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事件 の商品レビュー

3.7

15件のお客様レビュー

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2012/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

≪ストーリー≫ 厚木の田舎町で一人の女性が殺され、19歳の少年が逮捕された。 少年の名は上田宏、殺された女・坂井ハツ子の妹・ヨシ子の恋人だった。 ヨシ子は宏の子を妊娠し、未成年だった2人は駆け落ちをするつもりだった。 妹の妊娠に気づいたハツ子は、必死にそれを止めた。 「子供が子供を産んでどうする。私はそんなの認めない。どうしても駆け落ちするというなら、お母さんにも宏のお父さんにも言ってしまうよ」 そうハツ子は宏に言った。 それを聞いた宏はハツ子を山中に連れ出し、持っていたナイフでハツ子を刺殺したと言う。 自分は死刑になっても仕方ない、とも。 しかし、どうしてもどうやってハツ子を刺したのかが思い出せない。 宏に殺意はあったのか、これは計画殺人だったのか。 宏の弁護をする国選弁護人・菊地大三郎はどうも疑問が晴れない。 上田という少年は、とても殺しをするような人間には見えなかったからだ。 公判で新たな証人を調べる内に、どんどん怪しげな人物が現れる。 ハツ子の店に多額のツケがあった大村吾一。 ハツ子に度々金の無心をしていた恋人宮内辰造。 そして、ハツ子に宏を取られることを心底心配していた妹・ヨシ子。 全員が全員怪しいと思われる中、宮内の証言で事の真相が分かる。 宮内は、2人のことが気になり山中に入って行った2人を覗き見していた。 そして、ハツ子が宏の出したナイフに身を投げるように抱きついた姿を見たのだった。 そう、ハツ子は愛する宏を自分の妹に取られたことで絶望し、自殺したのだ。 2人だけを幸せにはしない――その一心で。 宏は殺人罪については無実、死体遺棄の罪にだけ問われることになった。 結局、宏とハツ子の間に肉体関係はあったのだろうか? それは、最後まで菊地には分からなかった。

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2010/09/15

人間ドラマに展開していくのではなく、「裁判」というテーマの中に物語を封じ込めていて、おそらくそれゆえに「真相」について考えさせられました。

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2020/07/27

落合弁護士が奨めていた裁判小説。面白い。◆現在の裁判の遣り方が、戦後のものだということ、裁判所、検察、弁護士の関係と経緯を知る。うちのの審判も、もしこの本を読んでいたら、いろいろ考えることも違ったかも知れない。映画のDVDを見なくては。

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2010/01/19

日本に裁判員制度が2009年(平成21年)5月から開始される予定であるが、この物語は裁判がいかになされていくのかを、具体的事件で展開するので、多いに参考になる。その中では、アメリカ・イギリスでの陪審制、フランス・ドイツで行われている陪審制についても述べられている。 裁判官に対する...

日本に裁判員制度が2009年(平成21年)5月から開始される予定であるが、この物語は裁判がいかになされていくのかを、具体的事件で展開するので、多いに参考になる。その中では、アメリカ・イギリスでの陪審制、フランス・ドイツで行われている陪審制についても述べられている。 裁判官に対する心証がいかに大切か、裁判官によっていかに判断が変わる恐れがあるか、取り調べる人間の精度の問題、自白の信憑性など、小さな事件とはいえ、殺人が絡む裁判ゆえに、ちょっとしたこと(どちら側に情がいくか)で判決は多いに変わりうる恐れを感ぜずにはいられない。

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2009/10/04

ケーススタディとして、本編を俯瞰すれば 毎日起こる、殺人事件にはどれだけの人間の業の上に興りえたのかということがわかる。 真実を突き詰めていくことが、唯一神に与えられた人間の所存なのだろう。 神にどこまで近づけるのか、それをとことんまで果敢に挑戦したのが大岡昇平という著述家だと...

ケーススタディとして、本編を俯瞰すれば 毎日起こる、殺人事件にはどれだけの人間の業の上に興りえたのかということがわかる。 真実を突き詰めていくことが、唯一神に与えられた人間の所存なのだろう。 神にどこまで近づけるのか、それをとことんまで果敢に挑戦したのが大岡昇平という著述家だということだ。 真実は明かされる必要はない、ただそれを明かそうと努力する人間の所存は美しいと思う。

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