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泥棒日記 の商品レビュー

3.8

20件のお客様レビュー

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2023/01/10

読みながら『赤毛のアン』を思い出した。親の愛を知らず、人間としての尊厳を無視された子供時代。赤毛のアンはフィクションであるが、自己救済のために妄想や荘厳な言葉遣いに取り憑かれる様、そして文学によって社会へと自己を回復させて行く様が似ていると思ったのだ。そういう社会的傾向があるのだ...

読みながら『赤毛のアン』を思い出した。親の愛を知らず、人間としての尊厳を無視された子供時代。赤毛のアンはフィクションであるが、自己救済のために妄想や荘厳な言葉遣いに取り憑かれる様、そして文学によって社会へと自己を回復させて行く様が似ていると思ったのだ。そういう社会的傾向があるのだろうか。

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2021/07/15

あらすじを見て、まったく好きな要素が入っていないなあと思いつつ、読んだ。 というか、自伝小説は、正直、苦手 それでも、ジュネ自身に興味があったので読んでみた 全てを包み隠さず誤魔化さず書いているのに、妖しい芳香が文字から匂い立つようだった 退廃的とはまさにこのことか。 フラン...

あらすじを見て、まったく好きな要素が入っていないなあと思いつつ、読んだ。 というか、自伝小説は、正直、苦手 それでも、ジュネ自身に興味があったので読んでみた 全てを包み隠さず誤魔化さず書いているのに、妖しい芳香が文字から匂い立つようだった 退廃的とはまさにこのことか。 フランス文学らしく、突き放したそっけない雰囲気も感じたのも魅力。

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2019/10/10

内容紹介 言語の力によって現実世界の価値をことごとく転倒させ、幻想と夢魔のイメージで描き出される壮麗な倒錯の世界。――裏切り、盗み、乞食、男色。父なし子として生れ、母にも捨てられ、泥棒をしながらヨーロッパ各地を放浪し、前半生のほとんどを牢獄におくったジュネ。終身禁固となるところを...

内容紹介 言語の力によって現実世界の価値をことごとく転倒させ、幻想と夢魔のイメージで描き出される壮麗な倒錯の世界。――裏切り、盗み、乞食、男色。父なし子として生れ、母にも捨てられ、泥棒をしながらヨーロッパ各地を放浪し、前半生のほとんどを牢獄におくったジュネ。終身禁固となるところをサルトルらの運動によって特赦を受けた怪物作家の、もっとも自伝的な色彩の濃い代表作。

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2019/06/10

内容は言わずともがな。読んでない方も大体想像がつき、大体その通り。手に取るか、取らないか、そういう本であります。ここまで突き抜けてる本は、個々で好き勝手言おうが思おうが、けして揺らがない、孤高のさみしさがあるね。 自分が感じたのは、どうしてここまで自分の内側のもの「気持ち」「個...

内容は言わずともがな。読んでない方も大体想像がつき、大体その通り。手に取るか、取らないか、そういう本であります。ここまで突き抜けてる本は、個々で好き勝手言おうが思おうが、けして揺らがない、孤高のさみしさがあるね。 自分が感じたのは、どうしてここまで自分の内側のもの「気持ち」「個人的」なものをあからさまにむきだしにしてしまうのか。もう1つは登場してくる女性が鮮烈に勇ましくカラッとしており、泥風呂でもがくような描写が続く中で印象的に感じられて「手に入らないもの」への羨望のように感じられた。

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2018/12/14

泥棒をしながら欧州各地を放浪して半生の大部分を牢獄で過ごしたジュネの自伝。あちこち右往左往する文章のためか最後までのめりこめなかったけどフランスの刑罰制度だとかスラングにはやたらと詳しくなれたり・・・w

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2014/06/04

 1949年発表、ジャン・ジュネ著。泥棒としてスペインやフランスなどを放浪した著者の自伝的小説。社会の底辺に生きる様々な犯罪者達との男色を交えた関係が描かれる。  いかにもフランス文学といった感じの小説だった。文章はゴテゴテしていてきらびやかで、読んでいてクラクラしてくる。犯罪や...

 1949年発表、ジャン・ジュネ著。泥棒としてスペインやフランスなどを放浪した著者の自伝的小説。社会の底辺に生きる様々な犯罪者達との男色を交えた関係が描かれる。  いかにもフランス文学といった感じの小説だった。文章はゴテゴテしていてきらびやかで、読んでいてクラクラしてくる。犯罪や男色関係の生々しい描写はほとんど見当たらない。むしろ、それに関する美学の説明がこの本をぶ厚くさせている。  犯罪をせざるを得ないがために、価値観を引っ繰り返し、それを極限まで美しくさせようとする。いわゆる犯罪小説の中には、そういった思想をもったものは多くあるだろう。だが、これほどまでに、執拗に哲学的に考察しきって、ほとんど反論できない領域に上ってしまったものはほとんどないのではないだろうか。それもやはり、著者自身が根っからの泥棒で、あくまで泥棒の視点で物事を考察しているからだろう。真似できないオリジナリティーだ。  それにしても、本当に、いつどこで著者は詩的表現を学んだのであろう。普通は、このような犯罪者には学ぶ機会などほとんどないだろう。考えれば考えるほど不思議に思えてくる。

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2014/01/09

「悪いこと」「みすぼらしいこと」を勝利者の優美な文体で綴っているジュネの半生記のような一冊。 「徒刑囚の服は薔薇色と白の縞になっている」この一文にジュネの価値観が圧縮されている。犯罪者になる資格、汚いものへの微笑、、、とてもフランス文学的。 それにしてもこの本を読むと登場人物に...

「悪いこと」「みすぼらしいこと」を勝利者の優美な文体で綴っているジュネの半生記のような一冊。 「徒刑囚の服は薔薇色と白の縞になっている」この一文にジュネの価値観が圧縮されている。犯罪者になる資格、汚いものへの微笑、、、とてもフランス文学的。 それにしてもこの本を読むと登場人物に同性愛者が多すぎて世の中こんなに多いのかと。笑

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2013/12/01

普通の人間にとって正真正銘の別の世界の住人である筆者が送る言語という道具を最大限に駆使した自伝的文学。彼の紡ぎ出す言葉の連なりは独創的で繊細な彼の感受性によってたっている。偽ることなくありのままに描き出されている豊穣で粘りつくような世界は目も眩むばかりで底なしに壮麗である。

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2013/11/30

高校1年の夏休み、 これで読書感想文を書こうとしたら「職員室を混乱に陥れてどうする」と 友人に止められたのでやめた。 代わりに何を選択したのか思い出せない、覚えていない。 作家・詩人・政治活動家でもあったジュネの自伝的回想録。 「泥棒」であることを宿命的にアイデンティティとして...

高校1年の夏休み、 これで読書感想文を書こうとしたら「職員室を混乱に陥れてどうする」と 友人に止められたのでやめた。 代わりに何を選択したのか思い出せない、覚えていない。 作家・詩人・政治活動家でもあったジュネの自伝的回想録。 「泥棒」であることを宿命的にアイデンティティとして身に負った男の 悲哀・惨めさ・滑稽さが、行間から汗のように滲み出す。 養家で空腹に耐えかね、台所にあったリンゴを食べようと手に取ったところを 家人に見つかり「泥棒!」と叫ばれた瞬間、 その言葉が天啓のように頭に鳴り響き「そうか、俺は泥棒だったのか」と納得した少年は、 以来、そうやって生きようと心に決めた―― というイメージが、ずっとこびりついていたが、 幾星霜を経て(笑)久々~に再読したら、そんな場面は存在しなかった。 脳内で勝手に印象を補足・増強していたらしい。 補完の結果、自主的に闇の世界に足を踏み入れた青年の、 貧しいけれど、お気楽極楽自堕落生活……みたいな、 傍目にはみっともなく映ろうとも当人はゴキゲンといった愉快な物語であるかのように、 長らく錯覚していた模様。 何故ジャン少年がリンゴを盗もうとしたと思い込んでいたのかというと、 単純に絵になるからとも、 ジャガイモやニンジンを生のまま皮も剥かずに食べるはずはないからな~、と 考えたから、とも言えるのだけど。 でも、それは恐らく傷だらけで瘠せた感じの、 多分、食べてもあまり美味しくないヤツだったんじゃないかな、 しかも、彼は手に取って口に運ぼうとしたところを見つかってしまい、 盗みを完遂できなかったんだよね、きっと。 あくまで想像だけど、大した値打ちのないものを盗もうとして盗み得なかったことが、 人生の進路を決めてしまったのではなかろうか。 食べ損なった酸っぱいリンゴを求めての窃盗と放浪、 犯罪者未満から正真正銘の盗人を目指す諸国行脚……なんてね。

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2011/11/06

美とは決して皆が賞賛する様な物のみだけならず、 皆が避け、侮蔑するような醜さと卑しさの中にも存在するのだということを、 彼自身の半生を詩的な表現で彩りながら示していく自伝的小説。 価値観の反転と倒錯。 著者であるジュネは、父の顔も知らぬ私生児として生まれ、 盗みと乞食...

美とは決して皆が賞賛する様な物のみだけならず、 皆が避け、侮蔑するような醜さと卑しさの中にも存在するのだということを、 彼自身の半生を詩的な表現で彩りながら示していく自伝的小説。 価値観の反転と倒錯。 著者であるジュネは、父の顔も知らぬ私生児として生まれ、 盗みと乞食として生計を立てながら、 人生の半分を獄中で過ごしてきた。 「私は今でも、人間であろうと物質であろうと、最も卑しい屑に向かって優しく微笑みかけることができる。唾液やげろにさえ、諸君の排泄物にさえ…」 と述べる彼の目に、世界はどのように見えていたのだろうか。 全ての落伍者とはみ出し者に、花束を。

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