香具師の旅 の商品レビュー
戦後の時代の話なので想像に難しくはあったが、性に関しても日常のひたむきさの中にある場面として好ましかった。
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戦後の市井を題材にしているが、かなり性にフォーカスされた短編集。 作者の私小説とも読み取れる赤裸々な描写が続くが、どこかひたむきで愛くるしい。 作品締め方や構成は好みだが、独特の移ろうような文体はリズムよく読み進めづらく、大衆寄りの作風と少し噛み合っていない気がした。
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先日、『ポロポロ』で初めて田中小実昌を読んだので、もう何冊か読んでみようと思ってこれ。ハーレムあり、初体験あり、親娘丼あり、近親相姦あり、セックスレスありと、奇妙な性を訥々と語る短篇集。個人的には聾唖の慰安婦ミミの情愛を描いた『ミミのこと』が良かった。
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田中小実昌 「 香具師(やし)の旅 」著者の女性遍歴を綴った私小説にも読めるし、戦後の情婦、テキヤの生命力の強さを描いた小説にも読める。逞しく自由に 生きぬく女性 が印象的。著者の 高い知性と 人との間に壁を作らない気質は 文章に出ている
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コミさんはエッチだけれど、とても人にやさしいところが好きです。小説の大家とは言えないけれど、他の作家とは一味もふた味も違った昭和の文士だったと思います。肩ひじを張らずに飄々と生きたように感じられます。一緒に新宿のゴールデン街で飲めたらさぞや楽しかっただろうな。いまカウンターで一人...
コミさんはエッチだけれど、とても人にやさしいところが好きです。小説の大家とは言えないけれど、他の作家とは一味もふた味も違った昭和の文士だったと思います。肩ひじを張らずに飄々と生きたように感じられます。一緒に新宿のゴールデン街で飲めたらさぞや楽しかっただろうな。いまカウンターで一人飲んでいてもこのような雰囲気を持った人にはお目にかかることもありません。私はいまから30年前にコミさんを間近で拝見しました。そのときもコミさんの後ろにすらっとした美人が付き添っていました。さすがでした。ベレー帽もお似合いでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
田中小実昌ってブコウスキー系なんだ(大きく言えば、だけど)。読んでみてそう感じた。 『ポロポロ』『香具師の旅』、どっちがおもしろかったか決められない。 話の内容、つまり物語という点では『香具師の旅』の方がおもしろい(と私は思う)。 『ポロポロ』は最初の『ポロポロ』以外は戦争に言った時の話。物語としては戦争体験記。 だけど、ただの戦争体験記ではなく作者の視点が独特で、文調も独特で、好きな人は好きだし、こういうのこそ文學だ!という人もいると思う。 私はそういうのとは別で、後半の、<物語>というものについての持論はすごくおもしろいと思った。文章が<物語>にならないように、と意識して書いている。あるものをあるがままに、出来事を出来事として、<物語>にはしたくないんだと言いながら物語を書いている。そういう矛盾撞着的なところが興味深かった。
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この本、まず表紙が良い。 見て欲しい。これが香具師(やし)すなわちテキヤですという絵柄。香具師とかテキヤというのは、『寅さん』シリーズの寅次郎の本業で、お祭りや縁日でイカサマっぽい品物を啖呵を切って売る人たち。堅気からはやくざと見分けがつかないあの人たちだ。 真っ赤な敷...
この本、まず表紙が良い。 見て欲しい。これが香具師(やし)すなわちテキヤですという絵柄。香具師とかテキヤというのは、『寅さん』シリーズの寅次郎の本業で、お祭りや縁日でイカサマっぽい品物を啖呵を切って売る人たち。堅気からはやくざと見分けがつかないあの人たちだ。 真っ赤な敷物もらくだ色の腹巻も、鮮やかな色であると同時に「懐かしい」昭和の色だ。表情、身振り、いかにも「控え目」そうな口上を述べていそうな口。哀しそうにしか見えない一重の目。 生前の著者、「コミさん」こと田中小実昌さんは正しくこの絵の「まんま」のイメージの方だった。 11PM(イレブン・ピーエム)といっても、20代以下の若い方にはぴんと来ないだろう。何しろ11時がまだ「深夜」であった時代の伝説的大人の深夜番組である。大橋巨泉や藤本義一が司会していた。この番組にコミさんがゲストで出ているのを何度か見かけた。 つるつるの頭を撫でながら、物凄くエッチなコメントを吐くのだが下品な感じが全くしない不思議なおじさんであった。 表題作『香具師の旅』では、著者自身が図らずも一時身を置いた香具師の世界を描いている。覗いただけでもある種エキゾチックなこの世界を、持ち合わせてしまった知性(実は東大中退)で観察し訥々と描いている。 同じ世界でも、『寅さん』がこちら側の健全な庶民の世界に帰ってきたり、まともな人々と関わりを持つことで、あくまで「こちら側」の世界が失いつつある「良き」ものを描いているのとは全く異なる。『香具師の旅』はむこう側の世界に居た自分を書いている。 ある意味安倍譲二とも共通するが「塀の向こう」にまでは陥っていない。独特の「はにかみ」と「ためらい」で行きつ戻りつして、決して行ったきりにはならないのがコミさんの魅力だと思う。 『ミミのこと』では、聾唖の娼婦と進駐軍で下働きをする自分という、最底辺の二人の切ない一時の結びつきが描かれている。 もちろん、言葉による疎通はない。体の結びつきはあるが、安定も継続もないその関係にもかかわらず、言葉でも体でもない気持ちの通い合いが美しい。 不潔で卑猥な世界の中での出来事なのだが、著者一流の「はにかみ」と「ためらい」が全ての嫌味を打ち消している。 七年前に亡くなられたコミさんを、高円寺駅のホームで一度見かけたことがある。20年以上前である。 右かな、それとも左かなときょろきょろ見渡すのを、あの頭をなでながらやっていた。 そのお姿が今でもありありと目に浮かぶ。 全てはあの「まんま」の人と作品だったのではないかと思う。
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最初の短編だけでも読めばいいと思うよ。 倫理とか常識とかをぶっ飛ばした所で生きることの凄さがわかる。
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