イヴァン・ツァンカル作品選 の商品レビュー
イヴァン・ツァンカルは、当時オーストリア=ハンガリー帝国の支配下の政治的、文化的自由を抑圧されてきたスロヴェニアの貧しい家庭に生まれた作家です。 選挙に出馬し落選したり、政治的発言をして二度の獄中生活を経験し、42歳で死去。 本書は、短編の「一杯のコーヒー」と中篇の「使用人イェ...
イヴァン・ツァンカルは、当時オーストリア=ハンガリー帝国の支配下の政治的、文化的自由を抑圧されてきたスロヴェニアの貧しい家庭に生まれた作家です。 選挙に出馬し落選したり、政治的発言をして二度の獄中生活を経験し、42歳で死去。 本書は、短編の「一杯のコーヒー」と中篇の「使用人イェルネイと彼の正義」がおさめられている。 イヴァン・ツァンカルは、スロヴェニアおよびヨーロッパ文学史上でのツァンカルは、スロヴェニア語の散文を芸術の域にまで高めた最初の作家として位置づけられている作家だそうだ。 スロヴェニアの歴史的背景にも政治や民族などについても明るくなく、本書によって私はツァンカルをはじめて知ることになった。 「使用人イェルネイと彼の正義」は、仕えた主人が亡くなり、息子の代になってその家を追われる使用人イェルネイの物語である。 四十年もの間、イェルネイは主人の元で、家を建て、守り、畑を耕し、種まきから収穫まですべてをやってきた。主人とともに年をとり、人生を送ってきたのだった。 ところが、主人が逝去したのち、イェルネイの境遇は一変してしまう。 邪険に扱われ、老兵は去れとばかりに追い出されてしまう。 資本主義で育った私たちにとっては、それらの理不尽さも普遍的なことと捉えてしまいがちだが、ツァンカルは不当性を文学で訴える。 使用人イェルネイは恐ろしいリベンジを果たす。
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