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ポオ小説全集(4) の商品レビュー

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2009/10/04

エドガー・アラン・ポオの「探美作品」とこの全集で呼ばれている作品群にはいたく影響を受けています。この本に収められている「アルンハイムの領土」との出会いはそもそもは野阿梓経由だと思うのですが、それをネタに大長編を書こうとしてしまうくらいで、それはやはり、造園というものが持つ美学要素...

エドガー・アラン・ポオの「探美作品」とこの全集で呼ばれている作品群にはいたく影響を受けています。この本に収められている「アルンハイムの領土」との出会いはそもそもは野阿梓経由だと思うのですが、それをネタに大長編を書こうとしてしまうくらいで、それはやはり、造園というものが持つ美学要素によるのだと思う。完全な美は自然のうちには出来上がらず、人間が造形して初めて完全な美となる。これは風景画がそもそも持っていた命題で、それをカンバスではなく実際の造園で目指そうとしたエリスンの大望はすさまじい。18世紀のイギリスなんかでは造園で身を持ち崩す人が続出したということを考えると、エリスンが一度の造園で完全なアルンハイムを出現させたのはラッキーだったとしか言いようがないんですが。しかしだからこそ、エリスンその人が『天才』だったことを意味するのかもしれないと思う。エリスンがなにを考えてアルンハイムを造園したかは理論の部分は細かく書かれているんだけれど、なぜ彼がそれを望んだのかは説明されていなくて、それがこの作品の深遠さを生んでいる。

Posted byブクログ