青ひげの花嫁 の商品レビュー
H・M卿シリーズ。人…
H・M卿シリーズ。人間消失の謎に卿が挑みます。ディクスンらしさがよく出ている作品です。
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1946年発表の本書、扱われているテーマは連続殺人鬼物。文中にも言及されているが、1800年末から1900年当初にわたって、イギリスを初め、各国ではクリッペンやスミス、ドゥーガル、ソーン、ディーミング、マニング夫妻、ランドリュー、グロスマンといった連続殺人犯の手による犯行が頻発しており、本作はそれらの事件に影響を受けているらしい。 そして本作では予め連続殺人鬼の正体は明かされた上で、11年後、それが一体誰なのかという視点で物語は展開する。 このテーマについてカーの行った料理法は絶品である。 新進気鋭の演出家の許に送られてきた匿名の脚本を契機に、俳優に田舎の町に行かせて、ロージャー・ビューリーなる殺人鬼になりすまして、殺人鬼の心理を摑ませようというのである。 いやあ、面白いね。 しかもその俳優ブルースが、ホテルの記帳の際に、ロージャーとわざと書いて、消すような素振りを見せる演出の凝りようだから、徐々に読者はブルースが本当はロージャーの仮の姿では?と疑いを抱くようになっていくのだ。 そして町中に殺人鬼がどうやら来ているらしいという噂が流れ、惚れられた娘の父親に殺人鬼では?と疑われる中、ホテルの部屋に死体が現れる。しかもその死体が11年前の唯一の殺人の目撃者ミルドレッド・ライオンズというサプライズ。 この辺まではもうはっきり云って作者の術中にまんまと嵌り、クイクイとページを捲らされた、のだが・・・。 そこから煩雑になってしまったなぁ。 死体を前にそれぞれの登場人物が好き勝手に動き回って―それ自体はいいのだけど―、収拾がつかなくなり、最後には軍の戦闘訓練施設跡なんかがいきなり舞台になって、カー特有の怪奇色に彩られた中での悪党との対決。 いきなり本格推理小説から通俗小説に移った感がし、戸惑った。 ロージャーの正体はいつもながらこちらの予想と違ったが、カタルシスが得られるほどでもなかった。本作で私が求めたのは、犯人がいかにしてミルドレッドの死体をブルースの部屋に運んだかという点にあったのだが、本作ではそこに主眼は無く、ミルドレッドがどこで殺され、どこに隠されていたかに置かれていた。このトリック(ゴルフ場のバンカーの中に埋める)こそ、カーが使いたかったものだろうけど、真相としては小さい。 設定の面白さに結末が追随できなかった。作中で演出家が殺人鬼を扱った匿名の脚本の結末に納得が行かないと述べているが、ある意味、この小説に関するメタファーかなと思ってしまった。
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何度も結婚しては妻を殺害していると思われるロージャー・ビューリー。最後の事件が起きてから11年がたったころ、とある舞台俳優のもとにロージャー・ビューリーによるものと思われる 脚本が届く。登場人物の誰が連続殺人犯ロージャー・ビューリーなのか?殺されたと思われる妻たちが見つからない理...
何度も結婚しては妻を殺害していると思われるロージャー・ビューリー。最後の事件が起きてから11年がたったころ、とある舞台俳優のもとにロージャー・ビューリーによるものと思われる 脚本が届く。登場人物の誰が連続殺人犯ロージャー・ビューリーなのか?殺されたと思われる妻たちが見つからない理由は?そして新たな事件が発生し…。 タイトルからしてゴシックホラーなミステリだと思ったのですが、なんとびっくり笑える本格ミステリでした。愛すべき探偵にとんでもない展開。謎に満ちた連続事件の真相は利にかなっている上に殺人犯の真理として実際に起こりそうに思えます。ロジャー・ビューリーの正体はしばらく信じられなかったけれど、説明されてみればそういう心理が働いて全くおかしくない。シリアルボーンキラーがなぜ人を殺すのか、みたいな漠然とした理屈よりよっぽど納得もいきます。謎の一部は被害者には申し訳ないもののかなり滑稽。そもそもその着眼点おかしいから!でも当たってなくもないんですけど…。あり得なさと自然さのバランスがちょうどよく取れていて心から楽しめました。名探偵がなかなか話を進めてくれなくて、分かってることだけでもいいから教えてよ!とやきもきするのすら面白い。 訳が古くて読みにくいところはありますがそこに味わいも感じられて、翻訳ものっていいな、と改めて実感しました。
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結婚した女たちの金を奪って次々に殺しているのではないかと思われたビューリーは、4人目の妻の死体とともに忽然と姿を消した。そして11年後、彼の犯罪を詳細に描いた脚本が俳優ランソムの元に送られてきた… 序盤はなかなかワクワクする展開だが、ランソムが演技のためという口実で片田舎でビュー...
結婚した女たちの金を奪って次々に殺しているのではないかと思われたビューリーは、4人目の妻の死体とともに忽然と姿を消した。そして11年後、彼の犯罪を詳細に描いた脚本が俳優ランソムの元に送られてきた… 序盤はなかなかワクワクする展開だが、ランソムが演技のためという口実で片田舎でビューリーになったつもりで女性をたぶらかすという実験を始めてからは微妙。周囲で殺人鬼ではないかと噂され、友人からも疑われるというサスペンスだが、ランソムをはじめH・M卿までも何がしたいんだかよくわからなかった。色々丁寧な伏線はあるが、ミステリとしては焦点が絞りきれなかった感じ。
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H・M卿シリーズ 結婚した妻たちを殺害する連続殺人鬼・ロジャー・ビューリー。彼の正体を暴く演劇を上演しようとするブルース・ラムソン。ラムソンの元に届けられたシナリオの謎。舞台上演に反対する演出家ベリルとベリルの友人で弁護士のデニス。ラムソンがタイピストのミルッドレッド・ライオンズと密会する場面を目撃した2人。消えたミルドレッドとラムソン。ラムソンの部屋で発見されたミルドレッドの遺体。ラムソンが偽名を使い潜伏していたハーバード家。ハーバード家の娘ダフネト駆け落ちしたラムソン。ビューリーの正体に隠された謎。 2011年6月22日読了
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本格ミステリの大家、カーター・ディクスン中期の作品。 著者にしては珍しい、サスペンス要素の濃い作品である。 物語がわかりやすく、一筋になっているため洋書のわりには読みやすい。 話が現在の謎『誰が殺したか?』よりも過去の謎『どうやって死体を隠したか?』のほうに魅力があるため、読...
本格ミステリの大家、カーター・ディクスン中期の作品。 著者にしては珍しい、サスペンス要素の濃い作品である。 物語がわかりやすく、一筋になっているため洋書のわりには読みやすい。 話が現在の謎『誰が殺したか?』よりも過去の謎『どうやって死体を隠したか?』のほうに魅力があるため、読者が感情移入しにくい場面もある。 トリックらしいトリックはないが、伏線の多さ、細やかさには感動する。 ラストの解決部分がグダグダなのが残念すぎるため、星2つにした。
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