと見せつけられた感じ。 そしてどちらも兄の印象が強い。これもデュラスの生い立ちが関わっていて興味深い。 「愛人」はタイトルこそ愛人だけれども、結局それのみがテーマではなかったのでは?とも思えてしまう。 「悲しみよ こんにちは」が一番ストーリー性があって読みやすかった。以前も読んだと覚えていたのも、そのせいかもしれないし、当時サガンの小説が読みたかったというのを記憶していたからでもあります。 それにしても、17歳の少女が書いたとは思えない。才能をひしひしと感じました。 いずれも思春期真っ盛りのティーンエイジャーの少女、そしていずれも性へと踏み出す様子が描かれているのも、この巻を特徴づけている。 この当時ならではの、自分の全てが性に染まってしまうような、潔い貪欲さ。 大人になって振り返った時、決して後悔しない奔放さ。 程度の差こそあれ、そして「愛人」ではあまりにもどっぷりと浸ってしまっているものの、誰しもこんな時があったはず。それが行為そのものや相手そのものでなくても、性に夢中になる時期があったはず。 2010年の感想の方がしっかり書けているように思う。笑 若さ故か老化故か…。

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2021/04/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『悲しみよ、こんにちは。』 18歳の少女が書いた、夏と罪の香りがする物語。 ・ 地中海に面した貸別荘を舞台に、主人公セシル、父、父の情人エルザ、そして父の母の古くからの友人アンヌが登場する。 アンヌを敬い、恐れ、セシルは父とアンヌの中を引き裂くために、密かに動き出すのだった。 ・ ・ ・ 私の視点からの思考内容の語りが多く、彼女がアンヌに対して好意的、憧れ、恐れ、妬み、遠ざけたい、という思いの移り変わりを読者も一緒に追うことになる。  アンヌとセシルの食卓を囲む、息を詰まる様子の描写が見事だと感じた。 

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2016/07/18

太平洋の防波堤、初読み。面白かった。同じネタ(思い出)を何度も書いているけど読ませるって、すごい。インドシナの湿気を含んだ暑い空気を感じ、植民地社会を知り、登場する人間の個性に魅かれ、主人公の若い女性のたたずまいにシンパシーと憧れを抱き。ラマンも何度も読んだなー。読み返したかった...

太平洋の防波堤、初読み。面白かった。同じネタ(思い出)を何度も書いているけど読ませるって、すごい。インドシナの湿気を含んだ暑い空気を感じ、植民地社会を知り、登場する人間の個性に魅かれ、主人公の若い女性のたたずまいにシンパシーと憧れを抱き。ラマンも何度も読んだなー。読み返したかったが、時間切れで返却。サガンは・・・学生時代に読んで面白くなかった記憶により、今回はパス。

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2016/03/12

デュラスはラマンが有名だけれど、僕は太平洋の防波堤の防波堤のほうが断然好きだ。描かれて問題のスケールの大きさに圧倒されるし、登場人物達の個性が面白い。実体験に基づいているとはいえ、問題と対峙する人間への洞察力に圧倒される。 サガンは、間違いなく偉大なストーリーテラーだと思う。これ...

デュラスはラマンが有名だけれど、僕は太平洋の防波堤の防波堤のほうが断然好きだ。描かれて問題のスケールの大きさに圧倒されるし、登場人物達の個性が面白い。実体験に基づいているとはいえ、問題と対峙する人間への洞察力に圧倒される。 サガンは、間違いなく偉大なストーリーテラーだと思う。これまで食わず嫌いで読んでこなかったが、本作のプロットは秀逸だし、人物造形もリアル。凄い想像力だと感じた。

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2015/03/16

収録順ではなく以前より読みたいと思いつつなかなか読めなかった順に読み進めてみた。 フランスの女性作家、十代の女の子が主役という共通点はあるものの、サガンの描く女の子は奔放で、デュラスは王子様願望のある内省的な女の子、といったイメージを持った。 【悲しみよこんにちは 2015/02...

収録順ではなく以前より読みたいと思いつつなかなか読めなかった順に読み進めてみた。 フランスの女性作家、十代の女の子が主役という共通点はあるものの、サガンの描く女の子は奔放で、デュラスは王子様願望のある内省的な女の子、といったイメージを持った。 【悲しみよこんにちは 2015/02/28読了】 サガンの処女作となるこの作品は、青春の鬱屈した気持ちが表現されていた。もう少し若い頃に読んでいれば、セシルの気持ちにより添えたかもしれない。 だが今はアンヌの言い分もわかり、私は板挟み状態。 【愛人 ラマン 2015/03/04読了】 デュラスの自伝的作品。ジャンジャック・アノーにより映画化された作品で、当時かなり話題になったのを覚えている。平たく言ってしまうと、女子高生が援助交際をする話。 細い糸でつながっている二人の関係が切なかった。 【太平洋の防波堤 2015/03/12読了】 被害を防ごうと防波堤を造ったもののあっけなく壊れてしまう。もう一度、防波堤を築こうとする母親を支えようとする息子ジョセフと娘シュザンヌ。 家族の物語であると同時に、子供たちの成長を描いている。 この作品を読み終えたのは、奇しくも東日本大震災から4年後の翌日だった。読んでいて、スーパー堤防を思い出してしまった。

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2015/01/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

デュラス作の『愛人ラマン』の映画を見た。 映画館でやってたころに見たので20年位前に見て以来だ。 主人公と同じくらいの年齢だったころ見るのと、年を重ねてから見るのとでは受ける印象が全く違う。 高校生のころは主人公とチョロンの男との恋愛の映画だと思っていたが フランス人でありながら植民地のベトナムで貧困と崩壊している家族関係の中にいる少女、そして、大金持ちではあるけれど華僑の社会やしきたりの中で生きてゆくしかない男のやるせなさが描かれた社会派の映画に見えた。少女はチョロンの男の中にある富に魅かれ、男は少女の中にあるフランスに魅かれた。 原作が読んでみたくなった。 『太平洋の防波堤』は、デュラスの家族についてよく分かる作品だ。 映画ではアヘン中毒の長男を溺愛し。 主人公を虐待し、チョロンの男の前ではご馳走になっておいてレストランで居眠りを始めるようなぶっ壊れた母親だったが、フランスから移住したものの、夫に先立たれ 全財産をなげうって役人から塩害で農作物も作ることができない土地を買い絶望する母。 そこにさらに借金をして、防波堤を築き、それもまた無残に流されてしまう。 不幸の上に不幸が重なりぶっ壊れても仕方なかったのかもしれない。 『愛人ラマン』 主人公の帰国によって、チョロンの男と別れることになる。 帰国の船中で自分はチョロンの男を愛していたことに気づく。 それから数十年経って男から電話がある。 「以前と同じように自分はまだあなたを愛している。 あなたを愛することをやめるなんて決して自分にはできないだろう、死ぬまであなたを愛するだろう。」 恋愛が終わってから気づくことも多いね。 気づいていても思うように行動できないこともある。 でも、一生思い続けられる誰かがいるって素敵なことかもしれない。

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2012/09/03

大分前に、談話室で薦めてもらった本。 今回は、サガンの方しか読んでいませんが。 皆さんのレビューを拝見すると、アンヌかセシルどちらかに共感するみたいですね。 私はやはりセシルと歳も近いこともあって、セシルの考え方とかすごく分かります。 セシルの考え方は残酷だという人もいるみた...

大分前に、談話室で薦めてもらった本。 今回は、サガンの方しか読んでいませんが。 皆さんのレビューを拝見すると、アンヌかセシルどちらかに共感するみたいですね。 私はやはりセシルと歳も近いこともあって、セシルの考え方とかすごく分かります。 セシルの考え方は残酷だという人もいるみたいですが、私には「え?普通じゃない?」って感じ。 またアンヌと同じくらいの年齢になったら、セシルへの感じかたも違うのかな?

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2012/08/28

好きなアーティストGARNET CROWのazuki七さんが、影響を受けたサガンやデュラス。大学の図書館にはちょうどセットのこれがあったのでちょうど良かった。 最初の二作品はデュラス自身の実体験に基づいて書かれているが、どうにもならない重苦しい境遇と東南アジアの暑苦しさがなんとも...

好きなアーティストGARNET CROWのazuki七さんが、影響を受けたサガンやデュラス。大学の図書館にはちょうどセットのこれがあったのでちょうど良かった。 最初の二作品はデュラス自身の実体験に基づいて書かれているが、どうにもならない重苦しい境遇と東南アジアの暑苦しさがなんとも言えない悲しみを作り出している。 サガンの方は、最初と最後のフレーズにしびれた。azuki七さんも歌詞にしたとおり、思わず波の音が聞こえてきそうな感じ。

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2012/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

サガンはじつは読むのは初めてだったが、結構面白い。女性の微妙なアンビバレントの心理を巧みに表現している。父親と今までの生活を奪う継母に対する憎しみと、それでも女性としては尊敬と愛情を感じる継母。そして最後の・・・。これを18歳で書いたというのがすごい。

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2011/04/11

デュラスの「太平洋の防波堤」「愛人 ラマン」は、どちらも作者が仏領インドシナで過ごした若き日の体験を元に書かれた作品。どちらの作品も、使い物にならない土地に縛られた仏印での貧しい生活とそこから逃げ出したいという欲求が背景にあるが、前者では出口の見えない暮らしの閉塞感がせっぱつまっ...

デュラスの「太平洋の防波堤」「愛人 ラマン」は、どちらも作者が仏領インドシナで過ごした若き日の体験を元に書かれた作品。どちらの作品も、使い物にならない土地に縛られた仏印での貧しい生活とそこから逃げ出したいという欲求が背景にあるが、前者では出口の見えない暮らしの閉塞感がせっぱつまった雰囲気でひしひしと感じられるのに対し、仏印での日々=青春の日々として回想している晩年の作品である後者では、貧しさも、金持ちの男を“愛人”に持つことも、全てが熱帯の湿気にぼんやり覆われたメランコリックな情景として描かれている印象。前者は閉塞していてもエネルギッシュであり、後者は赤裸々であっても物憂く優美。“現実”がどう“思い出”に変わるか、という変化を味わえる二作かもしれない。 サガンの「悲しみよ こんにちは」は、18歳の少女にしか書けないような鋭く繊細な感情と、18歳の少女が書いたということに驚きを禁じ得ない美しい文章の、どちらもがインパクト大。ものすごくティーンズらしい内容なのに、瑞々しい少女の感性に溢れつつも感傷に耽溺していない醒めた距離感の文章のおかげで、“ありがち”な印象は全く残らない。大作というほどのボリュームはないが、作品全体の輝きが強烈に胸に残る一作。

Posted byブクログ