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戦嬢の交響曲(4) の商品レビュー

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大きく動き出した前半の山場

雪風にとって余りに残酷で無情な展開が訪れる第4巻は前半折り返しの山場であろう。そのクライマックスをより劇的にするためでも無かろうが、本巻は今までに比べて若干ながらライトなテイストに包まれている。冒頭より祐鹿と五十鈴の相合傘であり、それを見て咎める雪風である。挿絵の雪風が恐ろしい・...

雪風にとって余りに残酷で無情な展開が訪れる第4巻は前半折り返しの山場であろう。そのクライマックスをより劇的にするためでも無かろうが、本巻は今までに比べて若干ながらライトなテイストに包まれている。冒頭より祐鹿と五十鈴の相合傘であり、それを見て咎める雪風である。挿絵の雪風が恐ろしい・・・。ほとんど恋の鞘当てである。他作品であれば何てことない学園の1コマであるが、本作を第1巻から読み進めてきた読者諸兄には、これだけでも充分に楽しめるシーンであろう。前巻よりその兆候はあったが、本巻でもそんなニヤニヤ出来るシーンが結構ある。喫茶室での野分とのシーンでも、野分がさり気無く祐鹿を気遣い、祐鹿から心配される雪風を羨ましく思ったりするのだが、そんな事には当然気付かない祐鹿クンなのである。そして、本格的に5人体制になり、雪風が祐鹿の指示に従うという驚き展開を受けて八班は強くなる。寄宿舎対抗戦でも無類の強さを発揮する。力が団結した時の本当の強さを見せてくれる。実はこの後のラルワとの戦いでも章義舎随一とされる五十鈴の一班よりも強さを見せている。このラルワとの戦いだが、読んでておやっと思った。今までなら後半で展開されていた戦いのシーンが本巻では前半で登場したからである。こりゃ後半に何かあるな、と思っていたらそのとおり、いや、それ以上の展開が待っていた。せっかくの八班の蜜月期間を長くは見せてくれない酷な作品である。このラルワとの戦いで又しても登場し、榛名を連れ去ろうとする出雲、ギリギリでそれは退けるものの間際に出雲は榛名に何かを囁く。それが雪風と榛名の姉妹に溝をつくることになり終盤での大喧嘩に発展する。雪風だけでなく兄の出雲にも依存度の高かった榛名の心理的弱点を突いた巧妙な手口なのだが効果は絶大。事の真意を告げようとする雪風と、それを信じようとしない榛名。そんな混沌の渦中に再度登場の出雲。雪風との一騎打ちとなり、ここで命を賭けた大胆な作戦に打って出る。しかもタイミングよくそれを榛名に見せつけ、榛名奪還に成功するのである。誤解と言えば大いなる誤解なのだが、ここで雪風と榛名が決定的に敵対関係となる展開である。本懐を遂げながら最愛の妹を失った雪風の今後が大変気になる終わり方で「作者のいじわる」と言いたくなる。次巻がとても待ち遠しい。

DSK